著書名 |
単著、 共著の別 |
出版年月 |
発行所・発表雑誌等 |
概要 |
「アジア諸国の福祉戦略」 講座福祉国家のゆくえ④ |
共著 |
2004年 6月 |
ミネルヴァ書房 |
「第5章 中国の社会保障─近代国家にふさわしい制度づくりの現状と課題─」を執筆。P153~P182中国は21世紀中、近代化の全面実現を最大の国家目標として掲げている以上、当然のことながら国民全員を適用対象とする社会保障制度を築き上げていかなければならないだろう。本稿では、現在中国で進められている社会保障制度の改革と構築における現状と課題をマクロの視点から考察した。まず、社会保障制度に関する基本戦略と将来ビジョンを明らかにしつつ、財源確保という最重要課題を指摘した。さらに老齢年金保険の改革と整備、都市住民最低生活保障の確立、地域福祉サービスの展開など、各制度の細部に触れて考察を行った。編著者は大沢真理。王文亮、大沢真理、上村泰裕他 総著者数8名 総頁数346頁 |
「世界の社会福祉年鑑2004」 |
共著 |
2005年 1月 |
旬報社 |
「中国」を執筆。P253~P277本稿では、2003年に起きた新型肺炎をはじめ中国の社会福祉を取り巻く社会と経済情勢、および「三農問題」への政府の対応策について概観した上で、社会福祉における新たな制度・政策の展開をまとめつつ、具体的には高齢者福祉、福祉サービスの提供におけるNPOの役割、最低生活保障制度の現状、公衆衛生の問題点などについて考察した。編集代表は仲村優一、阿部志郎、一番ヶ瀬康子。王文亮、仲村優一、松村祥子他 総著者数25名 総頁数479頁 |
「社会変遷与管理創新」 |
共著 |
2005年 2月 |
中国社会科学出版社 |
「中国農村五保戸供養制度的特点和財政問題」を執筆。P56~P71中国の農村地域では、公的扶助として「五保戸」扶養制度が1960年代から作られている。それは収入源、労働能力、法定扶養者のない高齢者、障害者および孤児を対象に在宅と入所の形で生活保護を行っている。本論文はこの制度の沿革、仕組みなどに対して考察をしつつ、農村の経済体制改革の中で新たに直面している財源確保の問題を取り上げて分析を行っている。編著者は謝舜。王文亮、謝舜、原口俊道他 総著者数23名 総頁数281頁 |
「世界の社会福祉年鑑2005」 |
共著 |
2005年12月 |
旬報社 |
「中国」を執筆。P263~P284本稿では、2004年3月に行われた憲法改正の際、史上はじめて「国は経済発展の水準にふさわしい社会保障制度を確立し改善する」という条文が盛り込まれたなど、中国の社会保障および福祉を取り巻く政策と制度の変化を追いつつ、1年間の主な動きを紹介した。編集代表は仲村優一、阿部志郎、一番ヶ瀬康子。王文亮、一番ヶ瀬康子、田端光美他 総著者数23名 総頁数493頁 |
「アジアの社会福祉」 |
共著 |
2006年 3月 |
放送大学教育振興会 |
「中国」を執筆。P136~P151本稿では、中国の社会福祉・社会保障の制度政策について、この国ならではの特色を簡潔に説明した上で、その展開過程および実施状況から見られる都市部と農村部の格差を指摘しつつ、具体的に最低生活保障、高齢者福祉、コミュニティ・サービスを取り上げて考察する。編著者は荻原康生。王文亮、桂良太郎、中西由起子他 総著者数3名 総頁数192頁 |
「世界の社会福祉年鑑2006」 |
共著 |
2006年12月 |
旬報社 |
「中国」を執筆。P315~P349本稿では、所得格差の急速な拡大に歯止めをかけるべく、中国政府が「調和のとれた社会」という政策的目標を打ち出したと同時に、「社会主義新農村」の建設という国家プロジェクトを進めているといった状況を踏まえつつ、2005年度における社会福祉の制度と政策の展開を概観し、高齢者福祉、児童福祉、障害者福祉、最低生活保障、当事者主体などの分野で生じていた主な動きを紹介している。編集代表は萩原康生、松村祥子、宇佐見耕一、後藤玲子。王文亮、萩原康生、金子光一他 総著者数30名 総頁数555頁 |
「世界の社会福祉年鑑2007」 |
共著 |
2007年12月 |
旬報社 |
「中国」を執筆。P311~P336。本稿では、第11次五カ年計画の制定に伴う社会保障体系の改善、農村地域における農業税の撤廃といった大きな政策・社会背景を踏まえつつ、2006年度の法規改正と新しい法規の施行を概観し、高齢者福祉、障害者福祉、家族と社会福祉、慈善事業における主な動きを説明している。編集代表は萩原康生、松村祥子、宇佐見耕一、後藤玲子。王文亮、萩原康生、金子光一他 総著者数28名 総頁数524頁 |
「現代中国の社会と福祉」 |
共著 |
2008年 3月 |
ミネルヴァ書房 |
現在世界中で渦巻く中国論はさまざまな様相を呈しているが、いったい、中国の真の姿はどうなっているのか、また、中国は近未来、どこへ向かって進んでいくのか、答えを出すのが極めて困難で、大変複雑な作業を必要とする。本書は、中国社会の真の姿を伝えるべく、あわせて11章を設けて、格差社会をめぐる政策転換、国民の生活水準と消費意識、婚姻と家庭、教育制度、急速な高齢化、高齢者の福祉、都市部の老齢年金と地域社会、障害者の生活保障と障害児教育、出稼ぎ労働者の生活環境およびその子どもたちの教育など、多くの角度から切り込んでいる。編著者は王文亮、はしがき、第1章、第2章、第3章、第4章(pⅰ~ⅱ、p1~80)を執筆担当、本全体の編集。総著者数7名 総頁数211頁 |
「転換期中国における社会保障と社会福祉」 |
共著 |
2008年 4月 |
明石書店 |
第3章「社会保障制度の構築における平等権の問題―中国は福祉国家を避けて通れるか」を執筆担当。P89~P119。中国政府は国民の生存権を最大の人権として理解し、その保障を最優先しているように見えるが、平等権の実現に対する姿勢が著しく欠けているのが現状である。近年、憲法の改正により社会保障の整備はようやく国家の責任として明文化されたとはいえ、現実では権利としての社会保障は都市部において比較的進んでいるのに対して、農村部では、理念や政策の選択、いずれをとってみても依然として空白状態が続いている。本論は、福祉国家との関連性からも中国の社会保障制度の構築作業における平等権の状況を検証しつつ、現行制度の抱える課題に焦点をあて今後の方向付けを検討する。編著者は袖井孝子、陳立行。王文亮、鍾家新、景天魁他 総著者数14名 総頁数370頁 |
