著書名 |
単著、 共著の別 |
出版年月 |
発行所・発表雑誌等 |
概要 |
フラボン・フラボノール色素の媒染機構 |
共著 |
1997年12月 |
日本蚕糸学雑誌vol.66, P.473~P.476 |
ルチン,ミリシトリンおよびバイカリンの後媒染の機構を調べるため,これらの水溶液に過塩素酸アルミを添加して吸収スペクトルの変化を追跡した.その結果,ルチンおよびミリシトリンは後媒染によってB環の隣接する2つの水酸基およびA環の5-位の水酸基と隣接するキノンカルボニル基の間でアルミとキレートを形成し,バイカリンはA環の5-位の水酸基と隣接するキノンカルボニル基の間でキレートを形成することを明らかにした.(坂田佳子,長嶋直子,片山明) |
カルミン酸の染色化学的性質 |
共著 |
1998年 4月 |
日本蚕糸学雑誌vol.67, P.117~P.122 |
先媒染した絹布上で生成するカルミン酸の金属錯体の構造について知見を得るため,コチニールから抽出,精製したカルミン酸を用いて検討した.色素分子中の酸性基の解離定数を決定し,色素水溶液の可視部吸収スペクトルに及ぼす溶液のpHおよびアルミ共存の影響を調べた.その結果,先媒染の条件では,アルミが基質高分子鎖上に配位結合で固定されていること,色素に結合している糖が,1,4-型錯体の生成を立体的に妨害することの2つと考えた.(坂田佳子,長嶋直子,片山明) |
シコニンの染色化学的性質 |
共著 |
1998年 4月 |
日本蚕糸学雑誌vol.67, P.123~P.127 |
市販の紫根からシコニンを抽出,精製し,水に対する飽和溶解度を30℃で測定した.水溶液中の吸収スペクトルにおよぼすpHの影響を調べ,その結果から分子中の2つの水酸基の解離定数を見積もった.また,メタノール溶液中で,色素濃度を一定とし,共存するアルミのモル比を種々に変化させて吸収スペクトルを測定し,その結果から,シコニンはアルミと5, 8-型錯体を優先的に生成すると推定した.(長嶋直子,坂田佳子,片山明) |
Dyeing of Natural Fibers with Ultrafine Particles of Disperse Dyes |
共著 |
2001年 8月 |
Proceedings of the 11th Korea-Japan Symposium on Dyeing and Finishing of Textiles |
分散染料の超微粒子化を試み,水に対する溶解性および天然繊維に対する親和性を向上させ,難水溶性の分散染料による天然繊維(木綿,絹,羊毛)の染色を試みた.各種繊維に対する染色性とくに染料の構造による影響について検討した.(小笠原 真次,長嶋 直子) |
ブラジレインによる絹の染色 |
共著 |
2002年 8月 |
日本蚕糸学雑誌vol.71, P.83~P.88 |
染色用として市販されているスオウ・チップ抽出水溶液からブラジレインを単離し,色素の染色化学的性質について検討した.色素の絹に対する染色等温曲線はLangmuir型と分配型の線型結合が得られ,とくに分配係数が他の天然染料のそれに比べて著しく小さく,分子構造の平面性からのずれによるものと推定した.(長嶋直子,小笠原真次,片山明) |
新しいナフタザリン色素による絹の染色 |
共著 |
2002年12月 |
日本蚕糸学雑誌vol.71, P.141~P.146 |
新規のナフタザリン色素(クリスタザリン)による絹の染色を試みた.色素‐アルミ錯体の構造を水溶液中で調べた結果,構造の異なる2種の1:2型錯体を形成すると結論した.絹布,木綿,羊毛などの親水性繊維中においてもこれと同様な結合体が形成されていると推定される.染色布の洗浄に対する耐性を調べた結果,一般の天然色素と比べて遜色のない堅ろう性を有していることが明らかとなった.(長嶋直子,山本好和,木下靖裕,片山明 |
花餅から単離したカーサミンによる絹の染色 |
共著 |
2003年12月 |
日本蚕糸学雑誌 vol.72, P.97~P.102 |
染色用花餅から紅色色素を抽出,単離し,1H-NMRを測定して,花冠中に含まれるカーサミンと同一色素であると結論した.また,PM3法によって,カーサミンの色素モデルの最適化構造を計算した結果,発色系の構造は同一平面性から著しく背違していた.染浴中の色素初期濃度と染着量の関係から,ごく低い色素初期濃度での吸尽率は100%に近い値となり,この染着は染浴への酸添加によって溶解度が低下した色素の絹非晶領域への析出と推定した.(長嶋直子,小笠原真次,片山明) |
Shrinkproofing and Dyeability of wool fabrics treated with an oxidizing agent and enzymes |
共著 |
2005年 7月 |
Proceedings of the 15th Japan-Korea International Joint Symposium on Dyeing and Finishing of Textiles, P.1~P.4, Chunchoen Sejong Hotel, Chunchoen, Korea |
酸化剤および酵素で処理した羊毛の防縮性と染色性について検討した.モノ過硫酸水素カリウム(PMS)と酵素ケラチナーゼの併用処理によって防縮性はかなり改善されることが分かった.PMSによる前処理によって羊毛の強度低下も抑制された.低温プラズマやパルスコロナ前処理によって羊毛繊維表面は親水化し,続く酵素処理が均一に作用することが達成できた.染色性については平衡染着量が減少する傾向が見られた.酸化処理によって,繊維表面に-SO3-が生成されたためと推察された.(高岸徹,長嶋直子,梁 善美,田原充) |
Dyeability of Acid Dyes on Wool Fibrics Treated for Zero-AOX Shrinkproofing |
共著 |
2009年 9月 |
Proceedings of the 4th International Symposium on Dyeing and Finishing of Textiles, P.69~P.70, |
吸着性有機ハロゲン化合物(AOX)を生成する可能性が高い塩素化合物を排出しないために開発した非塩素系防縮加工羊毛の染色性について検討した.その結果,酸性染料による染色性は未処理羊毛に比べて低下する傾向が見られた.二元収着式を用いて,羊毛内部コルテックス層の染着座席に対する染着量を解析した結果,染料中のスルホン酸基数によって染色性が減少することが明らかとなった.(長嶋直子,高岸徹,濱田州博,田原充) |
酸化剤/酵素処理羊毛の酸性染料に対する染色性 |
