著書名 |
単著、 共著の別 |
出版年月 |
発行所・発表雑誌等 |
概要 |
「コミュニティワークの理論と実践を学ぶ」 |
共著 |
2004年 6月 |
みらい |
「第2章コミュニティワークとNPO」(P43~P58)コミュニティワークの推進主体とは、コミュニティワーカーであるとともに住民、住民組織であるという位置づけをし、住民・市民組織としてのNPOの役割・機能を明確化した。そのうえで、NPOがコミュニティワークにおいて、福祉コミュニティを形成する主体であり、その推進方法について具体的に論じた。編者 濱野一郎、野口定久、柴田謙治 執筆者 濱野一郎、朝倉美江他8名 総頁数207 |
「高齢社会と福祉」 |
共著 |
2004年 8月 |
ドメス出版 |
「序章 高齢社会と福祉社会」(P1~P19)「第8章 高齢者とボランティア・NPO」(P230~P252)「第9章 高齢社会のまちづくり」(P230~P276)序章では、高齢社会と少子化によって、福祉国家の基盤であった家族、地域社会が大きく変化し、高齢化は国際的にも重要な課題の一つとなっていることを論じ、深刻化する高齢者問題を解決するためには福祉社会の形成が不可欠であることを述べた。第8章では、高齢者にとって、孤独の問題は切実であり、さらに自己実現との関係でも生きがいづくりや、そのための人間関係・社会関係の構築が重要なテーマであることを論じた。そのうえで、孤独・生きがいの問題を解決するために主体的な活動としてボランティア活動・NPO活動の位置、可能性について論じている。第9章では、高齢者の居場所と地域の関係を明確にし、高齢者の社会参加がまちづくりという視点で展開されることの重要性を論じた。政策的にも老人福祉計画、介護保険事業計画、地域福祉計画が位置づけられ、住民参加が実体化しつつある状況があり、そこに利用者・当事者の視点で高齢者が参加することの意味と必要性を明確にした。さらにまちづくりにおいては、地域における三世代交流活動などを通して、福祉文化の形成が期待されることも論じている。編者 朝倉美江 執筆者 朝倉美江、池田恵利子他9名 総頁数280 |
「新版社会保障・社会福祉事典」 |
共著 |
2004年12月 |
旬報社 |
「第1章 社会福祉政策の転換と福祉改革」(1990~1999年)(P431~P436)第1章では、社会福祉政策の動向について1990年代の社会福祉基礎構造改革に焦点をあて、その概要を説明している。具体的には、社会福祉関係8法改正において計画化が推進され市町村重視が明確になった点、さらに社会福祉における在宅化、地域化の動向と住民参加の位置づけ、さらに社会福祉供給システムの多元化と市場化の動向と課題について論じた。第3章では、協同組合の国際的な歴史、動向とわが国の協同組合運動の概要、さらに協同組合と福祉活動・福祉サービスとの関係について論じた。編者 事典編集委員会執筆者 大友信勝 朝倉美江他168名 総頁数950 |
「改訂第3版 精神保健福祉士養成セミナー 地域福祉論 第 12巻」 |
共著 |
2005年 3月 |
へるす出版 |
「第4章 地域福祉の推進方法Ⅱサービス提供組織とその運営」(P127~P136)福祉サービスの提供と公的責任の関係について論じたうえで、「政府の失敗」と「市場の失敗」という課題から「第3セクター」が注目されるようになった背景と福祉多元化の推進状況について論じた。さらに福祉サービス提供主体の多様化と多元化がわが国においては、1980年代福祉改革以降どのように展開されたかを紹介し、2000年の介護保険実施によって「企業福祉」が急速に展開されるようになっていることを論じている。多元化が急速に推進するなかで、具体的にはどのような提供主体が存在し、どのような役割を担っているのか、またそのサービスの運営方法のポイントを紹介している。そこでは総合的なシステム、権利擁護と苦情解決、さらに組織のマネジメントと評価について論じた。編者 精神保健福祉士養成セミナー編集委員会 執筆者 野口定久、朝倉美江他23名 総頁数328 |
「高齢社会の医療・福祉経営」 |
共著 |
2005年 3月 |
桜井書店 |
「第5章 協同組合福祉における生活支援―生活共同体の形成と介護保険制度への対応」(P117~P140)産業化・少子高齢化によって家族機能は脆弱化しつつある。現代の家族が機能していくためには、家族を超えた「生活共同体」を形成し、家族を支援する役割を果たすことが求められている。具体的には、家族機能が社会化しつつあるなかで、家族機能の外部化は政府・市場による「社会的領域」、さらに民間非営利組織が担う「地域共同領域」そして互助を基盤とした助け合い活動が担う「生活共同領域」が設定できる。その生活共同領域を担う一つの典型として協同組合による生活支援活動を取り上げ、その領域を家族機能を代替する最も私的領域に接近したものとして位置づけた。その領域を担う生活協同組合の組合員による福祉活動の実態とその位置づけを明確化した。編者 野村秀和 執筆者 野村秀和、朝倉美江他6名 総頁数213 |
「高齢者福祉論」 |
共著 |
2006年 4月 |
みらい |
「第8章高齢者在宅(居宅)サービスの現状と課題」(P129~P142)高齢者の在宅介護の実態を明らかにし、要介護の実態の深刻化と施設ニーズの高さを紹介している。施設については全室個室・ユニットケアの新型特養が登場し、従来型の雑居状態は改善されつつあるが、国際的にも脱施設化が進展している。介護保険以降は、わが国でもようやく施設から在宅へという方向が本格化しつつある。2005年の制度改正では、在宅サービスについては、自治体が今まで以上に責任をもち、日常生活圏域を基盤とした地域密着型サービスとして新たな展開がされることとなった。改正された介護保険法は、予防重視型のシステムが提案され、ICFモデルに基づいたマネジメントが実施されることになっている。予防の重要性はいうまでもないが、重介護化もすすむなかで、より高いサービスの質が求められるようになっている。そこではサービス評価と権利擁護のシステムが重要であることを指摘している。編者 野口典子他 執筆者 野口典子、朝倉美江他13名 総頁数231 |
「社会福祉援助技術論」 |
共著 |
2006年12月 |
建帛社 |
「第5章 間接援助技術」(P104~P129)社会福祉援助技術のなかの間接援助技術について総合的にその理論と具体的な実践方法について論じている。間接技術としては、コミュニティワーク(地域援助技術)についてはその歴史、理論、ソーシャル・プランニング(社会福祉計画)についてはその位置づけと実践例、ソーシャル・リサーチ(社会福祉調査)についてはその意味と実際の方法、ソーシャル・アクション(社会福祉活動)についてはその本質と歴史、実践方法、ソーシャル・アドミニストレーション(社会福祉施設運営管理)については、その役割と組織運営の実践方法を紹介している。編者 坂本道子他 執筆者 坂本道子、朝倉美江他14名 総頁数215 |
「新版 高齢者福祉論」 |
共著 |
2007年 2月 |
光生館 |
「第5章 高齢者福祉のサービス提供組織」(P55~P62)1人ひとりが最期まで安心して地域で生活することを保障するために必要不可欠な高齢者サービスについて、その位置づけと多様なサービス提供組織とそれぞれの役割について論じている。その際に住民参加による地域ケアシステムの形成が求められる背景と展望を論じた。編者太田貞司 執筆者太田貞司・朝倉美江他10名 総頁数155 |
「現代社会保障・福祉小事典」 |
共著 |
2007年 2月 |
法律文化社 |
「生活協同組合の意義と発展」(P107)生活協同組合の歴史と現状について概要を紹介し、今日的な生活協同組合の意義と今後の展望について論じている・編者山路克文・加藤博史t他、執筆者 朝倉美江、阿部和光他総頁数207 |
「福祉ボランティア論」 |
共著 |
2007年 9月 |
有斐閣 |