「社会政策で読み解く現代中国」 |
単著 |
2009年 4月 |
ミネルヴァ書房 |
中国では、現胡錦濤政権は誕生してから自分の特色としてさまざまな政治理念や社会政策を打ち出してきた。国家と社会のあり方に関する中長期ビジョンにおいては、「調和社会」という理想的な姿を持った社会の実現を目指すようになった。一方、華々しい中長期ビジョンや政策のパフォーマンスとは裏腹に、現実は「調和社会」に邁進しているどころか、むしろかつてないほど「格差社会」への狂奔が幕を切って落とされたというべきである。本書は、政策目標と政策手段の乖離、および政策目標と政策目標、政策手段と政策手段の矛盾に着目し、胡錦濤政権の統治期における中国の社会政策を総合的に分析したものである。内容は以下の7章から構成される。第1章 経済成長至上主義の代償 第2章 「科学的発展観」と「調和社会」 第3章 社会主義新農村建設構想 第4章 拡大を続ける「格差」 第5章 格差社会の原因―不備の多い社会政策 第6章 「福祉病」と無縁な中国 第7章 「全民医療保障」の可能性 総頁数213頁 |
「格差大国 中国」 |
単著 |
2009年 6月 |
旬報社 |
国民間の貧富格差の拡大に歯止めをかけ、人々がともに豊かな暮らしを享受できるためには、社会保障制度の確立がどうしても必要になってくる。しかし残念ながら、中国では社会保障制度の構築が遅れているために市場の横暴を許し、さまざまな社会的歪みを生み出してしまった。富の偏在化とそれにともなう所得格差は、想像を絶するまでになっている。また、中国は強権的な政府がすべてを統括しているために、個々の国民は非常にちっぽけな存在にすぎず、社会の成熟度もかなり遅れている。一言でいえば、中国は強大な国家と弱小な社会の集合体である。本書では、このような「強い国家」と「弱い社会」の集合体である中国にいくつかの側面からメスを入れ、その実像を明らかにしたい。総頁数222頁。 |
「現代中国社会保障事典」 |
単著 |
2010年 8月 |
集広舎 |
中華人民共和国建国(1949年)から今日に至るまで、現代中国の社会的、政治的変動とともに日々変化してきた社会保障およびそれを取り巻く社会現状・社会政策の諸事象や諸問題を紹介、説明、検討している世界初の事典である。本事典は計5編から構成している。第1編「社会保険」では都市部の労働者と住民に関わる養老保険、医療保険、失業保険、労働災害保険、出産保険および関連事項を取り上げると同時に、農村部の養老保険(新旧)と合作医療(新旧)について解説、分析した。第2編「公的扶助」は、都市と農村の医療扶助、都市と農村の最低生活保障、都市住民の住宅扶助、農村部の「五保戸」扶養を取り上げている。第3編「社会福祉」は本事典の中核にもあたる部分で、社会福祉の制度・政策、資格、サービス、施設などを解説している。第4編「軍人優遇」は中国の社会主義や共産党の一党支配体制と直接関連する部分ともいえ、軍人およびその家族・遺族の生活保障についてまとめたものとなる。最後の第5編「社会・社会保障一般」は、社会保障の一般事項および社会保障と直接関連する社会事象や社会政策を取り上げている。総頁数615頁 |
「よくわかる社会福祉の歴史」 |
共著 |
2011年 9月 |
ミネルヴァ書房 |
第3部 東アジア編 Ⅷ 中国を執筆担当。p196~203。中国における社会福祉の発展過程、社会情勢の変化と社会福祉との関連、社会福祉施設の発展、民間社会福祉の発展を紹介、概説している。編著者は清水教恵、朴光駿。王文亮、石野美也子、伊藤秀樹、今井小の実他 総著者数24名 総頁数224頁 |
「中国 新時代の経営戦略」 |
共著 |
2013年 6月 |
ジェトロ |
第Ⅰ部第1章「中国の社会保障制度の現状と課題~胡錦濤政権の取り組みを中心に~」を執筆担当。p10~36。中国における社会保障制度の整備は長年続く高度経済成長と好調な財政状況から貴重な物的条件を得ている。胡錦濤政権の最大の功績は経済成長の促進ではなく、社会保障制度の整備である。同政権の目指している「国民皆保険・皆年金」体制は中国史上初の偉業であり、今後、中国の先行きや社会の在り方にも多大な影響を与えることになると考えられる。しかし一方で、中国の社会保障制度は依然として多くの課題を抱えている。本稿は胡錦濤政権期における中国の社会保障制度の整備状況を点検しつつ依然として抱えている諸課題を分析している。編著者は真家陽一。王文亮、林幸秀、清水顕司他 総著者数19名 総頁数307頁 |
「アジアの社会福祉と国際協力」 |
共著 |
2014年 3月 |
放送大学教育振興会 |
(1)第1部2「貧困と格差―日本と中国を中心に―」(p25~40)、(2)第2部7「アジア各国の社会福祉①中国」(p99~114)を執筆担当。(1)ではまず、グローバリゼーションの進行が日本を「一億総中流」から格差社会へと変えていく様子を明らかにする。また、所得格差の拡大の諸要因を紹介する。続いて中国で急速に広がっている経済格差と所得格差の現状を述べた上、中国が抱えている貧困問題の複雑性及び貧困脱却の困難さを分析する。(2)中国では高度経済成長や国民の生活水準の向上などを背景に、社会保障・福祉の推進は重要な社会政策になっている。そのなかで特に注目すべき部分は「国民皆保険・皆年金」体制の構築、社会福祉の分野で浸透している新自由主義と市場原理、社会福祉の人材育成などである。本章では、これらの部分に関して政治や社会の動きを踏まえながら中国ならではの特徴を明らかにする。編著者は桂良太郎・西郷泰之。王文亮、新保美香、中西由起子 総著者数5名 総頁数237頁 |
「GDP2位の中国が抱えるジレンマとは何か」 |
単著 |
2014年12月 |
ミネルヴァ書房 |