共著 |
2009年10月 |
繊維学会誌vol.65, P.267~P.275 |
非塩素系酸化剤モノ過硫酸水素カリウム(PMS)とケラチン分解酵素(ケラチナーゼⅡ)併用処理による防縮加工羊毛の酸性染料に対する染色性について検討した.PMS処理によって羊毛繊維に生成した-SO3-は染料アニオンの繊維中での拡散を妨げ,羊毛のプロトン化したアミノ基との間で電気的中和を生じ,収着座席を減少させ,飽和染着量が減少するが,その後の酵素処理によって,繊維中の-SO3-が減少し,飽和染着量が回復することが明らかとなった.(長嶋直子,高岸徹,濱田州博,田原充) |
オゾン/酵素処理羊毛の酸性染料に対する染色性 |
共著 |
2009年11月 |
繊維学会誌vol.65, P.292~P.301 |
オゾンおよびケラチナーゼ酵素併用処理後の羊毛繊維について,化学構造変化と酸性染料に対する染色性を検討した.見かけの拡散係数の値から,オゾン処理によって細胞膜錯合体の酸化が示唆された.また,飽和染着量は減少しないことから内部コルテックス層のオゾンによる酸化の影響は小さいことが推察された.さらに,二元収着式を用いて染料中のスルホン酸基数がオゾン/酵素処理羊毛の収着機構に及ぼす影響について詳細に検討した.(長嶋直子,高岸徹,濱田州博,田原充) |
パルスコロナ/酵素処理羊毛の酸性染料に対する染色性 |
共著 |
2009年11月 |
繊維学会誌vol.65, P.302~P.309 |
ケラチン分解酵素ケラチナーゼⅡによる防縮加工において,その前処理にパルスコロナを用いた.各処理羊毛の表面特性を調べるとともに,染色速度および平衡収着量について,色素母体の構造が同じでスルホン酸基数の異なる3種のレベリング型酸性染料を用いて,詳細に調べた.得られた収着等温線を二元収着式によって解析し,パルスコロナ前処理が染色性に及ぼす影響について,他の前処理のそれと比較検討した.(長嶋直子,高岸徹,濱田州博,田原充) |
Wool Dyeing with Reactive Dyes |
共著 |
2011年11月 |
Proceedings of the 11th Asian Textile Conference, P.1146~P.1149, EXCO, Daegu , Korea |
ブラックフォーマル用羊毛織物の染色にはクロム金属を含む染料あるいは媒染剤が常用されているが,環境面から問題がある.代替染料として反応染料が注目されていることから,羊毛に対する染色性を詳細に調べ,染色工程の最適化を検討した.さらに湿潤摩擦堅ろう度向上を目指し,前処理についても検討した.さらに洗濯堅ろう性について検討し,処理羊毛の消費性能について知見を得た.(高岸徹,長嶋直子,田原充) |
Shrink Resistance of Pulse Corona Discharge / Keratinase Treated Wool Fabrics : Relation between Shrink Resistance and Strength |
共著 |
2012年 8月 |
繊維学会誌vol.68, P.225~P.228 |
常圧プラズマの一種であるパルスコロナを用いた前処理と酵素ケラチナーゼの併用処理による防縮加工羊毛の防縮性についてIWS TM185法で3時間ウェスケーター(標準ドラム洗濯機)で処理して調べた.防縮性と強度との関係を検討し,KES-FBによって風合いも測定した.その結果,パルスコロナ処理後にプロテアーゼを含まないケラチナーゼモノコンポーネントで処理することで良好な防縮性と十分な強度を保つことが明らかとなった.さらにパルスコロナ/ケラチナーゼ併用処理羊毛は未処理羊毛の風合いの良さを保っていることも明らかとなった.(長嶋直子,趙盛美,高岸徹,田原充) |
被服学実験における化学物質の使用実態 |
共著 |
2012年12月 |
日本家政学会誌vol.63, P.797~P.806 |
大学の被服整理学をはじめ,被服材料学,繊維加工学,染色学などの被服学関連実験における実験項目の実施状況,化学物質の使用と廃棄の実態についてアンケート調査を実施した.リスク軽減,危険性回避,環境への配慮のための基礎的情報を収集し,改善方法を提案することを目的に,分析を行い,今後の方策を検討した.さらに今後の被服学実験のあり方について提言も行った.(三ツ井紀子,長嶋直子,都築那奈子) |
パルセーター型およびドラム式洗濯機の洗浄性 |
共著 |
2013年 3月 |
和洋女子大学紀要vol.53, P.1~P.11 |
近年,洗濯機は大型化と低浴比化の傾向にあることから,最新の大型家庭用全自動洗濯乾燥機を対象に,市販の人工汚染布を用いて洗浄効率を求め,洗剤濃度,洗濯温度,洗濯時間および浴比の影響を検討した.その結果,本実験で使用したドラム式洗濯乾燥機においては,浴比1:6以下では洗剤濃度0%と同程度の洗浄率となり,低浴比条件下における洗浄力の著しい低下および課題が示唆された.(長嶋直子,三ツ井紀子) |
ラッカーゼによる色素の漂白作用 |
共著 |
2013年10月 |
繊維学会誌vol.69, P.183~P.187 |
洗濯時の移染防止を目的として色素を分解・脱色する酸化還元酵素の利用が期待されている.本研究では酸化還元酵素の一つであるラッカーゼを用いて色素の漂白作用に関する基礎的知見を得る目的で,22種のアゾ系およびアントラキノン系水溶性色素を中心に,分解・脱色挙動の速度論的研究を分光学的手法によって行い,酵素反応速度における反応速度パラメーターを求めた.さらに酸化還元効果を促進する電子伝達メディエーターの添加効果についても検討した.その結果,アントラキノン系色素において分解が可能であること,メディエーターの添加によってインジゴ系色素に対する分解速度が増大することが明らかになった.(長嶋直子,石川章,高岸徹) |
洗濯条件が衣類のしわ発生におよぼす影響 |
共著 |
2014年 3月 |
和洋女子大学紀要vol.54, P.13~P.24 |
洗濯しわが生じる要因,すなわち,脱水,乾燥を含む洗濯過程における種々の条件が衣類のしわ発生におよぼす影響について検討した.しわの評価判定には5段階のしわ見本を作成し,肉眼で判定,評価し,条件別に有意差検定を行った.その結果,綿100%組成織物については低浴比条件下において洗濯しわが付きやすく,組成にポリエステルが含まれる織物については洗浄温度が高温において洗濯しわがつきやすいことが明らかとなった.(長嶋直子,三ツ井紀子) |
Effect of Enzymes Contained in Detergent on Preimmersing |
共著 |
2014年 9月 |