「第4章 歴史のなかの福祉ボランティア」(P64~P82)福祉ボランティアを第二次世界大戦後の民主化政策、欧米の民主主義・市民自治の思想の影響のなかで発展してきたものであると位置づけた上で、その前史としての相互扶助活動を①仏教慈善と地域共同体、②近代化の過程のなかで発展した社会事業、③欧米の影響によって誕生したセツルメント活動、④方面委員活動を位置づけた。その後戦後のボランティア活動についてものプロセスと特徴を明確にしながら紹介し、論じている。「第7章 福祉ボランティアの主役は女性?」(P121~P138)福祉ボランティアの担い手の多くが女性であることに焦点をあて、ジェンダー構造の社会において女性が置かれている立場からより社会問題が見えていること、そのことが問題解決へと行動を起こす必然性があるのではないかという仮説に基づいて、女性ボランティア活動の実態とその課題、さらに男女共同参画社会の形成主体としての女性ボランティアの可能性を論じた。「第8章ボランティア組織をつくろう!」(P139~P155)自発性を原理としたボランティアが組織化するには多くの困難がある。組織化の要因とそのプロセスを明確にし、ボランティアマネジメントのポイントとNPO法人化することの意味をメリットとデメリットを紹介しながら論じた。またボランティア組織のリスク管理の重要性とアドボカシーの役割の意味を検討し、紹介している。「第9章 地域に広がれ!ボランティア」(P159~P179)福祉ボランティアは福祉の多様な領域において活動を展開している。地域福祉、高齢者福祉、障がい者福祉、子ども福祉の領域それぞれの活動の特徴とボランティアの役割と実態を紹介した。「第10章 なぜボランティアがサービスを提供するの?」(P181~P199)では、福祉サービスの多元化が推進されるなかでのボランティアの位置づけについて、その活動領域の特徴(生活共同)を明らかにし、労働との関係、権利擁護の機能、行政との対等性について検討した。「第11章 福祉ボランティアがつくる地域の自治」(p201~p221)ではコミュニティ再生とボランティアとの関係について論じた。総頁数271 編著 三本松政之、朝倉美江、執筆者 西村裕美、石川久仁子、天田城介、門美由紀、西山志保、文貞實 |
「社会福祉援助技術の基礎と実際」 |
共著 |
2008年 3月 |
文化書房博文社 |
「第3章 地域援助技術」(P75~P107)地域援助技術の概念、歴史と定義について論じ、地域援助技術の展開過程をアメリカのコミュニティ・オーガニゼーション等を紹介し、さらに日本での発展過程を論じた。そして地域援助技術の代表的な地域組織化、社会福祉計画、地域福祉活動(ソーシャルアクション)について理論と実際を紹介している。そのうえで地域福祉援助の課題として、ソーカルデモクラシー、ユーザーデモクラシーさらにNPOの役割とその支援体制の必要性について論じている。総頁数201、執筆者 朝倉美江、米山岳広、蔵野ともみ、高木寛之、瓜巣由紀子、比嘉眞人、大塚良一、相原眞人 |
地域福祉 |
共著 |
2009年11月 |
ミネルヴァ書房 |
「3社会福祉協議会による地域福祉の開拓」(p31~40)社会福祉協議会が先駆的に1970年代後半から在宅福祉に取り組み、1980年代には事業型社協として発展していった経緯について紹介し、そのなかでの社協は制度を開拓し、さらに制度の狭間を埋め、そしてサービス利用者や住民の権利を擁護する役割を担っていることを明らかにしている。「9地域住民による福祉活動をすすめよう」(p93~104)地域社会の人間関係が希薄化するなかで、地域福祉活動プログラムが人々のつながりをつくるものとして開発され、「ふれあい・いきいきサロン」活動が展開されている。そのなかでのコミュニティ・ワーカーの役割と住民主体の意味について論じている。「13地域福祉の新たな主体:ボランティアとNPO」(p136~147)ボランティアとは何か。ボランティアの組織化の必要性から誕生したNPOの位置づけと課題について検討している。「17在日外国人と地域福祉の課題」(p181~190)グローバリゼーションが進展するなか、日本にも外国籍の人々が増加している。そのなかでも単純労働力として期待されている日系ブラジル人に焦点をあて、その生活困難の実態と多文化共生コミュニティの形成の課題について論じている。総頁数274、執筆者 朝倉美江、柴田謙治、木下聖、室田信一 |
『地域ケアシステムとその変革主体 市民・当事者と地域ケア」 |
共著 |
2010年 9月 |
光生館 |
「はしがき」(p3-4)では「地域ケアシステム」は創造し、変革するものであり、その「地域ケアシステム」を創造・変革する主体は、市民・当事者であるという位置づけ、本書のねらいを明らかにした。「序章 地域ケアシステムづくりへの挑戦』(p1-10)では、「地域ケアシステム」の変革主体は、それをもっとも必要とし、そのシステムについて最終的な判断ができるのは当事者であること。さらに地域ケアシステムとは、地域社会の構造にかかわる問題であることから地域で発生するケアに関わる問題は地域社会の問題であるととらえ、それを解決できる地域社会に変革することが求められることを論じた。「第1章『市民力』でつくる地域ケアシステム」(p13-33)では、我が国の在宅ケアの推進において先駆的な役割を果たしてきた杉並・老後を良くする会の実践に焦点をあて、当事者である住民たちが約40年にわたって在宅ケア活動・事業を担ってきたプロセスを明らかにし、その住民たちが地域ケアシステムをつくりだした力を「市民力」と位置づけ、その「市民力」が創造した地域ケアシステムについて明らかにした。総頁数238、編著朝倉美江、太田貞司、執筆者杉山孝博、藤井博志他 |
「新しい地域づくりと福祉文化」 |
共著 |
2010年11月 |
明石書店 |
「福祉施設が取り組む地域づくりと福祉文化」(p162-171)地域づくりとは、その地域で暮らす住民が、自分たちが暮らすまちを良くしたいと願い、それを実現するプロセスに他ならない。その地域づくりを進めてきた社会福祉法人サンフレンズが、介護保険制度等に基づき特別養護老人ホームや在宅福祉サービスを担うにとどまらず、杉並の地域づくり運動の拠点となっており、その地域づくり運動は杉並の福祉文化として確実に地域に根づいていることを実証的に論じている。総頁数295、執筆者朝倉美江、島田治子他 |
「地域包括ケア」における住民主体」『地域包括ケアシステム その考え方と課題』 |
共著 |
2011年 2月 |
光生館 |
第5章「地域包括ケア」を実現するための「住民」の位置づけと役割について検討し、住民を主体とし、「互助」を核とした地域包括ケアについて論じた。なかでも「生活の協同」を実現しつつある主体として、コープあいちの地域包括ケアの取り組みを紹介、新しいコミュニティ形成主体としての協同組合福祉について論じた。(p121~133)総頁213、執筆者朝倉美江 太田貞司 |
社会福祉と権利擁護 |
共著 |
2012年 3月 |
放送大学教育振興会 |
「地域福祉とコミュニティ」コミュニティから排除される人々が増加傾向にある今日、孤独死や児童・高齢者の虐待、精神障害、ホームレス、移民など深刻な社会的排除の問題を地域で解決することが求められている。地域福祉は何かを明らかにし、社会的排除の問題を解決するために求められるNPOや福祉コミュニティについて論じた。(p183-201)「グローバル化における社会福祉」グローバル化の進展と人口減少社会における労働力不足を背景に、1980年代後半以降「単純労働者」として中国人研修生・技能実習生、日系ブラジル人等が増加し、その定住化も進展してきた。その多くは非正規雇用であり、生活困難で社会的に排除される傾向にある。移民の生活問題の特徴を明らかにし、多文化社会における社会福祉の役割を考察した。(p164-181)総頁284、執筆者大曾根寛、朝倉美江、近藤敦、吉川雅博、豊島明子 |
フェミニズムと社会福祉政策 |
共著 |
2012年10月 |
ミネルヴァ書房 |
第9章「ボランティア活動と女性」で、ボランティアの歴史とジェンダーとの関連、福祉政策のなかで期待される女性ボランティアの位置づけを明確に論じた。またボランティアが組織化されるなかでNPOへの転換が行われ、そのなかでボランティアの独自性や創造性が課題となっていることを指摘している。なかでもボランティアが権利の創造主体であることから男女共同参画社会、多文化共生社会の形成を担うことの今日的意味を論じた。(pp.198-216)総頁298、執筆者杉本貴代枝、湯沢直美他10名 |
社会福祉原論の課題と展望 |
共著 |
2013年 5月 |
高管出版 |
第6章「社会福祉における介護労働ージェンダーの視点から」福祉国家におけるジェンダー不平等の問題を論じ、なかでも最も深刻な課題として介護労働について論じている。その原因として介護労働の専門職性の問題と介護労働の「商品化」の問題を実体調査に基づいて明らかにした。そのうえで、現在求められている地域ケアシステムのなかで、介護を社会福祉のなかに明確に位置づけること、その専門性と独自性とともに介護が専門職と住民との協働によるものであり、その協働のしくみのなかでジェンダー平等にすることの必要性等を論じている。(pp.166-183) 第7章「社会福祉におけるコミュニティと地域再生」社会福祉とコミュニティとの関連について議論し、コミュニティと社会的排除の問題を検討した。なかでも1980年代後半から急増している日系ブラジル人に焦点をあて、彼らがコミュニティのなかで排除されていること、さらに社会福祉が移民を想定していないことの問題を明らかにしている。人口減少が急速に進み、地域崩壊が顕在化するなかで、多様化する生活問題に対応できる多文化共生コミュニティの形成への展望を論じている。(総頁216、大友信勝、永岡正巳他3名 |
『園田保健社会学の形成と展開』 |
共著 |
2013年 8月 |
東信堂 |