中国社会はいま課題が山積し、大きな分岐点(または転換点)に差しかかっている。本書では13章を設けることでその現状を俯瞰しつつ、その今後を予測することにした。最初の3章は、格差社会の急激な進行、労働者の多大な犠牲、国民貧困の固定化といった点を踏まえ、いわゆる中国型成長モデルの功罪を分析したものである。第4章と第5章は、中国社会における最も根本的な問題の一つである戸籍制度を検証することにした。第6章と第7章は人口政策および高齢化進行の実態と課題に焦点を当てる。社会保障と福祉については、第8章から第11章までを割り当てて、胡錦濤政権期から今日に至るまで中国の社会保障・福祉の枠組み、方向性、問題点などを紹介した上で、分析と検証を行った。最後の第12章と第13章では、中国の政治・政策のあり方を考えている。総頁数264頁 |
著書名 |
単著、 共著の別 |
出版年月 |
発行所・発表雑誌等 |
概要 |
「中国農村部における住民最低生活保障制度の構築と課題」 |
単著 |
2004年 3月 |
九州看護福祉大学紀要第6巻第1号 |
中国の農村地域では、従来の社会救済制度の役割をとって代わるために、1990年代から農村住民最低生活保障制度が整備され始めた。本稿では、この制度を研究対象として取り上げた。まず、都市住民最低生活保障制度の創設過程における政府財政の強力なバックアップを分析した。次には農村住民最低生活保障制度の誕生経緯を明らかにした上で、この新制度の仕組みや様々な問題点を検討した。結論としては以下の点を指摘した。(1)都市住民最低生活保障制度が急速に整備できたのは、政府がますます多くの資金を投入していることが最大の要因である。(2)農村住民最低生活保障制度はほとんどの地域でいちおう普及してはいるものの、財源の確保、法制化、管理等においては依然として多くの課題を抱えている。(3)農村住民最低生活保障制度の構造的欠陥を改善するために、中央政府と地方政府の財政責任を法律で定めることは必要不可欠である。 P5~P19 |
「福祉国家から福祉社会への移行問題と中国社会保障制度の進路」 |
単著 |
2007年10月 |
賃金と社会保障№1451 |
中国は政治とイデオロギーにおいて依然として社会主義体制を維持している。共産党一党独裁の下で、国民の政治参加は極めて限定的で、社会保障と社会福祉への欲求は選挙などのルートを通じて政治と行政、立法に反映されることはほとんどあり得ない。市民社会は伝統的な地域社会と新しく生まれた都市生活区域が混在し、政治的統制を強く受け、擬制的な側面がなかなか払拭されない。非営利組織の活動も自律性が問われ、資金面や活動方針において政府に依存せざるを得ない状況にある。本稿では、中国の社会保障制度の現状を検証しつつ、福祉国家を目指すべきか、それとも福祉社会へと直接シフトしていくべきなのか、といった今後中国の将来をも左右するほど重要な課題について考察してみる。P4~P20 |
「中国における『三農観光』の現状と課題」 |
単著 |
2008年 3月 |
中国21 Vol.29 |
観光業のさらなる発展を図り、とりわけ業界全体における都市と農村の著しいアンバランスを打開すべく1990年代以降、国家観光局をはじめ中国政府は新たに「三農」観光を提起し、農村地域での観光開発と観光振興を大々的に奨励することに乗り出した。では、「三農」観光は中国観光業の中でとのような社会的背景から提起され、どのような政策的目標を付与されているのか、また、近年全国各地で展開されている具体的な取り組みはどのような状況にあり、どこまで進展しているのか、そしてどのような問題点および課題を抱えているのか、その改善策をどう探るべきなのか。こうした点を中国観光業の全体に対する評価を踏まえつつ、マクロ的に考察してみるのが本稿の狙いである。P77~P94 |
「中国の農村部における社会保障制度の新展開」 |
単著 |
2009年 3月 |
東亜№501 |
中国では今世紀に入り、とりわけ胡錦濤―温家宝政権の誕生は、農村部における社会保障制度の構築に明るい兆しをもたらした。農村地域の落伍や、農村住民の生活苦は複雑な要因によるものであるが、社会保障制度の不備もその一つとして考えられる。近年、現政権は民生重視の政治理念から出発して、「三農」問題の解決に向けた政策の一環として、農村部における社会保障制度の整備と充実に意欲的に乗り出した。農村部の社会保障制度については個々の名称を挙げれば、最低生活保障、新型合作医療、社会養老保険、社会救済、貧困扶助、医療扶助、「五保戸」扶養などとなるが、本稿では紙幅の制約により最低生活保障と新型合作医療のみに焦点を当てて、両制度それぞれの展開状況を検証することとする。 P28~P37 |
「中国の農村部における公的医療保険制度の展開に関する考察」 |
単著 |
2010年 3月 |
金城学院大学論集社会科学編第6巻第2号 |
中国の農村地域では2003年から公的医療保険である新型農村合作医療制度の試行がスタートした。本論文は文部科学省科学研究補助金「中国の農村地域公的医療保険制度に関する基礎的研究」(基盤研究(B)、課題番号20402050)の研究成果の一部をまとめたものであり、政府の意図や政策的理念などの部分に関して全国的な動きをマクロ的に捉え、明らかにし、また、制度の展開状況および問題点等を検証している。P25~P47 |
「中国『新型農村合作医療制度』の実施効果と課題」 |
単著 |
2010年 6月 |
賃金と社会保障№1515 |
本論文は、2003年から試行がスタートした農村地域の公的医療保険―新型農村合作医療制度を取り巻く社会背景、制度に関する政府の政策意図と目標、制度試行の状況および農村住民の医療費負担等について、文部科学省科学研究費補助金「中国の農村地域公的医療保険制度に関する基礎的研究」(基盤研究(B)、課題番号20402050)の研究成果を踏まえて検討したものである。P51~P73 |
「中国『国民皆年金』体制の構築と課題」 |
単著 |
2011年11月 |
賃金と社会保障№1549 |