Proceedings of the International Symposium on Fiber Science and Technology, USB (2 pages), Tokyo, Japan |
タンパク質分解酵素を含む市販液体合成洗剤を用いて,タンパク質汚れを含む湿式人工汚染布に対する予浸(つけ置き洗い)の効果を調べた.その結果,タンパク質分解酵素を含む市販液体合成洗剤は,含まない洗剤よりも予浸効果が認められた.また,予浸時間よりも予浸温度が洗浄効率に大きく影響することが明らかとなり,酵素の至適温度における洗浄が効果的であることがわかった.(長嶋直子,高岸徹) |
Layer-by-Layer Treatment on the Shrink Proofing and Dyeability of Wool Fibers |
共著 |
2014年 9月 |
Proceedings of the International Symposium on Fiber Science and Technology, USB (2 pages), Tokyo, Japan |
カチオン性とアニオン性のポリマーの膜を羊毛表面に積層させるLayer-by-layer処理を行い防縮性を付与させた羊毛繊維について,その防縮性を評価した.また,酸性染料による染色性を検討した結果,Layer-by-layer処理によって染色性低下の懸念は低いことを明らかにした.(合澤嘉人,平田雄一,濱田州博,長嶋直子,篠塚雅子) |
Shrink Proofing of Keratinase Treated Wool Fibers : Effect of Pretreatments |
共著 |
2014年 9月 |
Proceedings of the International Symposium on Fiber Science and Technology, USB (2 pages), Tokyo, Japan |
酵素ケラチナーゼの粗酵素ビオソークKと前処理として天然熱硬化性樹脂セラックと併用処理による防縮加工羊毛の防縮性と強度の関係について検討した.その結果,メタノール溶媒を用い,セラック濃度100g・dm-3,50℃,24時間処理を行うことで,粗酵素ビオソークにおいても良好な防縮性が得られるとともに, 強度が保たれることが明らかとなった.(長嶋直子,平田雄一,濱田州博,高岸徹) |
The Shrink-resistance Performance and Dyeability of Wool Coated with CMADK |
共著 |
2014年 9月 |
Proceedings of the International Symposium on Fiber Science and Technology, USB (2 pages), Tokyo, Japan |
廃棄される羊毛から得られたCMAD誘導体化ケラチンタンパク質(CMADK)で処理した防縮加工羊毛について,アーヘンフエルト試験による防縮性評価を行った.さらに,二元収着式による解析を行い,処理羊毛の酸性染料に対する染色性を明らかにした.(渡邊研二郎,平田雄一,濱田州博,長嶋直子,篠塚雅子) |
「農業体験学習事業」農業体験を通した地域連携による家政学群学生の学び |
共著 |
2015年 3月 |
和洋女子大学紀要vol.55, P.171~P.181 |
和洋女子大学家政学群の学士力を高める目的でPDCA(Plan - Do -Check-Action)サイクルを学生自身が体感できる農業体験を取り上げ,筆者は服飾造形学類の学生と共に農業ファッション制作と着装評価に取り組んだ.農業従事者への農業服に関するアンケートを解析し,ファッション性と機能性を兼ね備え,着用者の着心地や泥汚れに対する洗浄性も考慮した農業服の提案を行った.(湊久美子他16名) |
Shrink Proofing of Wool Fibers: Effect of Pretreatments with Shellac and Keratinase |
共著 |
2015年11月 |
Proceedings of the 13th Asian Textile Conference, P.612~P.615, Geelong, Victoria ,Australia |
ゼロAOXを目指し,ケラチン分解酵素ケラチナーゼと天然樹脂セラック併用処理による防縮加工羊毛の防縮性について検討した.これまでセラックの溶媒としてエタノールを用いていたが、アンモニアに変えて処理しその効果を調べた.その結果,強度低下への影響はなく,十分な防縮性が得られることが明らかとなった.(長嶋直子,平田雄一,濱田州博,高岸徹) |
The Use of Laccase for Eco-friendly Dyeing and Washing |
共著 |
2018年11月 |
Proceedings of The 6th International Symposium on Dyeing and Functionalization of Textile and Polumers -70th Anniversary Symposium- IDF2018, P.78~P.79,WINC AICHI, Nagoya, Japan |
異種二官能型反応染料に対する酸化還元酵素ラッカーゼの脱色挙動を検討した。さらに、実用洗濯への応用を視野に入れ、界面活性剤共存下におけるラッカーゼの作用についても調べた。その結果、ラッカーゼはBlue、Yellow、Redの染料のうち、Blue に対する退色作用が大きいことがわかった。一方、電子伝達物質メディエーターを添加しても、YellowとRedは退色しなかった。退色効果のあるBlueを用いて、ラッカーゼ/界面活性剤/メディエーターの水系における退色効果を調べた結果、水系・界面活性剤共存下であってもメディエーターが存在することでラッカーゼによる色素の退色は可能であることがわかった。(長嶋直子、高岸徹) |
EMPA移染モニター布を用いた洗浄による移染の影響 |
共著 |
2020年 3月 |
和洋女子大学紀要vol.61,P.199~p.206 |
染料構造既知のEMPA移染モニター布6種(直接染料-綿布、酸性染料-ナイロン布、反応染料-綿布)を用いて、低浴比条件下(浴比1:7)で洗浄を行い、白布への移染を調べた。その結果、界面活性剤単独の系に比べ、界面活性剤/硫酸ナトリウム共存系で洗浄した方が、白布の色差⊿Eが増大した。洗浄によって脱落した直接染料による白布への移染には、硫酸ナトリウムが大きく寄与することが明らかとなり、低浴比洗浄を想定した洗剤成分の検討に役立つものと考えられる。(鈴木春佳、長嶋直子、塚本和子) |