「トランスナショナルな移住と多文化共生コミュニティの形成」(p92-119)というテーマでグローバル化の中で増加しているトランスナショナルな移住の事例として日系ブラジル人の問題をとりあげ、2008年の世界金融恐慌の影響によって日本から帰国した日系ブラジル人の実態と課題をブラジルでの調査をもとに論じ、多文化共生コミュニティの形成の可能性について検討した。 総頁306 朝倉隆司、小澤温他23名 |
『社会福祉とジェンダー』 |
共著 |
2015年 9月 |
ミネルヴァ書房 |
「トランスナショナルな移住と多文化地域福祉」(p3-23、全360頁)グローバル化が進展するなかで、コミュニティは多文化化しつつある。そのような状況は「福祉国家の溶解」という国民国家の枠組みを問い直す必要を迫っている。移民とは何かを明らかにし、トランスナショナルな生活の実態を日系ブラジル人を事例に実証的に明らかにしている。そのうえでそのような生活を支援する制度等が未整備であることを指摘した。またブラジルの支援機関の実態を実証的に明らかにするなかで、多文化地域福祉という国境をつなぐ政策や支援方法の必要性を明らかにした。(朝倉美江、乙部由子他17人) |
はじめて学ぶ人のための社会福祉 |
共著 |
2016年 8月 |
誠信書房 |
第5章「地域社会と福祉」(pp。67-81 全175頁)を担当。地域社会と福祉の関係について、地域社会における関係性の希薄化に焦点をあてて論じた。今日の地域社会の特徴として、「無縁社会」「弱者に冷たい社会」を紹介し、そのような中で求められる新しいつながりとしてボランティアやNPO、協同組合の位置づけを明らかにした。そのうえで、今日推進されている社会保障制度改革のもと地域包括ケアシステムの形成が求められていることの意味を検討した。さらに人口減少と超高齢社会が進展するなかで、地域再生が求められている。その再生は多様性を尊重するまちづくりのなかにおいて展望できることを論じた。(三本松政之、坂田周一、朝倉美江他8名) |
『コミュニティ事典』 |
共著 |
2017年 6月 |
春風社 |
「トランスナショナル・コミュニティと家族戦略」(p330-331)トランスナショナルな移住と移住家族との関係とその移住の戦略について概要をまとめた。「日系ブラジル人と当事者コミュニティ」(p360-361)日系ブラジル人の移住の特徴とその課題、その課題解決のための当事者組織について論じた。「コミュニティと福祉に関わる共同・協同の思想」(p522-523)コミュニティと福祉における共同・共生、協同の思想について論じた。「共生ケアの展開とコミュニティ」(p546-547)地域福祉における共生と共生ケアの展開について論じた。「「弱者」をつくらない福祉コミュニティの創造を」(p576-577)被災地支援と福祉コミュニティとの関係について論じた。「コミュニティ関連年表」(p940-947)コミュニティ関連年表を紹介。(伊藤守、吉原直樹、朝倉美江他284名)総頁数1143 |
多文化共生地域福祉への展望 多文化共生コミュニティと日系ブラジル人 |
単著 |
2017年 9月 |
高菅出版 |
グローバル化のもと移民(外国人)が急速に増加し、深刻な問題が顕在化しつつある。本書では日系ブラジル人に焦点をあて、その背景・歴史、現状を調査によって明らかにし、その問題解決方法を検討している。そのなかで、地域福祉理論のレビューをし、その課題を明らかにした。トランスナショナルな移民の生活問題を解決するためには、地域福祉のなかに移民を明確に位置づけ、①民間性、②多様性、③流動性、④グローバルなコミュニティの視点が重要であることを明らかにした。さらに多様な人々がともに生活することとそれらの人々で労働をいかに創造するかが重要な課題であることを論じた。日系ブラジル人という歴史的・社会的につくられた移民の問題を私たちの問題として捉え、多様な国籍、言語、文化をもつ人々の生活や彼ら、彼女らとともに生きる私たちの生活や生き方が多様であること、そしてその1人ひとりが尊重される多文化共生コミュニティの創造が求められている。(総頁263) |
『コミュニティ・ユニオン 社会をつくる労働運動』 |
共著 |
2019年 3月 |
松籟社 |
第8章「貧困の広がりと新しいコミュニティ」で、コミュニティ・ユニオンの組合員がワーキングプアであり、その背景には非正規雇用や劣悪な職場環境があり、メンタルヘルスの問題が深刻化しつつある。労働者であると同時に市民である彼、彼女らは生存権や社会参加の機会から置き去りにされている。ユニオンはコミュニティという共有、公共の場をマイノリティの人権を尊重した新しいコミュニティへと変える可能性がある。文貞実編著、朝倉美江他7名、全344頁 |
『外国人と共生する地域づくり 大阪・豊中の実践から見えてきたもの』 |
共著 |
2019年 3月 |
明石出版 |
「多文化共生地域福祉とジェンダー」多文化共生地域福祉とは何かについて、ジェンダーに焦点をあてて論じている。そのなかで「外国人労働者」の実態と課題を明らかにし、なかでもジェンダーに関わる介護問題に焦点をあて、介護等の課題を解決するための多文化共生地域福祉の枠組みを紹介した。(pp216-225)牧里毎治監修、とよなか国際交流協会編集、朝倉美江、牧里毎治他32名総頁298 |
協同による社会デザイン |
共著 |
2019年 4月 |
日本経済評論社 |
第3章「地域福祉型生協の展開と可能性-協同組合は社会運動を担えるのか」で、グローバル化の下、人口減少・超高齢社会を迎え、さらに社会保障制度が縮小されつつあるこんにち、深刻化している貧困・社会的排除を解決するために社会運動が求められている。地域福祉はセツルメントを原点とする社会変革をめざす活動であり、協同組合と共通する理念をもっている。そのような理念をもつ生協を地域福祉型生協と位置づけ、その実践の分析と可能性を論じている。pp107-152 小木曽洋司・朝倉美江他10名、全378頁 |
『多文化福祉コミュニティ』 |
共著 |
2020年 4月 |
誠信書房 |
第2章「移民問題と多文化福祉コミュニティ」移民問題のなかでも「外国人労働者問題」に焦点を当て、外国人労働者が抱える生活問題の特徴と社会的排除の問題を明らかにし、そのうえで地域福祉における移民問題の位置づけを明らかにした。グローバル化のもとでは、多文化共生地域福祉の実践が求められ多文化福祉コミュニティの創造が求められている。(pp.28-50)コラム1「技能実習生と改正入管法」(pp.25-27)コラム2「望郷の鐘」(pp.51-53)コラム3「『焼肉ドラゴン』とハルモニのカルタ」(pp.75-77)第4章「移住女性の主体的な選択とコミュニティ 女性のエンパワメントに着目して」韓国の多文化家族支援センターを利用している移住女性の実態と彼女らの主体的な選択を支援する方法について検討した。(pp78-85)終章「移民の人権と多文化福祉コミュニティ」多様性と福祉に焦点をあて、各章の概要を紹介し、そのうえで多文化福祉コミュニティをどのように目指すことが可能なのかを論じた。(pp149-160)三本松政之、朝倉美江他3名(全205頁) |
『地域福祉ガバナンスをつくる』 |
共著 |
2020年 7月 |
全国社会福祉協議会 |
「多文化共生と地域福祉ガバナンス」というテーマで、多文化共生における「外国人」の権利が保障されていない問題、さらに「外国人」が排除されている現状において「外国人」が抱えるリスクは深刻化している。在留外国人も増加しているこんにち、目指されている地域共生社会の総合相談・包括的支援体制が「外国人」にとってその国籍・言語・文化を尊重したものになるためにも地域福祉ガバナンスに多様性を明確に位置付ける必要があることを論じた。pp113-118(原田正樹他8名、全197頁) |
著書名 |
単著、 共著の別 |
出版年月 |
発行所・発表雑誌等 |
概要 |
「コミュニティケアを担う協同組合福祉へ」 |
単著 |
2004年 4月 |
くらしと健康NO65 2004年4月 日本文化厚生農業協同組合連合会 |
コミュニティケアの推進主体として、なぜ協同組合が福祉の担い手になるのか。その背景を①福祉国家の再編=民営化・市場化の推進、②少子高齢化の進展=福祉ニーズの拡大・深刻化、③市民社会の成熟と協同組合活動の発展によって明らかにした。さらにその協同組合福祉の特徴は、①生活福祉を担う、②利用者参加の実体化、③民主的な運営、④協同組合人による運営である。そのような協同組合がコミュニティケアを担うことは、福祉サービスの質の向上やコミュニティにおける協同組合の存在意義においても重要であることを指摘した。(P7~P18) |
「協同組合福祉の可能性」 |
単著 |
2004年 8月 |
協同組合フォーラム2004報告集 |
協同組合福祉が発展してきた歴史的背景と現在の協同組合福祉の実態から、協同組合福祉の独自性は何かを明らかにし、今日福祉改革が推進されるなかで、協同組合福祉は、組合員でもある利用者主体で、コミュニティに内在化したものとなりうるのかを提起した。「一人は万人のために、万人は一人のために」という協同組合の思想をどこまで実体化できるのかが、協同組合福祉の実践には問われていることを指摘した。(P29~P35) |