中国では現在、「国民皆年金」体制の構築が進められている。本稿は、「国民皆年金」体制の構想が打ち出された背景、都市部公的年金制度の改革と課題、農村地域における公的年金制度の再スタートのように3部に分けて論じている。現・胡錦濤政権は高齢化社会からの要請を受けて、都市・農村分立の年金保険をベースとする「国民皆年金」体制を政策的に選択した。そのなかで、都市部公的年金保険の地域間移動を可能にすると同時に、都市部の非就労住民および農村住民を対象とする公的年金制度の試験的実施が始まった。こうした壮大な実験が果たして成功するかは、政府の財政支出や政策の持続等にかかっていると本稿は分析している。P4~P36 |
「中国版『国民皆保険・皆年金』―胡錦濤政権が成し遂げたい最後の偉業」 |
単著 |
2011年11月 |
東亜№533 |
胡錦濤政権は2012年の秋に開かれる共産党第18回党大会で退陣する。現政権は経済の高度成長を長年にわたって達成してきたとともに、「調和社会」を実現すべく「国民皆保険・皆年金」という壮大な構想を打ち出した。本稿は現在中国が抱えている諸課題の先鋭化を指摘しつつ、社会保障の整備における胡錦濤政権の功績を評価し、「国民皆保険・皆年金」体制を中国の進路を方向づけるものとして分析している。P22~P32 |
「中国の社会保障制度の現状と課題―胡錦濤政権の取り組みを中心に―」 |
単著 |
2012年 7月 |
中国経済 |
日本をはじめ先進諸国と同様、中国でも共産党政権の交代が社会保障の有り様に大きな影響を及ぼしている。胡錦濤政権の最大の功績は経済成長ではなくて社会保障制度の整備である。胡錦濤政権の目指している「国民皆保険・皆年金」体制は中国史上初の偉業であり、やがて中国の進路や社会のあり方にも多大な影響を与えることになると考えられる。本稿は胡錦濤政権期における中国の社会保障制度の整備状況を点検しつつ依然として抱えている諸課題を分析している。p39~p59 |
「中国農村部の公的医療保険制度の特徴について」 |
単著 |
2012年 9月 |
金城学院大学論集社会科学編第9巻第1号 |
中国の「国民皆保険」体制は3つの大きな制度からなるが、特に新型農村合作医療は総人口の半分以上を占める農村住民を対象とする制度であるだけに、その実施と行方は「国民皆保険」体制の成敗を大きく左右している。本稿は、中国政府が公式に発表した統計データ、『新型農村合作医療簡報』および筆者が現地調査で得た情報等をベースに、新型農村合作医療の制度設計、枠組み、試行・運用等について検証と分析を試みたい。p52~p70 |
「中国における一人っ子喪失者の生活保障」 |
単著 |
2017年 2月 |
中国経済(電子版) |
中国では一人っ子は「独生子女」と呼ばれ、一人っ子を病気や事故等で失った親たちは「失独者」または「失独家庭」と呼ばれる。近年、「一人っ子政策」が廃止となり「二人っ子政策」が施行されるなど、計画生育政策の軌道修正および出産回数の規制緩和が進められている。こうした中、「失独者」の生活保障問題がますます浮き彫りになり、大きな社会問題として関心を集めている。本稿は、「失独者」が置かれている生活環境と現状を確認し、国と政府の果たすべき責任を明らかにする。また、現行社会保障体系の中で「失独者」の生活保障をどう確立するか、「失独者」の生活保障を確立する上でどのような制度や仕組みを構築しなければならないかといった点について、主に2010 年以降の社会政策、とりわけ中央政府と地方政府の取り組みを中心に検討した。p33~p55 |
「中国の公的医療保険制度における都市と農村の統合」 |
単著 |
2017年 2月 |
賃金と社会保障 |
中国の「国民皆保険」体制は(1)都市労働者基本医療保険、(2)都市住民基本医療保険、(3)新型農村合作医療など3つの制度から構成されるが、(1)は被用者保険(職域保険)であるのに対して、(2)と(3)は非被用者を対象にする地域保険である。制度間の給付格差や重複加入・重複受給といった問題を解決すべく、2007年から一部の地域では都市住民基本医療保険と新型農村合作医療を統合する動きが出始めた。また、中央政府も地方政府の取組みを受けて制度の統合に乗り出した。本稿は、制度統合の背景と中央政府の基本方針、制度統合の具体的な内容(財源、給付水準、薬品目録、管理機関・取扱機関)、一部の地域(広東省東莞市、安徽省馬鞍山市、寧夏回族自治区、山東省)における制度統合のプロセスを検証したうえ、今後引き続き取り組まなければならない諸課題を考察した。p47~p67 |
「中国における介護保険制度の試験的実施の背景について」 |
単著 |
2019年 7月 |
金城学院大学人文・社会科学研究所紀要 |
中国政府は2016年6月27日に「長期護理保険制度の試験的実施に関する指導的意見」という公文書を公布し、「長期護理保険制度」の試験的実施をめぐる指導的思想、基本原則、目標、主要任務、基本政策、管理体制、関連措置、実施のプロセスなどを示したうえ、全国15の市を試験的実施地域として指定した。なぜこのようなタイミングで介護保険制度の試験的実施を指示、推奨したのか、本稿はその背景について要介護人口の増大、高齢者介護福祉の立ち遅れ、介護保障に関する中国政府の基本方針の沿革、学界の積極的な動き等を中心に考察する。p15~p29 |
題目/演目名等 |
発表年月 |
発表学会名等 |
概要 |
「中国の少子高齢化と社会保障制度―都市部と農村部の格差―」 |
2004年11月 |
International Conference アジアにおける地方都市の役割と変容 (於佐賀大学) |
中国社会は都市と農村の二重社会構造を持つ。その両端に位置する都市と農村は、一方が上位・優位、もう一方が下位・劣位に位置する二つの異なった社会である。それを抜きにしては、中国の社会保障や社会福祉を語ることができない。本発表では、発展途上国中国における人口高齢化の意味するところ、二重社会構造による高齢化対策および社会保障制度構築への影響、さらにケースとして都市と農村の最低生活保障制度を取り上げて検証した。 |
「福祉供給システムにおける公的部門の役割について-1980年代以降中国の政策的展開を中心に-」 |
2006年 4月 |
2006年度日本社会福祉学会中部部会(於日本福祉大学) |