題目/演目名等 |
発表年月 |
発表学会名等 |
概要 |
新しいナフトキノン色素の染色化学的性質 |
1996年 6月 |
(社)日本家政学会 第48回大会(東京家政大学) |
バイオ技術で生産された新しいナフトキノン色素(2-ヒドロキシ-7-メトキシ3, 5, 8-トリヒドロキシナフトキノン)の染色化学的性質についてアルミ錯体を中心にして検討した.新しいナフトキノン色素は5-位と8-位の水酸基がそれぞれ隣接するキノンカルボニル基との間でアルミキレートを形成すると推定した.(長嶋直子,片山明,山本好和) |
シコニンの染色化学的性質 |
1997年 5月 |
(社)日本家政学会 第49回大会(共立女子大学) |
シコニンの染色化学的性質をアルミ錯体の形成を中心に検討した.シコニンのメタノール溶液に大過剰のアルミを添加すると吸収スペクトルは顕著に変化するが,そのパターンはpH12~14の溶液中で得られるものと類似している.これはメタノール中で形成されるシコニン-アルミ錯体は,シコニンの2つの水酸基がそれぞれ隣接するキノンカルボニルとの間でアルミキレートの形成をすることがわかった.(長嶋直子,片山明,坂田佳子) |
ブラジレインの染色化学的性質 |
1998年 5月 |
(社)日本家政学会 第50回大会(日本女子大学) |
染色用として市販されているスオウチップからブラジレイン色素を単離し,その染色化学的性質について検討した.また,色素の絹に対する染色等温曲線を決定して,等温曲線はラングミュア型と分配型の線型結合で表されることを示し,得られた分配係数が他の天然染料のそれに比べて著しく小さいのは分子構造の平面性からのずれによるものとして説明した.(長嶋直子) |
紅餅中の紅色色素について |
1999年 6月 |
(社)日本家政学会 第51回大会(名城大学 |
染色用として市販されている紅花餅から紅色色素を単離し精製する方法を検討し,得られた紅色色素をNMR測定により単一成分カーサミンであることを確認した.このカーサミンによる染色性の基礎的知見を得るため,各種pH緩衝溶液中および各種温度での吸収スペクトルを測定し色素の安定性を検討,考察した.(長嶋直子) |
分散染料超微粒子による絹繊維の染色 |
2000年 6月 |
(社)日本家政学会 第52回大会(文化女子大学) |
分散染料は絹繊維を淡色にしか染めないため,通常その染色には不適当とされている.これは主として分散染料の水に対する溶解度と絹に対する親和性がともに著しく低いためと考えられる.そこで,分散染料を超微粒子化することで染料の化学的ポテンシャルを増大させ,この染料溶液を用いて絹繊維の染色を試み,染色性について考察した.(小笠原真次,長嶋直子) |
分散染料超微粒子による天然繊維の染色 |
2001年 9月 |
(社)繊維学会 秋季研究発表会(信州大学) |
分散染料を超微粒子化することで,水に対する溶解性および天然繊維に対する親和性が向上することが予想されることから,これまで不可能であった分散染料による天然繊維(木綿,絹,羊毛)の濃色染色を試みた.各種繊維に対する染色性とくに染料の構造による影響について詳細に検討した.(小笠原真次,長嶋直子) |
紅花の紅色色素で染色した絹布の色相に及ぼす染色温度の影響 |
2002年 6月 |
(社)日本家政学会第54回大会(昭和女子大学) |
紅花の紅色色素で絹を染色する際,低温ほど冴えた色調に染め上がると言われている.これは染着した色素の会合や分解,あるいは紅色色素中に混在する黄色色素の吸着などが,染色温度によって異なるためと推測される.本研究では,主としてカラーアナライザーによる測色結果に基づいて,この染色絹布の色調に及ぼす染色温度の影響を検討した.(長嶋直子,小笠原真次,片山明) |
紅花染めの染色条件が絹布に及ぼす影響 |
2004年 6月 |
(社)繊維学会 年次大会(タワーホール船堀) |
市販されている紅花餅から紅色色素を単離し,NMRを測定した結果,花冠中に含まれるカーサミンと同一色素であると結論した.PM3法でカーサミンの最適化立体構造を計算したところ,同一平面性から著しく背違したものとなった.このような立体構造とカーサミンによる絹布への伝統的染色方法の特徴からみて,カーサミンの絹布への染着の過程は,染浴への酸添加に伴って溶解度が低下した色素が絹の非結晶領域内へ析出することによると推論した.(長嶋直子) |
酵素処理したバナナ繊維の物性と染色性 |
2005年 6月 |
(社)繊維学会 年次大会(長良川国際会議場) |
バイオマスの有効活用を視野に入れ,従来廃棄されてきたバナナ繊維を衣料用に使用できるように,エコロジーの観点から酵素処理を行い,物性の改善を試みた.種々の条件で酵素処理したバナナ繊維の白色度,引張強度,吸水率,減量率,染色性を測定し,最適条件を検討した.(長嶋直子,林弘子,山崎郁乃,安田沙織,安田尚加,高岸徹) |
酸化剤/酵素処理した羊毛の染色性 |
2005年 6月 |
(社)繊維学会 年次大会(長良川国際会議場) |
羊毛のエコフレンドリー防縮加工法として,非塩素系酸化剤であるモノ過硫酸水素カリウム(PMS)およびケラチン分解酵素ケラチナーゼで処理した羊毛を異なるタイプの酸性染料を用いて染色し,平衡染着量と染色速度を調べた.染色性から処理羊毛の構造変化,表面特性を検討した.酸化処理や酵素によるSOx成分の変化によって,均染型とミーリング型では染着量への影響の差が顕著に認められた.(長嶋直子,高岸徹,田畑充) |
酸化剤/酵素処理による羊毛の防縮加工 |
2005年 6月 |
(社)繊維学会 年次大会(長良川国際会議場) |
環境への負荷の小さい羊毛の防縮加工法として,非塩素系酸化剤であるモノ過硫酸水素カリウム(PMS)で処理後,ケラチン分解活性の高いケラチナーゼを用いて処理する方法でその防縮性を検討した.PMS処理によって羊毛中の-SH基が酸化され,処理による羊毛表面変化と酵素処理,防縮性との関係を検討した.(梁善美,長嶋直子,高岸徹) |
酸化剤/酵素処理羊毛の防縮性と染色性 |
2005年 8月 |
(社)繊維学会第45回染色化学討論会(信州大学) |
羊毛織物の防縮加工を目的として,酸化剤/酵素処理について検討した.処理後,面積収縮率,強度を測定し,処理条件との関係を調べた.また,前処理による羊毛繊維の表面およびバルクの構造変化に関する情報を得るために,処理繊維を均染型およびミーリング型酸性染料で染色し,染着量,染色速度を求めた.(高岸徹,長嶋直子,梁善美) |
パルスコロナ/酵素処理した羊毛の酸性染料に対する染色性 |
2006年 6月 |
(社)繊維学会 年次大会(タワーホール船堀) |