「向かい風の給付『抑制』の中で農協ケアマネに期待する」 |
単著 |
2004年11月 |
くらしと健康NO67 2004年11月 日本文化厚生農業協同組合連合会 |
介護保険の改正が検討され、その概要のなかで、福祉サービス提供の核となるケアマネジメントが、「予防重視型システム」のなかで、新・予防給付へのスクーリングを担うことが期待されている。そのような状況において協同組合は利用者を主体者として、その生活を総合的に把握し、アセスメントすることが期待されることを論じた。(P20~P21) |
「広域行政化における住民参加の福祉のまちづくりの課題と展望」 |
単著 |
2005年 4月 |
こむ第36号 地域ケアネットワーク・こむ |
2005年の新合併特例法によって、推進されつつある市町村合併という行政の広域化のなかで、福祉のまちづくりがどのような状況に当面しているのか。全国的にも福祉自治体の先駆的なモデルであり、総務省の「共生のまちづくり懇談会最終報告書」においても成功例として評価されている秋田県の鷹巣町(現北秋田市)の事例を紹介した。そこで行政広域化によって福祉サービスや住民参加がいかに変化し、住民参加の位置づけの弱体化が福祉サービスの量・質の低下となって、利用者の生活困難・不安を生じさせている実態を調査結果によって明らかにした。(P3~P12) |
「協同組合福祉と介護保険法『改正』-農協はくらしに出会えるのか?」 |
単著 |
2006年 3月 |
共済総合研究Vol.48 2006.3 JA共済総研 |
2005年わが国は人口減少社会へと転じたが、それは農村地域においてより深刻な問題となりつつある。その農村を基盤としたJAが、農村地域で深刻化しつつある高齢者問題、なかでも介護問題について、どのような解決主体となりうるのかを検討した。JAは高齢化を背景に1990年代から高齢者福祉事業に参入してきた。そこではJAの組合員によるくらしの助け合い活動などを基盤としながら、協同組合の理念である相互扶助を実体化する取り組みとして推進されてきたことが特徴といえよう。2005年に改正された介護保険法では、予防重視型システムが提唱されているが、JAが長年取り組んできた組合員活動をさらに強化することは介護予防をより幅広く、まちづくりという視点も踏まえて展開できると考えられる。その事例としてJAあづみのくらしのネットワーク「あんしん」の取り組みを分析し、今後のJAの福祉活動の展望を論じた。(P20~P29) |
「非営利・協同の力でリスク社会を変えられるか」 |
単著 |
2006年 3月 |
自然と人間2005年3月 VOL117 |
リスク社会といわれる現在、消費者が連帯することによって、自分たちの生活を守ることを目的につくられた生活協同組合が、少子高齢社会の今、子育てや介護の問題を自らの協同の力で解決しようとしつつある。福祉サービスの市場化がすすむなかで、安心できるサービスをワーカーズ・コレクティブという新しい働き方によって自分たちで介護サービス等も生み出し、運営しつつある。そのような取り組みを先駆的に行っている生活クラブ生協・神奈川の実態を紹介しながら、リスク社会を安心社会へと変革する可能性があることを論じている。(P18~P20) |
『コミュニティ福祉学入門-地球的見地に立った人間福祉』書評 |
単著 |
2006年 3月 |
地域福祉研究34 日本生命済生会 福祉事業部 |
岡田徹他編『コミュニティ福祉学入門-地球的見地に立った人間福祉』(有斐閣)の書評を行った。本書は、「コミュニティ福祉学」を世に問うものとして刊行されている。「コミュニティ福祉学」とはコミュニティに焦点をあてることによって、人間と共同性との関係が明確になり、さらにコミュニティの共同性に比重を置くことから、その質を主体的に個別の多様な人間を中心に変革するという運動的視点が強化されるという枠組みになっている。また本書は19の章から編集されているので、その概要をまとめ、全体の評価と課題について論じている。(P129~P130) |
「庄内まちづくり協同組合『虹』ロマンとソロバンで安心社会を!」 |
単著 |
2006年 5月 |
自然と人間2006年5月Vol 119 |
庄内まちづくり協同組合は、共立社と庄内医療生協が基盤となって、わが国で初めて「まちづくり」を目的として設立された協同組合である。この協同組合は、「健康・福祉資本」である住宅を協同組合によって整備しつつある。さらにこの住宅は、高齢者にとって、居住の場であるとともに医療・介護ニーズに対応できるものであることが必要不可欠となっている。庄内まちづくり協同組合は、そのようなニーズに対応できる全室個室のユニットケア対応の住宅をつくり、運営している。そこでは、生協、医療生協、社会福祉法人、高齢者福祉生協等が協同することによって、多様なサービスの提供と雇用の創出や地産地消というしくみも試みられており、少子高齢社会のなかで、安心できる地域づくりの拠点となっていることを論じている。(P10~P12) |
「定住化する外国籍住民への自治体政策と市民による支援活動の課題―岐阜県の取り組みから―」 |
単著 |
2007年 3月 |
『金城学院大学論集』社会科学編第3巻第2号 |
今日の社会福祉改革の背景にはグローバリゼーションの推進があり、さらにその影響を最も先鋭に受けていると考えられる外国籍住民に焦点をあて、外国籍住民の生活課題を明らかにし、社会保障・社会福祉サービスシステムから排除されつつある人々の生活を支援するにあたって、どのような課題があるのか、岐阜県における日系ブラジル人の生活実態と自治体の支援施策さらに市民による支援活動を検討した。その際、岐阜県の外国人集住地域である美濃加茂市・可児市を事例とし、そこで定住化しつつある日系ブラジル人の事例調査と両市の外国人施策を具体的に検討した。外国人であることによって制度から排除されている実態から制度改善とともに市民による生活支援活動の重要性を明らかにした。(P1~P21) |
「デンマークにおけるボランティア活動と権利擁護 |
単著 |
2007年 9月 |
『金城学院大学論集』社会科学編第4巻第1号 |
北欧の福祉国家であるデンマークにおいても市場主義のもと福祉多元化が推進されている。そこでのボランティア・NPOの位置づけを明確にすることを目的とし、①福祉国家とボランティアとの関係、②デンマークにおけるボランティア活動の歴史、③デンマークにおけるボランティア政策の動向と活動実態について論じている。そのなかからデンマークにおけるボランティア活動がサービス供給主体という側面をもちながらもユーザーデモクラシーや権利擁護という側面が強いことを明らかにした。今後福祉多元化がさらに進展し、市場主義が強くなっていくなかでは、ボランティアのもつ権利擁護機能はますます重要になることを論じている。(P1~P17) |
「ネットワーク・公民協同の地域づくりをめざして」 |
単著 |
2007年12月 |
『福祉のひろば』総合社会福祉研究所、 2007.12 |
「ネットワーク・自治体づくりの主体」は、当事者・地域住民・公民の専門機関、施設、専門職であり、なかでも自治体の役割が問われていることについて論じた。具体的には財政破綻した夕張市の課題に取り組む住民の自治的な活動や足助の医療ネットワークの取組みを紹介しながら検討し、競争主義が強調されるなかでの協同・連帯の重要性を指摘している。(P28~P31) |
「リスク社会におけるJAの助け合い活動の役割と展望-『JAの助け合い活動に関する自体調査研究』から」 |
単著 |
2008年 3月 |
『共済総合研究VOL52』農協共済総合研究所、2008.3 |
リスク社会、格差社会と位置づけられ、超高齢化社会に当面しているなかで、生活を支援する。「生活福祉」を担うJAの助け合いの活動の実態を調査結果から明らかにした。JAの助け合い活動は地域長年居住している女性で福祉関係の有資格者によって、ミニデイや会食活動などの担い、活動意欲も高い。さらにJAの助け合い活動は元気高齢者のふれあいや認知賞の予防にも期待が高く、JAの福祉事業・活動は社会貢献活動としても有効であった。また市場化が進む中、非営利組織による福祉サービスの提供は重要な意味をもっていることについて論じた。(P53~P68) |
「保育・介護現場における女性労働問題実証的研究-卒業後の仕事と生活に関するアンケート調査結果より」 |
共著 |
2008年 3月 |
「保育・介護現場における女性労働問題実証的研究-卒業後の仕事と生活に関するアンケート調査結果より」ユニベール財団研究助成金報告書 |
今日の経済のグローバル化は「労働の女性化」を進展させている。それはフォーマルな労働市場(生産活動)の再編をもたらしているだけでなく、インフォーマルな労働市場(再生産活動)における女性労働の市場化をもたらしている。後者に位置づけられるケアが労働は、今日「女性労働者」、「年齢階級差」「雇用形態の多様性」という特徴をしめしている。さらにその労働は非正規化が進展している。本調査ではケア労働として保育・介護労働に焦点をあて、その実態と特徴を女性労働の視点から明らかにした。(P24~P29)(P42~P52については協同研究につき本人担当部分抽出不可能) |