本発表では、福祉国家の危機および福祉供給システムの再編成における先進諸国のアプローチを踏まえつつ、社会主義国中国の福祉供給システムの特徴を抽出することによって、1980年代以降の中国で社会保障・福祉の構築と再編成においてどのような基本理念が貫かれているか、また、どのような切実な課題に直面し取り組みを行っているかを明らかにする。 |
「『格差』の視点から中国の社会政策を捉え直す―東アジア福祉国家論との関連で―」 |
2006年 5月 |
社会政策学会第112回全国大会(於立教大学) |
近年、いわゆる東アジア福祉国家論が急速に台頭し、日本、韓国、台湾などの国と地域を福祉国家として位置づけた上で様々な議論を展開している。一方、同じ東アジアの一員である中国の社会政策を捉える場合において今のところ、福祉国家の視点がいまだに明確に提示されていない状況にあるとはいえ、社会政策や社会保障制度の研究において福祉国家への意識はすでに芽生え始め、やがて強まっていくだろうと考えられる。本発表では、福祉国家でない中国をあえて福祉国家の世界潮流の中に置き、福祉国家の理念と現実を一つの座標として中国の「格差」に満ちた社会政策の目的、仕組みおよびその結果をマクロ的に捉え直してみることとしたい。 |
「東アジア福祉国家論と中国の社会政策」 |
2006年 6月 |
「全球化時代の経済と社会」国際学術研討会(於台湾国立雲林科技術大学) |
1970年代に勃発した2回の石油危機は、すべての福祉国家に多大な打撃を与えていた。一方、ほぼ同じ時期にアジア太平洋地域とラテンアメリカでは数多くの新興工業国と地域が生まれた。これらの国と地域は政治体制などにおいて大きな相違点もあるが、資本主義市場経済の発展を通して国民生活の保障と水準向上を図ることを共通の目標にしている。また、東アジアにおいては日本を除き、韓国・台湾・香港・シンガポールなどのいわゆる新興工業経済地域(NIES)も、その歩んでいる道は福祉国家との間に様々な関連性が明らかに見て取れる。さらに、中国は1970年代末期から社会主義市場経済を放棄し始め、相当の資本主義再勉強を経て現在、(社会主義)市場経済の体制を確立したと宣言している。中国ではどのような社会政策を選択し、国民生活の保障と水準向上を図るかといった場合、果たして福祉国家のモデルを避けていわゆる中国独自の社会保障制度を打ち立てることができるのか。本発表では、こうした重要課題について検討する。 |
「格差社会における社会保障制度の役割再考―中国社会政策のジレンマ」 |
2007年 5月 |
社会政策学会第114回全国大会(於東京大学) |
改革開放以降の中国は社会主義の平等理念を掲げ続ける一方、現実には格差社会へと大きく突き進んでいる。格差の拡大に歯止めをかけるためには所得税制度のほか、防貧と救貧など所得再分配の機能を有する社会保障制度の構築が欠かせないとされる。ところが、高い経済成長率の維持を至上命題とする現政権にとって、社会保障制度の構築と拡大に必要な財政投入はむしろできるだけ避けるべきこととなっている。本発表はこうした格差社会の形成要因および格差社会における社会保障制度の重要な役割を明らかにしつつ、中国の社会政策が抱えている高度経済成長と公正な所得再分配のジレンマについて考察した。 |
「福祉国家か福祉社会か―中国の現実と進路選択」 |
2007年 6月 |
福祉社会学会第5回大会(於東京学芸大学) |
近年日本では、福祉国家批判、福祉社会賛美の声が非常に高まってきている。果たして「福祉国家より福祉社会が優れている」というのは自明かつ普遍的な命題なのか、また、福祉国家から福祉社会への移行を万国共通の理念と見なしてもいいのか、議論の余地が大きい。ナショナル・ミニマムの構築を最重要課題とする現段階の中国は福祉国家の道を避けて通れるのか、また、福祉社会への直接のシフトが可能なのか、慎重な議論と探求が待たれている。本報告では、こうした基本的な認識を踏まえながら、中国の社会保障制度の現状を検証しつつ、福祉国家を目指すべきか、それとも福祉社会へと直接シフトしていくべきなのか、といった今後中国の将来をも左右するほど重要な課題について考察してみる。 |
「中国における格差拡大の現状および社会政策のあり方」 |
2007年12月 |
社会政策学会東海部会定例研究会(於金城学院大学) |
中国の格差は歴史的に形成したものもあれば、国と政府が意図的に選択した社会政策そのものもある。格差の拡大に歯止めをかけるには、所得再分配の機能を有する社会保障制度の構築が欠かせないとされる。しかし、高い経済成長率の維持を至上命題とする現政権にとって、社会保障制度の構築と拡大に必要な財政投入はむしろできるだけ避けるべきこととなっている。本報告は、統計データの利用と分析を中心に、「格差社会」の実態を明らかにしつつ、中国の社会政策のあり方について考察してみる。 |
「中国の福祉現場と福祉人材―現状と課題」 |
2008年 4月 |
日本社会福祉学会中部部会2008年度「春の例会」(於日本福祉大学) |
中国では急速な高齢化の進展、人口規模の増大および生活水準の向上等に伴い、国民の社会福祉に対する需要(ニーズ)が多様化・高度化してきている。一方、社会福祉の専門知識を持ち、社会福祉の現場を担うべき人材の養成と活用は多くの課題を抱えており、結果として社会福祉のレベルアップを阻害している。本報告は中国の社会福祉を取り巻く厳しい現状を整理しつつ、福祉人材の養成と活用における課題の考察と対策の検討を試みる。 |
「中国における高齢者在宅介護支援をめぐる政策の展開と地域の取り組み」 |
2008年 6月 |
日本地域福祉学会第22回大会(於同志社大学) |
中国政府は1980年代後半から「社会福祉の社会化」、つまり、社会福祉の責任主体を政府に限定せず、地域、企業、民間団体、個人など、あらゆる力の有効活用を方針とするような政策の転換を図った。とりわけ高齢者の介護に関しては、施設入居の規模を拡大すると同時に、地域サービスの整備を進めてきた。また、2005年以降は、一部の地方政府の取り組みを踏まえて、地方財政による高齢者在宅介護への支援を本格的に奨励するようになった。本発表は、近年一部の都市で展開されている高齢者在宅介護支援の政策を中心に、高齢者在宅介護支援の基本理念、制度の仕組み、財源およびマンパワーの確保、問題点などを考察する。 |