羊毛の防縮加工において塩素系薬剤処理に替えてパルスコロナで前処理し,その後酵素処理を行う方法は環境への負荷が少なく有効な方法である.そのような防縮加工法で処理した羊毛において問題となる染色性について知見を得るため,酸性染料に対する平衡染着量と染色速度を調べた.さらに染色性から処理羊毛の構造変化,表面特性を検討し,考察した.(長嶋直子,高岸徹,田原充) |
羊毛の反応染色 |
2006年 6月 |
(社)繊維学会 年次大会(タワーホール船堀) |
クロム酸性媒染染料はブラックフォーマルが得られることから,羊毛の染色に多用されている.クロム金属の使用はエコロジーの観点から問題があるため,反応染料への代替が検討されている.本研究では,異種二官能型反応染料による羊毛繊維への染色方法,すなわち吸尽および固着工程の最適化,固着工程と湿潤堅ろう度との関係を検討した.(安藤悠,篠田憲子,長嶋直子,高岸徹) |
酵素処理による羊毛の防縮加工 |
2006年 6月 |
(社)繊維学会 年次大会(タワーホール船堀) |
モノ過硫酸水素カリウム(PMS)またはオゾンで前処理後,酵素ケラチナーゼを用いて処理する方法で防縮性を検討した.また,酵素処理による強度低下を知るため,処理羊毛の引張強度を測定し,強度低下を抑え十分な防縮性が得られる最適条件の検討を行った.(梁善美,長嶋直子,高岸徹,田原充 |
酵素処理したバナナ繊維の物性と染色性 |
2006年 9月 |
(社)繊維学会 秋季研究発表会(金沢大学) |
年間10億トンが廃棄されているバナナ繊維は風合いや染色性の問題から資源として十分に活用されていない.そこで,バイオマスの有効活用およびエコロジーの観点からバナナ繊維を酵素処理し,改質を試みた.酵素処理を施したバナナ繊維の白色度,吸水性,吸湿率を調べ,さらに染色性について検討した.(児島愛,長嶋直子,高岸徹) |
酵素処理羊毛の酸性染料に対する染色性:種々の前処理の影響 |
2006年 9月 |
(社)繊維学会 第46回染色化学討論会(金沢大学) |
種々の前処理として,酸化剤および還元処理,パルスコロナ処理を用い,その後酵素処理した防縮加工羊毛の酸性染料に対する平衡染着量と染色速度を調べた.さらに染色性から処理羊毛の構造変化,表面特性を調べ,種々の前処理による影響を検討した.(長嶋直子,高岸徹,田原充) |
パルスコロナ/酵素処理羊毛の反応染料に対する染色性:繊維構造変化と染色性 |
2007年 6月 |
(社)繊維学会 年次大会(タワーホール船堀) |
高級羊毛製品で濃黒色を得るために酸性媒染染料を用い,媒染剤として重クロム酸塩が使用されるが,染色排水および衣料品の廃棄処分においてクロムの残存が問題となっている.また,AOXの問題からウォッシャブルウールの開発が進んでおり,防縮加工羊毛の染色性の検討が求められている.本研究では,代替染料として反応染料とくに異種二官能型反応染料を用い,パルスコロナ/酵素処理によって得られた防縮加工羊毛の染色性について検討した.(高岸徹,長嶋直子,濱田州博,田原充) |
酸化剤/酵素処理羊毛の酸性染料に対する染色性:染料の構造と染色性 |
2007年 6月 |
(社)繊維学会 年次大会(タワーホール船堀) |
酸化剤/酵素処理羊毛の染色性は,酸化剤による前処理によって染色性が著しく低下することが明らかとなった.そこで染料の構造とくにスルホン酸基数による染色性への影響について,色素母体はほぼ同じでスルホン酸基数の異なる3種の均染型酸性染料を用い,染料の構造と染色性について検討した.(長嶋直子,濱田州博,高岸徹,田原充) |
酸化剤/酵素処理羊毛の酸性染料に対する染色性 |
2007年10月 |
(社)繊維学会 第47回染色化学討論会(京都工芸繊維大学) |
防縮加工羊毛において,前処理とくに酸化剤によって羊毛表面の組成が変化し,酸性染料の染着性にも大きく影響することが明らかとなった.そこでスルホン酸基数が異なる2種の均染型酸性染料を用い,種々のpHとくに強酸性領域における平衡染着量を調べ,酸化剤による前処理が染色性に及ぼす影響を検討した.(長嶋直子,濱田州博,高岸徹,田原充) |
オゾン/酵素処理羊毛の酸性染料に対する染色性 |
2008年 6月 |
(社)繊維学会 年次大会(タワーホール船堀) |
オゾンによる酸化処理後の羊毛の染色性について,平衡染着量を調べた.モノ過硫酸水素カリウム(PMS)処理羊毛のそれと比較し,さらにナイロンの収着機構の解析に用いられる二元収着式によって収着機構を解析した.また,染色性からオゾン処理羊毛の構造変化,表面特性について検討した.(長嶋直子,濱田州博,高岸徹,田原充) |
ゼロAOX防縮加工羊毛に対する染色性 |
2008年 8月 |
(社)繊維学会 第48回染色化学討論会(奈良女子大学) |
酵素による羊毛の防縮加工における前処理として,オゾン,パルスコロナ,モノ過硫酸水素カリウム(PMS)を用いた.前処理によって羊毛の繊維表面は酸化され,未処理羊毛に比べて染色性が異なることが予測される.各種処理羊毛を均染型酸性染料で染色し,染色速度と平衡染着量を調べ,処理羊毛の表面および内部の形態学的,化学的構造変化が染色性におよぼす影響について検討した.(長嶋直子,濱田州博,高岸徹,田原充) |
パルスコロナ/酵素処理羊毛の酸性染料に対する染色性:染料の構造と染色性 |
2009年 6月 |
(社)繊維学会 年次大会(タワーホール船堀) |
染料母体は同じでスルホン酸基数の異なる酸性染料を用い,パルスコロナ前処理後酵素処理した羊毛に対する染色速度と平衡収着量を調べた.さらに,処理羊毛の表面および内部の形態学的,化学的構造変化が染色性におよぼす影響について二元収着式を用いて解析した.その結果,パルスコロナおよびパルスコロナ/酵素処理は染料中のスルホン酸基数が増大しても染色性は低下せず,パルスコロナ処理によって羊毛の染着座席を減少されないことがわかった.このような結果から,パルスコロナによる酸化処理の効果は繊維表面に留まり,コルテックス層におけるジスルフィド結合は酸化されないことが示唆された.(長嶋直子,濱田州博,高岸徹,田原充) |
反応染色によるブラックフォーマル用羊毛織物 |
2010年 6月 |
(社)繊維学会 年次大会(タワーホール船堀) |
現在,ブラックフォーマル用羊毛織物の染色にはクロム金属を含む染料あるいは媒染剤が用いられているが,環境面から問題がある.代替染料として反応染料が注目されていることから,羊毛に対する染色性を詳細に調べ,染色工程の最適化を検討した.さらに湿潤摩擦堅ろう度の向上を目指し,前処理についても検討した.(長嶋直子,高岸徹,田原充) |
反応染料によるブラックフォーマル羊毛織物の染色 |