「専門職である福祉労働の実態と課題-労働条件の過酷さのなかでの専門職性への模索」 |
共著 |
2008年 3月 |
『保育・介護現場における女性労働問題の実証的研究-福祉労働の現状と課題について』日本証券奨学財団研究調査成果報告書 |
「初職と転職」についてその実態と課題をまとめた。(P32~P39)その上で福祉労働に関する政策動向について論じ、福祉多元化・民営化が推進され、さらに市場化が進む中で、福祉労働が商品化していく背景を明らかにした。そして福祉労働環境の実態について、調査結果から転職・退職の多さ、低賃金・長時間・変則勤務の実態、さらに職場環境の悪化が人間関係の悪化とつながっていること。しかし福祉労働はやりがいと魅力のある仕事であるという認識はされていること、また今後の展望について論じた。(P53~P69)執筆者 朝倉美江、文貞實 |
「福祉労働の専門性と現実-福祉労働実態調査(第一次・第二次)報告書」 |
単著 |
2008年 3月 |
『総合社会福祉研究32』総合社会福祉研究所、2008.3 |
福祉労働研究会が実施した『福祉労働の専門性と現実-福祉労働実態調査(第一次・第二次)報告書』の概念を紹介し、その位置づけ、意義について、利用契約制度下の福祉労働の専門性について質的な調査によって、福祉労働がチーム労働として、個別ニーズに的確に判断しつつ展開されていることを実証していること。さらにその調査手法も当事者の視点からの業務調査として開発されており、専門職の「気づき」『判断』「働きかけ」という専門性が当事者の生活の質を担保していることを明らかにしていることなどを評価した。(P93~P97) |
「介護・福祉労働の課題と展望-ジェンダーの視点から」 |
単著 |
2008年 7月 |
『金城学院大学人文・社会科学研究所紀要』第12号、金城学院 |
介護・福祉労働の実態を明らかにし、その労働実態の劣悪化の背景である福祉・介護政策、福祉人材確保制作の経緯と現状について論じた。そのうえで、介護・福祉労働条件の悪化の背景にある課題をジェンダーの視点から、「ジェンダー化」されているケア労働の位置づけを論じ、その課題解決のためにも労働条件の改善が求められることを指摘している。さらにコミュニティ・ユニオンの一つである介護ユニオンの事例調査をもとにケア労働のネットワークの必要性、コミュニティとの関係について論じた。(p17~p31) |
協同組合福祉と地域再生-地域での協同なくして私たちの生活は守れない 上 |
単著 |
2008年11月 |
文化連情報 2008.11.NO368 |
人口減少社会となり、農村地域の過疎化がすすむなかで、その地域で生活する人びとがなんとか最期まで暮らし続けられるようなまちづくり(=地域再生・構築)が求められている。そのようななかでJAの高齢者福祉事業の今後の展望と課題について論じている。そのなかで介護保険の充実とともに「新たなる支え合い」としての「協同組合福祉」の発展とそれが地域再生につながるような展開について検討している。(P44~P48) |
協同組合福祉と地域再生-地域での協同なくして私たちの生活は守れない 下 |
単著 |
2008年12月 |
文化連情報 2008.12.NO369 |
JAの助け合い活動の現状を明らかにし、その位置づけとJAの介護保険事業、介護予防・地域支え合い事業との関係について、JAの福祉事業の基盤に組合員活動である助け合い活動があることを論じている。さらに介護保険等が市場原理のもとで提供されている今日、非営利組織であるJAが組合員や当事者のニーズにそったサービス提供を行うことの意味について述べている。そのうえで地域再生の一つの方法として地域での介護労働と介護事業や共同住宅等をつくりだすことが地域再生につながるという展望を示している。(P32 ~P36) |
超高齢社会におけるJA組合員の生活と福祉 |
単著 |
2009年 2月 |
月刊JA |
超高齢社会に突入し、後期高齢者が増加することによって要介護高齢者の増大と介護・医療難民の増加が大きな課題となっている。そのような状況において中山間地のJAの助け合い活動の役割は大きくなっている。さらにそれを基盤としたJAの非営利の介護事業によって最後まで地域で支え合って暮らすことが可能になるということを論じた。(P16~P19) |
「日系ブラジル移民の生活課題の特質と多文化生活支援の課題―『不安定定住』とその実態」 |
単著 |
2009年 3月 |
「複合的多問題地域にみる社会的排除の構造理解とその生活福祉支援に関する比較地域研究」平成17年~平成20年度科学研究費補助金研究成果報告書」 |
グローバリゼーションが進展するなかで、我が国でも「移民」が増加傾向にある。なかでも1990年の入管法改正によって、日系ブラジル人が急増している。その日系ブラジル人の歴史的・社会的な位置づけを論じ、そのうえで2008年4月に実施した「ブラジル人の生活についてのアンケート」結果の内容をもとに日系ブラジル人の生活課題の特質を「不安定定住」であるとして明らかにしている。「不安定定住」とは雇用、住居、文化、人間関係が不安定であり、さらにその不安定さは国境をも超え、そのアイデンティティに関わる不安定さをいう。さらにその問題が今日の非正規雇用などの貧困・社会的排除の課題のなかでも最も深刻な課題として位置づけられることを論じている。(P18~P40) |
「韓国における外国人労働者と多文化家族への生活支援」 |
共著 |
2009年 3月 |
「立教大学コミュニティ福祉学部紀要第11号」 |
韓国の外国人支援施策と体制についてのヒアリング調査に基づき、1980年代後半に外国人が急増した韓国の外国人支援の動向と概要について論じている。主に外国人集住地区である安山市の移住民センターの概要をまとめた。なかでも外国人労働者の雇用相談や民間機関としての役割に焦点をあてている。(P51~P53、P58~P59) |
過疎地域に焦点をあてた実証的な研究 |
単著 |
2009年 8月 |
農業・農協問題研究 |
小磯明著『地域と高齢者の医療福祉』(御茶ノ水書房)の書評を行った。本書は、地域で生活する高齢者の生活実態調査から課題を明らかにし、あるべき政策を提示することを目的として執筆された研究書である。本書は、一貫して利用者の視点に立ち、さらに今日の医療福祉政策が在宅へ大きく推進されているなかで、もっともその実現が困難と思われる中山間地域のなかでも過疎地域に焦点をあてて、実証的に論じられているなど本書の特徴、研究方法・研究課題等について論じた。(p64-65 ) |
『地域と高齢者の医療福祉』 |
単著 |
2010年 4月 |
法政大学大原社会問題研究所 |
小磯明著『地域と高齢者の医療福祉』の書評を超高齢社会における高齢者問題に焦点をあてて紹介した。本書は当面する高齢者問題の深刻化を見据え、高齢者医療福祉政策の現状と課題をサービス利用者の実態調査も含め、実証的に明らかにしている。そのうえで医療福祉問題を解決するためには、医療と福祉を統合した医療福祉政策を地域政策的視点から提示することを目指している。本書は現在高齢化が進んだ過疎地に焦点をあてて論じられ、その意義は大きい。しかし今後は都市部での高齢化が急速に進むので、この研究成果がより多様な地域で生かされることが求められることを論じた。(p74-77) |
「移民」の生活問題と多文化共生社会の形成における社会福祉の役割 |
単著 |
2010年 8月 |
日本社会福祉学会 |
グローバル化のなかで私たちにとって身近な問題となってきた「移民」問題の実態について日系ブラジル人の生活実態調査の結果から明らかにした。その特徴とは、「不安定定住」であり、それは就労が不安定であることが居住も不安定にし、そのことがコミュニティでの人間関係も不安定化させることになっている。さらに日系ブラジル人は、国境を超えて移動することから2国間の家族のあり方や地域の生活文化を含むアイデンティティに関わる生活・人生のあり方を問うようなより深刻な不安定さを抱えた「不安定定住」である。そのような問題を解決するためには「臨床的福祉アプローチ」が不可欠であり、マイノリティの人権擁護を念頭においた多文化共生社会の形成の中核に市民の生活を総合的に支える社会福祉を位置付けることが求められることを論じた。p104-107 |
農業・製造業を支える移民への差別と貧困の現実 |
単著 |
2010年 8月 |
文化連情報 |
安田浩一著『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社新書)の書評を行った。「外国人労働者」とは日本国籍をもたない労働者のことであるが、すべての外国籍の労働者ではなく、アジア・アフリカ・ラテンアメリカの単純労働者が「外国人労働者」と称されている。本書はその外国人労働者のなかでも中国人研修生、日系ブラジル人の差別と貧困の実態を丁寧な取材をもとに描いている。その概要と外国人労働者問題が私たち自身の問題であることを論じた。(p15) |