「中国農村地域における最低生活保障制度の全面展開について」 |
2008年 8月 |
社会政策学会第117回全国大会(岩手大学) |
中国の最低生活保障は日本の公的扶助である生活保護制度にあたるが、国民の最低生活を保障するための最後の社会的セーフティ・ネットとして位置づけられている。都市と農村の二重構造の下では、最低生活保障の制度構築も別々に進められている。都市住民最低生活保障に比べ、農村地域における同制度の整備状況は相当異なる。法制化の立ち遅れや、財源負担の下級政府への偏りなどは結果的に農村住民最低生活保障の確立を大きく妨げていた。農村地域において依然として数千万人規模の貧困者は有効的な救済を受けられないとの厳しい情勢を受けて、2007年、中国政府はついに農村地域での全面展開を求めるようになった。本発表は、現在農村地域において展開されている最低生活保障制度構築の進捗状況を明らかにしつつ、制度設計の特徴および制度の実施運営から生じている課題等を考察する。 |
「中国の新型農村合作医療制度の展開について」 |
2009年 5月 |
社会政策学会第118回全国大会(日本大学) |
農村合作医療は中国の農村地域で初めて導入された低水準の地域相互扶助制度であり、その始まりは1950年代後半に遡る。60~70年代には全国の普及も果たされたが、80年代以降農家生産請負責任制の実施に伴い、集団組織の弱体化が急速に進んだ末、同制度は原資調達や医者の診療報酬の支払いなど様々な難題が生じ、最終的にほとんどの地域で崩壊してしまった。その結果、絶対大多数の農村住民は医療費の全額自己負担という最悪の事態に追い込まれていった。21世紀に入り、農村住民の医療保障問題がますます深刻化するという厳しい情勢を受けて、中国政府は同制度の再建に乗り出さざるをえなかった。そして2003年国務院「新型農村合作医療制度の確立に関する意見」の通達を機に、いわゆる新型農村合作医療の全国的試行と展開が本格的にスタートした。本発表は文部科学省科学研究費補助金による「中国の農村地域公的医療保険制度に関する基礎的研究」の成果の一部を踏まえて、新型農村合作医療制度の展開状況および問題点等を検証する。 |
「中国の新型農村合作医療制度の実施効果に対する検証」 |
2010年 6月 |
社会政策学会第120回全国大会(早稲田大学) |
新型農村合作医療制度は農村住民の医療保障問題がますます深刻化するという厳しい情勢を受けて、政府が計画経済時代の旧制度を復活させた形で再出発したものである。財源の約8割が中央と地方の財政で賄われ、大病治療に対する給付を行うといったところは同制度の特徴とされる。また、給付スタートライン(免責制度)と給付限度額を設けていることなども重要なポイントとなる。このような制度設計は果たして農村住民の「病気治療難」の解消に役立っているか、それを解明するためには政府の公文書や統計データのみならず、現地調査を通して重病患者およびその家族の実態をきちんと把握しなければならない。発表は文部科学省科学研究費補助金による「中国の農村地域公的医療保険制度に関する基礎的研究」の成果の一部を踏まえて、新型農村合作医療制度の実施効果について検証を試みる。 |
「日本における中国社会政策研究の動向と課題」 |
2011年 5月 |
社会政策学会第122回全国大会(明治学院大学) |
1990年代以降、日本の学界・研究界においては中国の経済社会全般への関心が急速に高まるにつれ中国社会政策研究も徐々に軌道に乗り、近年となってある意味での「盛況」ともいうべき活発な状態が続いている。また、研究成果としては単著、編著、論文、報告など数多く出ており、政治、経済、社会、社会保障・福祉など分野も多岐にわたる。一方、こうした「活況」を冷静に客観的に見ると、課題も非常に多いということがいえる。当報告は日本における中国社会政策研究の最近の動向と現状を把握しつつ、抱えている課題および今後の行方を分析することとする。 |
「中国の『国民皆保険』体制に関する一考察」 |
2012年 5月 |
社会政策学会第124回全国大会(駒澤大学) |
中国の社会保障体系の中でもっとも重要な役割を果たしているのが社会保険であり、とりわけ医療保険はすべての国民が関わりをもつ柱的な存在となる。これに関して現在中国では「国民皆保険」体制が目指され、大枠もいよいよ完成を迎えるということである。この「国民皆保険」体制は(1)都市労働者基本医療保険、(2)都市住民(非就労者)基本医療保険、(3)新型農村合作医療など三つの制度から構成されている。本発表は、中国の「国民皆保険」体制の大枠と仕組みを明らかにしつつ、制度設計の特徴および問題点について考察を試みる。 |
「中国の高齢者福祉―課題と対策―」 |
2012年 6月 |
日中社会学会第24回全国大会(立命館大学) |
本発表は「高齢者福祉」の定義を明らかにした上で、中国における高齢者福祉の供給システムに関する政府の基本方針(ビジョン)、高齢者施設の現状と課題、在宅介護の現状と課題、社区サービスの現状と課題、施設・在宅・社区の横断的課題を分析しつつ、中長期的な展望に立った改善策・ビジョンを提示している。 |
「習近平政権と格差社会の行方」 |
2015年 2月 |
国際経済研究所研究討論会 |
中国は独自の成長モデルで短期間に世界2位の経済大国に発展した。しかし、国民一人一人がどこまでその恩恵を受けているか検証する必要がある。本発表は、発表者が2014年12月に出版した『GDP2位の中国が抱えるジレンマとは何か』(ミネルヴァ書房)の内容を踏まえて、社会保障の格差を中心に中国の社会政策の課題を解説、分析した。 |
「中国版介護保険制度導入の政策と実践」 |
2016年 7月 |
第2回中日養老交流会 |