2010年 9月 |
(社)繊維学会 第49回染色化学討論会(山形大学) |
羊毛織物の反応染料に対する染色性を詳細に調べ,ブラックフォーマル用羊毛織物として良好な黒色を得るための配合条件を中心に検討した.さらに,羊毛染色布において課題である湿潤摩擦堅ろう度の向上を目指し,パルスコロナ処理羊毛についても検討した.(長嶋直子,高岸徹,田原充) |
バナナ繊維およびバナナ/綿織物の染色性 |
2011年 9月 |
(一社)繊維学会 秋季研究発表会(徳島文理大学) |
環境および資源の有効活用の観点から,綿繊維以外のセルロース繊維として,資源循環型であるバイオマスの利用が注目されている.その一つとして多量のセルロースを含有しているバナナ繊維があるが,繊度は不揃い,剛直で,黄色に着色している.実用化には風合い,染色性の改善が望まれる.本研究においては,バナナ繊維を酵素処理し,直接および反応染料に対する染色性を検討すると共に,バナナ/綿織物についても綿織物と比較した.(長嶋直子,高岸徹) |
洗濯条件が衣類のしわ発生におよぼす影響 |
2012年 5月 |
(一社)日本家政学会第52回大会 (大阪市立大学) |
家庭洗濯において洗濯しわが生じる要因を明らかにするため,洗浄方式の異なる2種の洗濯機すなわち渦巻き式(パルセーター式)およびドラム式洗濯機を使用し,種々の洗濯条件(洗剤濃度,温度,浴比,洗浄時間)および脱水時間を変化させて洗濯を行い,さらに乾燥条件(自然乾燥,洗濯機搭載の乾燥機)についても検討した.その結果,浴比が低下し,洗濯時間が長くなると洗濯しわが発生しやすくなる傾向が見られた.(長嶋直子,高岸徹,三ツ井紀子) |
ミリング型酸性染料によるゼロAOX防縮加工羊毛の染色性と堅ろう度 |
2012年 6月 |
(一社)繊維学会 年次大会(タワーホール船堀) |
ゼロAOX防縮加工羊毛の実用化を目指し,パルスコロナ/酵素処理羊毛のミリング型酸性染料に対する染色性と堅ろう度について検討した.パルスコロナ処理では羊毛製品において問題となる湿潤摩擦堅ろう度で良好な結果が得られた.ESCAによる分析から,パルスコロナ処理は親水化が示唆され,未処理羊毛に比べて動摩擦係数が減少し,湿潤摩擦堅ろう度の向上に寄与したものと推察される.(長嶋直子,高岸徹,田原充) |
学生の洗濯に関する実態と意識 |
2012年 6月 |
(一社)日本繊維製品消費科学会 研究発表会(文化学園大学) |
2011年10月,被服整理学未履修の女子学生105名を対象とし,ドライクリーニング表示衣類の洗濯について,表示の意味,洗濯方法,失敗等についてアンケート調査を行い,学生の洗濯の実態と意識について分析した.その結果,ドライクリーニング表示の意味を正確に答えられる学生は少ない事実とドライクリーニング表示の衣類を家庭で洗いたいと思い,実際に洗っている学生が多く,かつ失敗も伴っていることから,洗濯について考える上で表示の意味や取扱いについて学生に理解を促すことの重要性が示唆された.(長嶋直子) |
セラック/ケラチナーゼ処理羊毛の防縮性 |
2012年 9月 |
(一社)繊維学会秋季研究発表会(福井大学) |
ケラチナーゼ酵素単独では防縮性は得られるが,強度低下が著しいことから,前処理として天然樹脂セラックを用いた.セラック前処理における最適溶媒,濃度,時間等を検討した.(長嶋直子) |
学生の取扱い表示への関心 |
2012年 9月 |
(一社)繊維学会秋季研究発表会(福井大学) |
2012年7月,家政学系女子大生と工学系男子大学生それぞれ約150名を対象に現在の衣類の取扱い絵表示の意味の認識と洗濯行動,改定される絵表示に対する意識などを調査分析した.その結果,男女ともにほぼ半数程度が,洗濯時には取扱い絵表示を確認していた.一方,男女共修の家庭科教科書に記載されているISOケアラベルについては男女ともに70%が「わからない」と回答するなど,課題も見られた.また,絵表示による指示よりも言葉での具体的な指示を求めていることがわかった.(長嶋直子,三ツ井紀子) |
ケラチナーゼ処理による羊毛の防縮加工:前処理効果を中心に |
2013年 9月 |
(一社)繊維学会第52回染色化学討論会(豊田工業大学) |
セラック/ケラチナーゼ処理によって羊毛繊維表面のSEMによる形態学的変化,ESCAによる化学組成変化,物理特性等を調べた.その結果,セラックが羊毛スケール間に沈着することで,その後の酵素が内部コルテックス層まで達せず,防縮性が得られることが示唆された.(長嶋直子,高岸徹,平田雄一,濱田州博) |
洗濯条件の違いによる織物の形態安定性 |
2014年 6月 |
(一社)維学会年次大会(タワーホール船堀) |
形態安定加工ワイシャツのW&W性に対する評価にはかくはん式洗濯機が用いられるが,わが国の家庭ではパルセーター式あるいはドラム式洗濯機が主流である.そこで洗浄方式の異なる3種の洗濯機,すなわちかくはん式,パルセーター式およびドラム式洗濯機を用いて種々の条件で洗濯を行い,AATCCしわレプリカを用いて評価した.その結果,かくはん式とパルセーター式では洗濯しわ評価は類似の傾向が見られたが,ドラム式による低浴比洗浄のそれは低く,しわがつきやすいことが明らかとなった.また,W&W性が期待されるT/Cブロードの洗濯しわ評価値は洗浄方式によってかなり異なる事から,現在のかくはん式のみによる評価には課題があることが示唆された.(長嶋直子) |
各種織物に対する玉ねぎ外皮抽出色素の染色性と堅ろう性 |
2015年 6月 |
(一社)日本繊維製品消費科学会年次大会(信州大学 |
廃棄される玉ねぎ外皮から抽出した色素を用いて,未活用資源の一つであった竹由来とする再生セルロース(レーヨン)を混紡した織物をはじめ,セルロース系,タンパク質系の天然繊維への染色性と堅ろう性とくに洗濯堅ろう性について検討した.洗濯液の液性がアルカリ性条件下では変退色の等級が著しく低いが,中性洗剤においては4-5級と良好な堅ろう性が得られ,実用上十分であることがわかった.(長嶋直子) |
水系洗濯による木綿和服地の物性変化 |
2016年 6月 |
(一社)日本繊維製品消費科学会年次大会(東京家政大学) |
会津木綿,伊勢木綿,浴衣生地について,家庭洗濯を繰り返し行うことによる寸法変化および物性変化について検討した.また,縫製時に用いる糸の種類によって洗濯時の寸法変化がどのように生じるか調べた.その結果,縫製前に水通しを行うと繰り返し洗濯後の寸法変化が抑制されること,生地と同じ木綿糸よりもポリエステル糸で縫製した方が寸法変化が小さいことがわかった.(長嶋直子,伊藤瑞香,羽生京子) |
羊毛の反応染色におけるラッカーゼの利用 |
2016年 6月 |