「コミュニティ・ユニオン組合員の雇用と生活に関するアンケート調査報告書」 |
共著 |
2011年 3月 |
コミュニティ・ユニオン研究会 |
近年の景気後退の影響が大きい製造業の集積地である東海・関西地域で活動している名古屋ふれあいユニオン、ユニオンみえ、武庫川ユニオンの組合員を対象に行った生活実態と組合活動に関する実態調査の内容をまとめたものである。(p14-21)雇用環境の悪化と生活の不安定さが明らかであり、それらの問題を解決するためのユニオン活動の重要性と課題が明らかになった。(p59-75)総頁125、執筆者朝倉美江、文貞實 |
「移住生活者の生活支援と移民政策における福祉課題の位置づけに関する日韓比較研究 2010年度韓国調査報告書」 |
共著 |
2011年 3月 |
2009年度~2013年度科学研究費補助金(基盤研究B)研究成果報告書 |
韓国では2008年に多文化家族支援法が制定され、全国的に多文化家族支援センターの整備が急速に推進されている。そのなかで、先駆的に多文化家族支援を実践してきた慶北亀北市の多文化家族支援センターの設立の経緯や多文化家族への支援内容についての調査内容をまとめた。(p29-39)さらに多文化家族支援に関わる研究をされている零南大学のキムハンゴン先生へのインタビュー内容をまとめた。(p52-53)総頁61、朝倉美江、三本松政之、原史子、中尾友紀、門美由紀 |
「韓国の多文化家族政策の現状と課題」 |
単著 |
2011年 6月 |
文化連情報6月号 |
韓国の移民政策の歴史と移民問題の概要を紹介し、2008年に成立した多文化家族支援法に焦点をあて、韓国の移民政策と支援の状況について論じた。多文化家族支援法は韓国で進む少子化対策という側面をもっており、当初は農村地域の男性と外国人女性との結婚を推進するという目的で支援活動が行われてきた。しかし、今日では都市部も含め韓国全体にこの取組が広がり、支援活動も専門的に展開されている。多文化家族の問題は深刻であるが、その支援内容は日本に比べ相当充実しており、グローバル化が進展しつつある日本でも取組を進める必要がある。(p57-59) |
韓国におけるトランスナショナルな移住の実態と家族支援ー「家族戦略」という視点から |
単著 |
2012年 2月 |
平成23年度科研費報告書 |
グローバル化のなかで進展しているトランスナショナルな移住とは何かを明らかにし、その移住のプロセスのなかで展開している家族戦略の位置づけを明確にした。そのうえで、韓国におけるトランスナショナルな移住の実態を韓国の多文化家族へのインタビュー調査をもとに移住民女性の家族戦略の実態を明らかにし、その支援内容と課題について論じた。(p60-77) |
『多文化共生コミュニティの形成を目指してー岐阜県外国籍県民生活実態調査報告書』 |
共著 |
2012年 8月 |
ブラジル友の会 |
岐阜県の外国籍県民の生活実態調査を行い、その内容をまとめた。日系ブラジル人、フィリピン人、中国人を対象に459名からの回答を得た。主な特徴は雇用問題が深刻であり、雇用の短期化、低所得の問題、さらに言葉や子育ての困難さ、社会サービスの利用状況の低さ、さらに医療・年金の問題、また長期滞在化のなかでは介護問題なども大きな課題である(p1-14, 17-31, 46-56)。総頁75、執筆者朝倉美江、原史子、中尾友紀、大井智香子 |
「移民の生活問題の現状と課題ー岐阜県調査から」 |
単著 |
2013年 9月 |
金城学院大学論集 社会科学編 第10巻第1号 |
1980年代後半から増加しているニューカマーに焦点をあて、なかでも製造業の集積地の一つである岐阜県で実施した「岐阜県外国籍県民生活実態調査」の結果をもとに移民の生活実態と課題を明らかにした。そこでは単純労働者に位置付けられた移民の生活が不安定であり、その背景にある雇用の不安定さが2008年のリーマンショック以降より深刻化している実態が明確であった。にもかかわらず、移民の定住化は明確であり、高齢化も当面の課題となりつつある。さらに移民の第二世代の教育問題も深刻であり、移民の貧困と貧困の再生産の問題が大きな課題となっている。そのような課題の解決のためには早急な移民政策とともに多文化共生社会の形成が求められている。pp.16-31 |
『未来を拓く協同の社会システム』 |
共著 |
2013年10月 |
日本経済評論社 |
「地域福祉型生協への展望―コープあいちの実践から」(p.189-223)というテーマで協同組合の一つである生協が消費者生協から生活者生協への転換しつつあったこと。そのうえで激化するグローバル市場競争のなかで、脱協同組合化と新たな協同組合化の動向があり、そのなかで「地域福祉型生協」が成立するのか。その理論的検討と実証的検討を踏まえて論じている。そして「地域福祉型生協」とはコミュニティに焦点をあて、組合員とともに組合員、地域住民の抱えるニーズを解決することをめざして、誰もが安心した生活ができる福祉コミュニティを形成する生協と位置付けた。そしてコープあいちがそれを目指して実践を展開していることを実証的に明らかにした。総頁300、朝倉美江、小木曽洋司、向井清史他8名 |
移住女性の自立を支える多文化共生社会形成への課題と展望ー韓国の移住女性への調査結果から |
単著 |
2014年 3月 |
移住生活者の生活支援と移民政策における福祉課題の位置づけに関する日韓比較研究報告書 |
グローバル化のなかで増加している移住女性に焦点をあて、なかでも少子化が進む東アジアで急増する移住女性問題を検討した。そのなかで近年移住女性への支援政策を多文化家族支援として積極的に取り組んでいる韓国の調査をもとにその支援の実態と課題を明らかにした。韓国の多文化家族支援は政策的に手厚く行われているが、同化政策としての批判もある。そのようななか韓国の民間団体が移住女性のエンパワメントに焦点をあてており、その支援組織の実態と支援を利用している移住女性へのインタビュー調査を行った。その結果この民間団体が行っている支援をエンパワメント・アプローチとして位置付けることができることを明らかにした。pp81-100 |
コミュニティ・ユニオンの組合員の生活問題とコミュニティ |
単著 |
2015年 3月 |
グローバル化時代における雇用不安定層の組織化に関する実証的研究(科研費助成事業) |
全国のコミュニティ・ユニオンを対象としたユニオンのメンバーへの雇用と生活実態に関する調査研究の報告である。とくにワーキング・プアが拡大し、深刻化している状況のなかでコミュニティ・ユニオンのメンバーはどのような生活問題を抱えているのかを明らかにした。不安定雇用や雇用環境の劣悪化に伴う経済的な問題とともに精神的な課題が深刻化していることが明らかであった。そのような問題を解決するためにコミュニティ・ユニオンは個別の生活支援を丁寧に行っている。現在のワーキング・プアの問題は労働環境の改善にとどまらず生活支援が必要不可欠になっている実態とその支援方法について論じている。(p167-184、全334頁) |
『地域におけるソーシャル・エクスクルージョン 沖縄からの移住者コミュニティをめぐる地域福祉の課題』書評(『地域福祉研究 2016』) |
単著 |
2016年 3月 |
(公財)日本生命済生会 |
加山弾著『地域におけるソーシャル・エクスクルージョン 沖縄からの移住者コミュニティをめぐる地域福祉の課題』の書評を執筆した。本書の概要を「沖縄人とは何か」と「ソーシャルエクスクルージョンと地域福祉」、「沖縄人コミュニティの歴史とポストコロニアル状況」、「ディアスポラへの援助と多文化共生への期待」を柱にして紹介した。そのうえで、移民問題を含めた地域福祉の枠組みやガバナンス等の方法論の課題を指摘した。p.165-166 |
移民・マイノリティ支援とコミュニティ |
単著 |
2016年 7月 |
ソーシャルワーク研究 42-2 166 |
マイノリティのなかでももっとも市民権が脆弱な移民に焦点をあて、その支援方法について検討した。移民のなかでも1990年施行された改正入管法によって急増した日系ブラジル人に焦点をあて、彼らが「外国人労働者」と位置付けられ、雇用、救助、人間関係が不安定なまま定住していること、さらに国境を越えたトランスナショナルな移住を「家族戦略」によって支えているが、その限界があることを明らかにし、彼らを支える多文化ソーシャルワーク、多文化共生コミュニティの形成が課題であることを論じた。p19-26 |
子どもの貧困と協同組合 |
単著 |
2017年 9月 |
文化連情報 |
子どもの貧困について、子どもの貧困対策推進法との関係を論じ、そのうえで、貧困の自己責任が強調される現在の社会保障制度改革の動向とイギリスの改正救貧法との共通性について論じた。さらに救貧法の時代に誕生したイギリスのロバート・オウエンのニューラナークでの労働者の相互扶助と児童労働の改善や子どもへの教育の取組みについて紹介した。また近年急速に拡大している子ども食堂の取組みについて、子どもの貧困を解決できる地域づくりとしての取組みの重要性について論じた。(p52-55) |