中国では近年、病気患者の看護や高齢者の介護について公的制度の整備によって利用者および家族の負担を軽減するといった声が急速に高まってきている。また、実際に一部の地域ではそういった住民の切実なニーズに応えるべく制度作りの試みが行われ、試行作業が展開されている。本発表は、介護保険制度の構築をめぐる中央政府の基本方針と政策および学者・研究者の見解、そして青島市における介護保険制度の試行に焦点を当てて分析を行った。 |
「人口政策と『失独者』の社会保障」 |
2019年 7月 |
第55回東アジアの社会・産業・企業発展政策国際学術会議(日本経済大学) |
中国では、一人っ子は「独生子女」と呼ばれ、一人っ子を病気や事故・事件等で失った親たちは「失独者」または「失独家庭」と呼ばれる。近年、「失独者」の生活保障が大きな社会問題として関心を集めている。本基調講演では、「失独者」が置かれている生活環境と現状を確認し、国と政府の果たすべき責任を明らかにする。また、現行社会保障体系の中で「失独者」の生活保障をどう確立するか、「失独者」の生活保障を確立する際どのような制度や仕組みを構築しなければならないかといった点について、主に2010年以降の社会政策、とりわけ中央政府と地方政府の取り組みを中心に検討した。 |
著書名 |
単著、 共著の別 |
出版年月 |
発行所・発表雑誌等 |
概要 |
「中国の高齢者扶養をめぐる問題」 |
単著 |
2004年11月 |
倫理(倫理研究所) |
中国における儒教の文化伝統にあっては、孝の家族倫理を最大限に奨励するのみならず、それを法体系に組み入れ、法律の力で人々に強制的に従わせてきた。新中国建国後も法体系の中で高齢者遺棄・虐待の禁止を明らかにしている。本稿では、現在全国各地で頻発する高齢者の権利侵害事件を紹介しつつ、高齢者扶養をめぐる家族間の葛藤および訴訟の実態を分析した。P26~P33 |
「格差社会と社会保障制度の役割―中国社会政策のジレンマ(上)」 |
単著 |
2007年 4月 |
週刊社会保障 |
改革開放政策実施以降の中国は、社会主義の平等理念を掲げ続ける一方、現実には格差社会へと急速に突き進んでいる。さまざまな格差は歴史的に形成したものもあれば、国と政府が意図的に選択した社会政策そのものもある。格差の拡大に歯止めをかけるためには所得税制度のほか、防貧と救貧など所得再分配の機能を有する社会保障制度の構築が欠かせないとされる。ところが、高い経済成長率の維持を至上命題とする現政権にとって、社会保障制度の構築と拡大に必要な財政投入はむしろできるだけ避けるべきこととなっている。本稿では、こうした格差社会の現状と形成要因および格差社会における社会保障制度の役割を踏まえながら、中国の社会政策が抱えている高度経済成長と公正な所得再分配のジレンマについて考察している。p50~p53 |
「格差社会と社会保障制度の役割―中国社会政策のジレンマ(中)」 |
単著 |
2007年 4月 |
週刊社会保障 |
改革開放政策実施以降の中国は、社会主義の平等理念を掲げ続ける一方、現実には格差社会へと急速に突き進んでいる。さまざまな格差は歴史的に形成したものもあれば、国と政府が意図的に選択した社会政策そのものもある。格差の拡大に歯止めをかけるためには所得税制度のほか、防貧と救貧など所得再分配の機能を有する社会保障制度の構築が欠かせないとされる。ところが、高い経済成長率の維持を至上命題とする現政権にとって、社会保障制度の構築と拡大に必要な財政投入はむしろできるだけ避けるべきこととなっている。本稿では、こうした格差社会の現状と形成要因および格差社会における社会保障制度の役割を踏まえながら、中国の社会政策が抱えている高度経済成長と公正な所得再分配のジレンマについて考察している。p86~p91 |
「格差社会と社会保障制度の役割―中国社会政策のジレンマ(下)」 |
単著 |
2007年 5月 |
週刊社会保障 |
改革開放政策実施以降の中国は、社会主義の平等理念を掲げ続ける一方、現実には格差社会へと急速に突き進んでいる。さまざまな格差は歴史的に形成したものもあれば、国と政府が意図的に選択した社会政策そのものもある。格差の拡大に歯止めをかけるためには所得税制度のほか、防貧と救貧など所得再分配の機能を有する社会保障制度の構築が欠かせないとされる。ところが、高い経済成長率の維持を至上命題とする現政権にとって、社会保障制度の構築と拡大に必要な財政投入はむしろできるだけ避けるべきこととなっている。本稿では、こうした格差社会の現状と形成要因および格差社会における社会保障制度の役割を踏まえながら、中国の社会政策が抱えている高度経済成長と公正な所得再分配のジレンマについて考察している。p52~p57 |
「『全民医療保障』への険しい道―中国版国民皆保険体制の構築について(上)」 |
単著 |
2008年 1月 |
週刊社会保障 |
戦後社会主義の道を歩んできた中国でも、政府が国民の健康維持において先進資本主義国と異なる独自の手法で一定の関与を講じていたが、理念として、また実際の制度として、国民全員に有効な医療保障を提供しているとは決していえないのが数十年間の事実であり、現状でもある。しかし最近、中国ではついに「全民医療保障」ということを言い出された。それに伴い、新聞や雑誌、およびテレビといったマスコミがほぼ異口同音で同制度を素晴らしい「全民医療保障(「全民医保」と略称)」体制の始まりとして褒め称えて、国中を沸き立たせている。この「全民医療保障」や「全民医保」は日本語に訳せば、「国民皆保険」になる。本稿では、現在中国で急がれている「全民医療保障」体制の構築はいったいどのような内容や仕組みからなっているのか、また、この中国でかつて一度も経験したことのない大規模な実践はどういった形で展開されているか、それが果たしてうまくいくのか等々について検証してみる。p52~p57 |
「『全民医療保障』への険しい道―中国版国民皆保険体制の構築について(中)」 |
単著 |
2008年 1月 |
週刊社会保障 |