(一社)繊維学会年次大会(タワーホール船堀) |
羊毛染色における湿潤摩擦堅ろう性の向上を目的に,反応染料による染色を行い,固着後のソーピング工程にラッカーゼの利用を試みた.その結果,アニオン,ノニオン界面活性剤によるソーピングに比べ,ラッカーゼで処理することで湿潤摩擦堅ろう性が向上した.ラッカーゼによる未固着染料の脱色によるものと推察された.(長嶋直子,高岸徹) |
ラッカーゼによる異種二官能型反応染料の分解・脱色:羊毛の反応染色への応用 |
2016年 9月 |
(一社)繊維学会第53回染色化学討論会(山形大学) |
異種二官能型反応染料を用いる羊毛の反応染色において,ラッカーゼによる未固着反応染料の分解・脱色挙動を分光学的方法によって調べると共に,実用洗濯におけるラッカーゼの移染防止効果について検討した.その結果,用いた3原色および黒色染料の中で青色染料に対する退色に非常に有効に作用することがわかった.(長嶋直子,平田雄一,高岸徹) |
天然色素におよぼすラッカーゼの効果 |
2017年 6月 |
(一社)繊維学会年次大会(タワーホール船堀) |
天然染料にはアゾ系の発色団がなく分解しても月願性の可能性はない.そのため,天然染料の見直しが進められている.一方,酵素ラッカーゼの作用染料中の水酸基およびアミノ基から水素を引き抜き酸化することによって,染料の共役系を切断し分解・脱色する作用と,フェノール性化合物のオルトおよびパラ位にある水酸基から水素を引き抜き酸化して,キノノイド構造を形成することによって発色する作用である.本研究では、天然色素のラッカーゼによる分解および発色挙動を分光学的方法によって検討した.(長嶋直子,高岸徹) |
低浴比洗浄によるデニム布の移染の検討 |
2017年11月 |
(一社)繊維学会第54回染色化学討論会(宮崎・シーガイア) |
EMPAデニム布を用いて、低浴比洗浄における白布への移染について調べた.その結果,高浴比に比べ低浴比の移染はそれほど顕著ではなかった.水中での試料の移動と摩擦が生じにくいため,移染しにくかったものと推察された.(鈴木春佳,長嶋直子, 塚本和子) |
天然染料およびラッカーゼ酵素を用いる環境調和型羊毛染色 |
2017年11月 |
(一社)繊維学会第54回染色化学討論会(宮崎・シーガイア) |
各種天然染料に対する酸化還元酵素ラッカーゼの脱色・発色作用について検討した.その結果、カルミン酸に対する脱色効果が大きく,無色のヘマトキシリンに対しては発色に作用することがわかった.(長嶋直子,高岸徹) |
家庭洗濯における移染の影響 |
2018年 6月 |
(一社)日本繊維製品消費科学会年次大会(金城学院大) |
EMPA移染モニター布による低浴洗浄条件化における移染の影響を調べた.直接染料-綿の系による移染モニター布は, 洗浄補助剤として硫酸ナトリウムが添加されている場合に最も移染しやすかった.染料部属によっては洗剤の成分による移染の影響が大きいことがわかった.(鈴木春佳、茂木香奈、長嶋直子、塚本和子) |
ヘマトキシリンに対するラッカーゼの効果 |
2018年11月 |
(一社)繊維学会 第55回染色化学討論会(福井大学) |
ヘマトキシリンにラッカーゼ酵素およびメディエーターを添加し、退色および発色挙動を調べた。その結果、酸化反応によってキノノイド構造を形成し、発色するが、さらに酸化が進むと分解し退色する傾向が見られた。そこで、ヘマトキシリン/ラッカーゼ系を羊毛染色に応用したところ、調整直後の染色では発色物質は速やかに染着したが、調整1時間後の染色では表面色濃度K/S値は低下した。(長嶋直子、高岸徹) |
染料に対するラッカーゼの作用 |
2018年12月 |
第32回東海支部若手繊維研究会、P.21~P.22(金城学院大学) |
多価フェノールを有する天然染料に対する酸化還元酵素ラッカーゼの作用と羊毛染色への可能性を検討した。天然戦勝の構造によて、酸化反応による共役系の切断に伴う分解・脱色が生じる場合と、フェノール性水酸基から水素引き抜き反応によるキノノイド構造の形成に伴う発色が選られる場合があった。天然染料の構造は多岐にわたっており、また用いたラッカーゼの基質特異性は顕著で、ラッカーゼ添加効果は非常に複雑なことが分かった。 |
ポリ乳酸繊維の分散染料による染色:マイクロカプセルの応用 |
2019年 5月 |
(一社)日本家政学会第71回大会 研究発表(四国大学) |
家庭洗濯の排水中に含まれるマイクロプラスチックによる海洋汚染が懸念されていることから、石油由来の合成繊維から生分解性のあるポリ乳酸繊維への転換が検討されている。しかしながら濃色に染色できないなど課題がある。そこで、本研究では分散染料をマイクロカプセル化し、ポリ乳酸繊維の染色性を検討した。その結果、分散染料の構造によって染色性が異なることがわかった。 |
天然染料に対するラッカーゼの影響 |
2019年11月 |
(一社)繊維学会秋季研究発表会 第56回染色化学討論会(信州大学) |
天然染料バイカリン、ルチン、ケルセチンを用いて酸化還元酵素ラッカーゼによる脱色・発色効果を調べた。その結果、バイカリン、ルチンにおいてはラッカーゼ添加によって時間とともに短波長側のピークが増大し、発色することがわかった。(長嶋直子、高岸徹) |
著書名 |
単著、 共著の別 |
出版年月 |
発行所・発表雑誌等 |
概要 |
分散染料超微粒子による絹および羊毛の染色 |
共著 |
2001年12月 |
(独)日本学術振興会繊維・高分子機能加工第120委員会年次報告 vol.52,P.21~P.23 |
一般に分散染料は天然繊維を淡色にしか染めないため,染色には適さない.そこで,難水溶性の分散染料を超微粒子化し水に対する溶解性を向上させ,染色を試みた.その結果,綿,レーヨンはほとんど染色しなかった.アゾ系分散染料に比べアントラキノン系のそれは,絹,羊毛を濃色に染めることが可能であることが明らかとなった.染料の化学構造によって超微粒子を形成しにくいためと推察された.(小笠原真次,長嶋直子) |
紅餅から単離したカーサミンによる絹の染色 |
共著 |
2003年10月 |
(独)日本学術振興会繊維・高分子機能加工第120委員会年次報告 vol.54,P.30~P.33 |
紅花を発酵させて得られる紅餅中の色素カーサミンを単離し,花冠中のカーサミンと同一であることを確かめた.さらに分子モデル解析によって,その構造は平面性から著しく背違していることを明らかにした.カーサミン色素の溶液中での挙動と絹布の染色性について検討した結果,染浴のpHが酸性に偏ることによって色素分子中のすべての水酸基は未解離となり,絹非結晶領域中で難水溶性の色素となって析出し,染着することがわかった.(長嶋直子,小笠原真次,片山明) |