多文化共生地域福祉への展望 多文化共生コミュニティと日系ブラジル人 |
単著 |
2017年12月 |
文化連情報 |
『多文化共生地域福祉への展望 多文化共生コミュニティと日系ブラジル人』について現在「外国人労働者」が急増しているなかで、「外国人労働者問題」とは何かに焦点をあてて、本の内容を紹介した。「外国人労働者問題」とは、劣悪な労働環境の問題とともに社会保障における医療・介護問題、移民2世が抱える教育問題が深刻であることなどを紹介した。 |
地域福祉研究の今後のあり方―グローバル化と多文化共生の視点から |
単著 |
2019年 3月 |
日本の地域福祉 第32巻 |
地域福祉研究の今後のあり方について、グローバル化と多文化共生の視点から論じた。具体的には、地域福祉の基盤となる地域とは何かという本質的な問いに対し、グローバル化のもとで地域の多様化とともに地域そのものが何かを改めて研究することが求められていること、そのなかにグローバルな枠組みのコミュニティを位置づける必要があることを論じた。さらに移民社会のもと市民権が揺らいでいるなかで永住市民権の実質化が課題となること、さらに住民の流動化に応えられる地域福祉と多様性を認め合える多文化共生社会について論じた。(pp.1-9) |
地域福祉研究の今後のあり方―グローバル化と多文化共生の視点から |
単著 |
2019年 3月 |
日本地域福祉学会 |
地域福祉研究のあり方について、グローバル化や人口減少が急速に進展している現在、そもそも地域とは何か、さらに地域福祉の「対象」は誰か、が問われている。本稿では、グローバル化により、多文化化が進展しているコミュニティにおいて、国籍や文化、言語の違いが当たり前になっているコミュニティをいかに共生の場、関係として構築できるのかが問われている。そしてそれは障がいのある人や性別、年齢などの多様性を尊重できるコミュニティをどう創るのかという課題とつながっている。さらにグローバル化は市場化も推進されており、改めて自治や協同を位置づけた持続可能な地域づくりの理論化が課題となっている。pp13-21 |
多文化共生を地域ですすめていくには |
共著 |
2019年 4月 |
『月刊福祉』全国社会福祉協議会 |
「多文化共生を地域ですすめてくためには」というテーマで、2019年4月新入管法により5年間で34万人の外国人労働者の受け入れが推進されることになり、本格的に外国人労働者が来日することになった。その状況を踏まえ、今までの外国人労働者の実態と課題を議論し、そのなかで、社会福祉、地域福祉の現場で排除されてきた外国人をいかに受け止めていくか。先駆的な取り組みをしている三重県の青山里会などの実践を紹介しながら、今後の対応について具体的に論じている。朝倉美江他2名、pp14-23 |
書籍紹介『コミュニティ・ユニオン 社会をつくる運動』 |
単著 |
2019年 6月 |
『文化連情報』日本文化厚生農業協同組合連合会 |
『コミュニティ・ユニオン 社会をつくる運動』の書評である。本書は2部構成で、第1部はコミュニティ・ユニオン全国ネットワーク(CUNN)に所属するコミュニティ・ユニオンの組合員の活動実態、特徴等をアンケート調査によって明らかにしている。女性組合員の多さ、ほとんどの年代で有配偶率が低く、単独世帯が多いこと、解雇・パワーハラスメントなどの課題を解決するための運動・活動を行っていることなどを明らかにしている。また第二部では地域の特徴や外国人労働者、女性労働者の実態と特徴を明らかにし、貧困が拡大するなか、多くのワーキングプアの生活問題の深刻さが指摘されている。それらの課題を解決するためにコミュニティ・ユニオンは社会的抵抗を実践しつつあることを論じている。(pp64-65) |
書籍紹介『協同による社会デザイン』 |
単著 |
2019年 7月 |
『文化連情報』日本文化厚生農業協同組合連合会 |
『協同による社会デザイン』の書評である。本書は、序章と第1部の新しい生協像への視座、2部の東海における生協の今、という構成になっている。7人の研究者と5人の実践者による長年にわたる共同研究の成果である。さらに補論では、中川雄一郎が「文化が人びとの問題解決の努力から生まれる」と論じている。そして「自分たちはどのように行動すべきか」を考え、自らの「生活と労働」の選択肢を評価して決定を下すと論じている。p15 |
協同組合と「まち残し」地域福祉の視点から |
単著 |
2019年 9月 |
『文化連情報』日本文化厚生農業協同組合連合会 |
『協同組合と「まち残し」地域福祉の視点から」というテーマで、消滅可能性リスト(2014年)のインパクトは大きく、2040年には50%以上の確率で消滅可能性があるとされた市町村は5割を超え、農村地域でより深刻な状況になると言われている。そのようななか「地域再生」を「まち残し」としてとらえ、協同組合はどのように関わるのかを地域福祉の視点から論じている。私たちの生活の場である地域=まちは、私たちの生活そのものである。その生活をまもるために人間らしい生活の保障、支え合いとともに働く場、自然、歴史、文化、次世代への責任も含めて地域のあり方が問われている。協同組合は組織の存続ではなく、まちを残すための役割を果たすことが求められていると論じている。pp58-61 |
地域福祉ガバナンスをつくる 多文化共生と地域福祉ガバナンス |
単著 |
2019年 9月 |
『月刊福祉』全国社会福祉協議会 |
「多文化共生と地域福祉ガバナンス」というテーマで2019年4月の新入管法によって外国人労働者の受け入れが急速に進展している。しかし、「外国人」は労働者として位置づけられ、日本語や日本の生活習慣を学ぶ機会や場もないまま地域で排除されている。それらの実態を明らかにし、「外国人」の生活問題はリスクとしてとらえ、マイノリティの人権を擁護できる地域福祉ガバナンスを行う必要性を論じている。そのなかではグローバルなコミュニティも位置づけ、当事者の参画を核とし、多様な国籍・言語・文化を尊重した多文化地域福祉の枠組みにおける地域福祉ガバナンスが求められている。pp78-81 |
多文化共生と地域福祉ガバナンス |
単著 |
2019年 9月 |
全国社会福祉協議会『月刊福祉』 |
「多文化共生と地域福祉ガバナンス」というテーマで、外国人労働者が増加し、多様化、複雑化しつつある地域生活課題を解決するためには、従来型の「統治」ではなく「共治」となる地域福祉ガバナンスが求められることについて論じている。リスク社会となった現代社会において、国籍、言語、文化の異なる人々はより大きなリスクを抱えている。グローバル化のなかでは、トランスナショナルな移住者を支えられる「多文化共生地域福祉」の構築が求められている。地域福祉ガバナンスのなかに多様な国籍、言語、文化をもつ当事者の参画とマイノリティを尊重する多文化共生の思想を位置づけることによって、誰もが生きやすく、多様性のある地域共生社会が実現することを論じた。(pp.78-81) |
「多文化共生時代の地域福祉の課題と展望」 |
単著 |
2020年 3月 |
『地域福祉研究』公益財団法人日本生命済生会 |
多文化共生時代の地域福祉の課題と展望について、地域福祉の主体に「外国人」を位置づけること、オールドタイマー、ニューカマーの歴史と現状を踏まえ、その課題を明らかにし、なかでも「外国人労働者」の問題に焦点をあて、その特徴である「不安定定住」について論じた。そのうえで、そのような特徴をもつ外国人労働者の問題を解決するためには「多文化共生地域福祉」という枠組みが必要である。さらに人口減少社会のなかで推進されている移住政策の課題を明らかにし、その課題を解決するための「多文化共生地域福祉」の展望を論じた。(pp.3-13) |
『生活支援の社会運動 「助け合い活動」と福祉政策』書評(『日本の地域福祉 第33巻』 |
単著 |
2020年 3月 |
日本地域福祉学会 |
中條共子著『生活支援の社会運動 「助け合い活動」と福祉政策』(青弓社)の書評を執筆した。本書の概要を介護系NPOの「生活支援」活動である「助け合い」とは何かを「新しい社会運動」という枠組みで分析されていることについて紹介した。そのうえで、「助け合い活動」が「インボルーション」を選択する要因、そもそも「生活支援」とは何か。さらに生活支援と地域福祉との関係を明らかにする必要があるという課題を提起した。(pp.49-51) |
「外国籍珠民と地域共生社会」 |
単著 |
2020年 5月 |
全国社会福祉協議会『民生委員・児童委員のひろば』 |
「外国籍住民と地域共生社会」をテーマに、まず「外国人」と「移民」との関係を論じ、「外国人」の差別の実態を紹介した。そのうえで「労働力不足と外国人労働者について、日本が必要とする「労働力」として外国人労働者」が政策的に移住していること。さらに人口減少のなかでも移民が求められている現状について論じた。そのうえで地域のなかで、民生委員・児童委員が「外国籍住民」を支えていく必要性と可能性を論じている。(pp2-3) |