酸化剤/酵素処理羊毛の染色性 |
共著 |
2005年10月 |
(独)日本学術振興会繊維・高分子機能加工第120委員会年次報告 vol.56,P.60~P.63 |
酸化剤/酵素処理による防縮加工に伴う羊毛の構造変化,表面特性に関する情報を得るために,処理羊毛をレベリング型およびミーリング型酸性染料を用いて染色し,得られた平衡染着量,染色速度から考察した.(高岸徹,長嶋直子) |
酵素処理羊毛の均染型酸性染料による染色:種々の前処理の影響 |
共著 |
2006年10月 |
(独)日本学術振興会繊維・高分子機能加工第120委員会年次報告 vol.57,P.68~P.71 |
羊毛のケラチン質に選択的に作用すると期待される新規ケラチナーゼ酵素を用いた防縮加工において,前処理に酸化剤やパルスコロナによる繊維表面酸化処理を行う方法を我々は用いている.そこで,それらの前処理が染色性におよぼす影響について均染型酸性染料を用いて検討した.その結果,各処理によって繊維表面がマイナスイオン化するため,染料との電気的反発によって染色性が抑制されることが示唆された.(高岸徹,長嶋直子,田原充) |
酸化剤/酵素処理羊毛の酸性染料に対する染色性 |
共著 |
2007年10月 |
(独)日本学術振興会繊維・高分子機能加工第120委員会年次報告 vol.58,P.71~P.74 |
我々は酸化剤/酵素処理羊毛は未処理羊毛に比べ染着量が減少することを明らかにし,前報(2005年, 2006年)において報告した.そこで,染料母体は同一構造であり,スルホン酸基数の異なる2種の酸性染料を用いて酸化剤処理によって羊毛繊維表面に生成したアニオン性基が染色性にどのような影響を及ぼすか二元収着式によって先着機構を解析した.その結果,染料中のスルホン酸基数が増加すると染料の収着座席数が減少し,染色性に影響を及ぼすことが明らかとなった.(高岸徹,長嶋直子,濱田州博,田原充) |
ケラチナーゼによる羊毛の防縮加工:セラック前処理効果 |
共著 |
2013年10月 |
(独)日本学術振興会繊維・高分子機能加工第120委員会年次報告 vol.64,P.41~P.44 |
天然熱硬化性樹脂セラックと酵素ケラチナーゼ併用処理による防縮加工羊毛の防縮性と強度の関係について検討した.スライバーについては,アーヘンフエルトボール試験によって防縮性を求め,織物についてはJIS L 1096の寸法変化G法に準拠し,パルセーター型洗濯機による洗浄を行い,寸法変化率を求めて評価した.織物についてのみ,JIS L 1096に準拠して引張強度を測定した.また処理羊毛の風合いについてKES-FBで評価した.(高岸徹,長嶋直子,平田雄一) |
セラック/ケラチナーゼ処理羊毛の防縮性 |
共著 |
2014年10月 |
(独)日本学術振興会繊維・高分子機能加工第120委員会年次報告 vol.65,P.50~P.53 |
前報(2013)に続いて,セラックの最適溶媒として,これまでメタノールを使用してきたが,工業化に向けてはコスト面から課題が残る.そこで,代替溶媒としてアンモニア水溶液による処理を試みた.処理後の羊毛の防縮性および強度から,溶媒としての可能性が見出された.(高岸徹,長嶋直子,平田雄一) |
水溶液中における異種二官能型反応染料のラッカーゼによる分解・脱色挙動 |
共著 |
2015年12月 |
(独)日本学術振興会繊維・高分子機能加工第120委員会年次報告 vol.66,P.48~P.51 |
異種二官能型反応染料を用いる羊毛の反応染色において,ラッカーゼによる未固着反応染料の分解・脱色挙動を分光学的方法によって調べると共に,実用洗濯におけるラッカーゼの移染防止効果について検討した.その結果,用いた3原色および黒色染料の中で青色染料に対する退色にラッカーゼは非常に有効に作用することがわかった.(高岸徹,長嶋直子) |
ラッカーゼによる異種二官能型反応染料の分解・脱色 |
共著 |
2017年 2月 |
(独)日本学術振興会繊維・高分子機能加工第120委員会年次報告 vol.67,P.40~P.43 |
羊毛の反応染色における,ソーピング工程の未固着反応染料の除去,繊維に残留した未固着反応染料の洗濯時の堅ろう度低下(移染),湿摩擦、色泣き等を改善するため,ラッカーゼを用いて異種二官能型反応染料の分解・脱色挙動を調べた.(高岸徹,長嶋直子,平田雄一) |
天然染料およびラッカーゼ酵素を用いる環境調和型羊毛染色 |
共著 |
2017年10月 |
(独)日本学術振興会繊維・高分子機能加工第120委員会年次報告vol.68,P.51~P.54 |
多価フェノールを有する天然染料に対する酸化還元酵素ラッカーゼの作用と羊毛繊維への染色性を検討した。その結果,天然染料の構造は多岐に渡っており,また用いたラッカーゼの基質特異性は顕著で,ラッカーゼ添加効果は非常に複雑であることが分かった.(長嶋直子,高岸徹) |
ヘマトキシリンに対するラッカーゼの効果 |
共著 |
2018年10月 |
(独)日本学術振興会 繊維・高分子機能加工第120委員会年次報告 vol.69,P.47~P.50 |
5種の天然染料、カルミン酸、ケルセチン、ベルベリン、ヘマトキシリンそしてヘマテインについて、ラッカーゼによる退色挙動を検討した。この中で、その構造中に発色団を持たず無色であるヘマトキシリンは、ラッカーゼの添加によって吸収スペクトルは時間と共に複雑に変化していくことがわかった。そこで、電子伝達物質のメディエーターを添加したが、その効果は見られなかった。(長嶋直子、高岸徹) |
天然染料に対するラッカーゼの効果 |
共著 |
2019年10月 |
(独)日本学術振興会 繊維・高分子機能加工第120委員会,vol.70,P44~P47 |
天然染料のうち、フラボン・フラボノール系色素を対象に、酸化還元酵素ラッカーゼの効果を溶液のスペクトル測定を中心に検討した。その結果、ラッカーゼ酵素は、ナフタレン環のパラ、オルト位に水酸基を有する構造に比べて、カテコール構造の水酸基を優先的に酸化し、キノノイド構造を形成することによって発色が期待できることがわかった。(長嶋直子、高岸徹) |
ポリ乳酸繊維の天然染料による染色 |
共著 |
2020年 |
(独)日本学術振興会 繊維・高分子機能加工120委員会vol.71 |
生分解性合成繊維ポリ乳酸繊維に対する天然染料染色の可能性を探ることを目的とし、アントラキノン系分散染料とよく似た構造を有する茜の色素、アリザリン、プルプリン、キニザリンを用いて、分散染料の染色方法でポリ乳酸繊維の染色を行った。染色後の表面色濃度K/S値を用いて検討した結果、キニザリンはポリ乳酸繊維に対し良好な染色性を示した。(長嶋直子、高岸徹) |