「医療福祉生協と『人のつながり』ーポストコロナの組合員活動」 |
単著 |
2020年 9月 |
『Review and Research』 |
「医療福祉生協と『人のつながり』」についてポストコロナに向けての組合員活動の課題と展望を論じた。具体的には、医療福祉生協が、生命と同時に生活を守る砦となれるのか。さらに医療福祉生協の組合員自治、地域づくりが、ウイズコロナ、ポストコロナを見据えてどのように展開できるのかについて、「人のつながり」に焦点をあてて論じた。社会保障制度改革のもと医療福祉生協の経営問題は深刻化し、それに追い打ちをかけるように新型コロナが経営危機を招いている。そのような状況だからこそ、組合員の生活困難な実態を踏まえた組合員活動による情報提供や学習活動、さらに積極的に助け合い活動を行うことが求められていることを事例なども踏まえて論じた。pp.4-9 |
題目/演目名等 |
発表年月 |
発表学会名等 |
概要 |
「広域行政化における住民参加の福祉のまちづくりの課題と展望―鷹巣町の住民参加型福祉の事例から」 |
2004年10月 |
日本社会福祉学会 第52回大会(於東洋大学) |
地方分権の推進によって、平成の大合併が展開されている状況において、住民参加の実態がどのような状況にあるのか。全国的に住民参加の福祉のまちづくりで実績のあった秋田県鷹巣町を事例に住民参加の実態とその実績と位置づけられる福祉サービスの整備状況と利用状況について、住民とサービス利用者の実態調査によって明らかにした。そこでは、合併に伴って、住民参加の衰退、それに伴うサービスの量と質の低下が明確に検証できた。 |
「『定住化』する外国籍住民への地域福祉政策・活動の実態と課題」 |
2007年 9月 |
日本社会福祉学会 第55回大会 (於大阪市立大学) |
1990年以降増加しつつある日系ブラジル人は「定住者」資格によって単純労働を認められていることから地方工業都市に集住するという特徴をもつ。その集住地域に含まれる岐阜県美濃加茂市・可児市の日系ブラジル人の生活実態調査の結果から彼らが定住化する要因を明らかにした。さらに外国籍住民の抱える生活問題を「複合的生活問題」と位置づけ、その特徴を明らかにした。また定住化を支援するためにはわが国の社会保障・社会福祉制度を外国人に実質的に対応できるしくみにしていくことが必要であり、自治体における生活支援システムの構築が不可欠であることを論じた。 |
「定住化」する日系ブラジル人の生活実態と地域福祉政策・活動の展望-岐阜県の日系ブラジル人の生活実態調査から」 |
2008年10月 |
日本社会福祉学会 第55回大会 (於岡山県立大学) |
2008年4月に実施したアンケート調査の概要報告を中心に報告した。日系ブラジル人の長期滞在が明確で定住化が進んでいること、職業は製造業で間接雇用、住宅は民間アパート・派遣会社の寮、家族世帯が多い。またデカセギ目的で来日したが、家族形成・住宅購入などにより定住化傾向が明確であった。しかし、その定住は「不安定定住」という特徴をもっており、その生活問題を解決するためには「多文化生活支援システム」が必要であること、さらに日系ブラジル人との協同による多文化まちづくり活動の展開が求められることを論じた。 |
東海圏の経済変動と地域における外国籍住民の生活課題とその支援 |
2009年 6月 |
日本福祉社会学会第6回大会 (於日本福祉大学) |
2008年秋のグローバル恐慌のもと非正規雇用労働者の派遣切りが製造業を中心に多く実施された。そのなかで最も大きな影響を受けたのは、1980年代後半から日本にデカセギにきていた日系ブラジル人である。製造業が多い東海地方では、多くの日系ブラジル人が仕事と住宅をなくし、深刻な状況に至っている。そのなかで、国や自治体も緊急対策を行ったが、不十分なものであり、民間とブラジル人の当事者組織や労働組合、NPOなどが迅速で柔軟な対応をしてきたことからも柔構造の多文化共生生活支援システムの構築が必要不可欠であることを論じた。 |
「移民」の生活問題と多文化共生社会の形成における社会福祉の役割 |
2009年10月 |
日本社会福祉学会第56回大会 (於法政大学) |
1980年代後半以降「フレキシブルな労働者」として日系ブラジル人は日本の3K現場の単純労働者として位置づけられている。彼らは「移民」政策が不十分な日本においては「顔の見えない定住者」として「不安定居住」という居住、生活・雇用が不安定であるとともに言葉や文化の違いによるアイデンティティに関わる不安定さをもっている。そのような彼らの生活を支えるためには多文化を意識した多文化共生生活支援システムが必要不可欠であり、多文化ソーシャルワークなどを含め、コミュニティでも多文化を意識した取り組みが求められること、従来の社会福祉は多文化に適応できていないことから今後多文化社会における社会福祉の役割を明確化する必要があることを論じた。 |
『求められる「一億総活躍」と地域福祉の課題―移民・マイノリティの視点から』 |
2016年 5月 |
2016年度社会政策関連学会協議会シンポジウム |
「地域の魅力を考えるー仕事と暮らしを支える社会政策とは」という共通テーマのもと社会福祉学の立場から「求められる『一億総活躍』と地域福祉の課題ー移民・マイノリティの視点から」というテーマで政策的には包摂が目指されながらも移民は排除されている存在であることを調査データをもとに紹介し、移民が雇用の不安定さによって「不安定定住」をしている状況、さらに「トランスナショナルな移住」であることから国際間の社会保障協定など複数国にまたがる家族を支える制度、システムが必要であることを論じた。 |
外国人労働者問題と多文化共生地域福祉 |
2018年 5月 |
日本社会福祉学会第66回春季大会 |
「外国人労働者問題」とは、「外国人」が生活者としてではなく「労働者」として位置づけられていることから発生する問題であること。さらにそのことによって発生している社会サービスからの排除や地域での差別・偏見の問題を「不安定定住」による問題であることを明らかにした。その上で、トランスナショナルな移住生活を送る移民の生活支援は、「多文化共生地域福祉」という枠組みが必要である。多文化共生地域福祉の構築には、①民間性、②多様性、③流動性、④グローバルなコミュニティ、⑤労働という5つの視点が重要であることを論じた。 |
外国人労働者問題と多文化共生地域福祉 |
2018年 5月 |
日本社会福祉学会第66回春季大会 |
外国人労働者問題について、その実態と特徴を明らかにし、そのうえで多文化共生地域福祉という新しい枠組みの地域福祉論の構築について論じた。具体的には外国人労働者は増加傾向にあるが、その生活は不安定で、貧困問題も顕在化している。その実態と日系ブラジル人に焦点をあてて明らかにした。特徴は不安定就労による不安定定住にあることから社会保障や福祉サービス等からも排除されている。さらにトランスナショナルな移住であることからグローバルなコミュニティの位置づけが必要不可欠となる。そのような問題を解決できる多文化共生地域福祉とは、①民間性、②多様性、③流動性、④グローバルなコミュニティ、⑤労働という視点からの構築を提起した。 |
地域福祉型生協ー協同組合は社会運動を担えるのか |
2018年 9月 |
日本社会福祉学会 第66回秋季大会 |
地域福祉型生協の展開というテーマで、まずは協同組合の歴史・価値について論じ、なかでも日本の協同組合運動を担ってきた賀川豊彦の「友愛経済」という考え方や生協創設の思い、実践を原点として捉え、その思想は、今日の生協運動においては「地域福祉型生協」として展開されつつあることを論じた。「地域福祉型生協」とは①住民・当事者参加、②多様性、③総合的な福祉活動・事業、④仕事づくりと地域づくりによって、誰もが暮らしやすいコミュニティへと変化する主体となる生協である。そのような取組みは、愛知県の南医療生協などで展開されつつあることなどを論じた。 |
地域づくりの資源開発プランニング |
2019年 6月 |
日本地域福祉学会第33回全国大会 |
地域福祉教育のあり方研究プロジェクトのなかで「協同による社会資源開発のアプローチ」をテーマに共同研究を行った成果として、プランニングに焦点をあてて、報告を行った。教育目標・評価・視点のなかで地域のニーズを解決するためのプランニングと同時にその解決主体である住民組織、プロセスに焦点をあてることの意味を論じ、具体的な教育方法について報告した。 |
多文化共生/地域福祉/学び |
2020年11月 |
日本福祉教育ボランティア学習学会 |
「多文化共生とボランタリズム」という学会の課題研究報告として、多文化主義の定義と課題、地域福祉における多文化共生の位置づけ、さらに多文化共生のボランティア学習に関する展望について、多様性や寛容性を重視していくコミュニティの創造、新しい文化の可能性について報告した。 |