戦後社会主義の道を歩んできた中国でも、政府が国民の健康維持において先進資本主義国と異なる独自の手法で一定の関与を講じていたが、理念として、また実際の制度として、国民全員に有効な医療保障を提供しているとは決していえないのが数十年間の事実であり、現状でもある。しかし最近、中国ではついに「全民医療保障」ということを言い出された。それに伴い、新聞や雑誌、およびテレビといったマスコミがほぼ異口同音で同制度を素晴らしい「全民医療保障(「全民医保」と略称)」体制の始まりとして褒め称えて、国中を沸き立たせている。この「全民医療保障」や「全民医保」は日本語に訳せば、「国民皆保険」になる。本稿では、現在中国で急がれている「全民医療保障」体制の構築はいったいどのような内容や仕組みからなっているのか、また、この中国でかつて一度も経験したことのない大規模な実践はどういった形で展開されているか、それが果たしてうまくいくのか等々について検証してみる。p76~p79 |
「『全民医療保障』への険しい道―中国版国民皆保険体制の構築について(下)」 |
単著 |
2008年 2月 |
週刊社会保障 |
戦後社会主義の道を歩んできた中国でも、政府が国民の健康維持において先進資本主義国と異なる独自の手法で一定の関与を講じていたが、理念として、また実際の制度として、国民全員に有効な医療保障を提供しているとは決していえないのが数十年間の事実であり、現状でもある。しかし最近、中国ではついに「全民医療保障」ということを言い出された。それに伴い、新聞や雑誌、およびテレビといったマスコミがほぼ異口同音で同制度を素晴らしい「全民医療保障(「全民医保」と略称)」体制の始まりとして褒め称えて、国中を沸き立たせている。この「全民医療保障」や「全民医保」は日本語に訳せば、「国民皆保険」になる。本稿では、現在中国で急がれている「全民医療保障」体制の構築はいったいどのような内容や仕組みからなっているのか、また、この中国でかつて一度も経験したことのない大規模な実践はどういった形で展開されているか、それが果たしてうまくいくのか等々について検証してみる。p52~p57 |
「中国の農村最低生活保障制度の全国展開」 |
単著 |
2008年10月 |
週刊社会保障№2503 |
中国では最低生活保障は国民の最低限度の生活を保障し、その自立を助長するための最後の社会的セーフティ・ネットとして位置づけられている制度である。一方、都市最低生活保障に比べ、農村地域における同制度の整備状況はかなり違った様相を呈しており、法制化の立ち遅れや、財源負担の下級政府偏重などは結果的に農村最低生活保障制度の確立を大きく妨げていたと考えられる。近年、「三農」問題の抜本的解決を目指す現胡錦濤政権は農村貧困住民の救済をより制度的に行うべきだとの方針から、2007年にようやく農村地域における最低生活保障制度の全面展開を各地方政府に対して求めるようになった。本稿は、現在中国の農村地域で展開されている最低生活保障制度構築の進捗状況を明らかにしつつ、制度設計の特徴および制度の実施運営から生じている諸課題を考察してみる。P56~P59 |
「中国における『国民皆年金』体制への挑戦」 |
単著 |
2011年 2月 |
週刊社会保障№2618 |
発展途上国である中国もいま、深刻な人口高齢化に直面している。高齢化社会は洋の東西を問わず、家族の高齢者扶養機能のオルタナティブ(代替物)として公的年金制度の広範な整備を強く要請するが、現在の中国もその例外ではない。本論文は胡錦涛政権が「国民皆年金」体制の構築に乗り出した背景、そして中国版「国民皆年金」体制の特徴、枠組み、仕組み、整備に向けての取り組み、新たな課題等について分析と検証を行っている。P50~p55 |
「岐路に立つ中国の社会福祉」 |
単著 |
2011年11月 |
週刊社会保障№2655 |
中国の社会福祉は非常に限定的で、福祉国家の研究者の間でよく言われる「残余モデル」または「残余的福祉」にあたる。したがって、社会福祉を如何にして「調和社会」という中長期国家目標に相応しい「制度モデル」または「制度的福祉」にシフトさせていくかが、中国にとっては極めて重要な課題となっている。本稿は都市部で起きている家政婦不足の問題を取り上げて、現在岐路に立つ中国の社会福祉の現状、課題、方向性などについて検討する。P44~P49 |
「所得格差の拡大と社会保障基盤崩壊の危機」 |
単著 |
2012年 4月 |
週刊社会保障№2674 |
社会保障制度の機能として一般に認識されるのが、所得再分配の機能が備わっている社会保障制度は健全で包括的なものであればあるほど、より大きな所得格差の縮小効果をもたらすということである。ところが、所得格差の拡大は一方で社会保障制度の整備と健全化を大きく妨げるような側面がある。本稿では、日本と中国を例として、それぞれの実態を概観しつつ、社会保障制度の整備と所得格差の拡大との相関関係を論じてみる。P50~P55 |
「消費増税反対論と国債乱発容認の矛盾」 |
単著 |
2012年 6月 |
週刊社会保障№2683 |
グローバリゼーションの進行に伴う所得格差の拡大は日本の「国民皆保険・皆年金」体制を危機的な状況に陥れており、この体制を土台にした社会保障体系全般をも基盤崩壊の危険に直面させ始めている。本稿は社会保障給付の国債依存の深刻性と国債乱発の弊害を指摘した上、消費増税反対の大合唱に対して複数の角度から検証している。さらに国民は社会保障財源の確保にもっと関心を持つべきだと唱えている。p58~p63 |
「中国で迷走する個人所得税の制度改革」 |
単著 |
2012年 9月 |
東亜 |
中国の個人所得減税は必ずしも政府が意図した高度経済成長の恩恵還元ではなく、むしろ高所得層優遇や所得格差の拡大といった社会問題を後回ししていると批判されても仕方ないような政策である。一方、学界等における個人所得税のあり方をめぐる議論や研究を見ると、所得格差の急拡大にともなう中低所得層の置かれた不公平な現状を憂慮し、中低所得層の所得増加および税負担軽減を主張する傾向が非常に強い。そこで本稿では、個人所得税の納税者に焦点を当て、近年中国で起きている個人所得税の減税をめぐる議論、政府の個人所得税に関する基本的な考え方、個人所得税法の改正について検証してみる。p82~p91 |
「リバース・モーゲージは新たな老後保障になるか」 |
単著 |
2013年 2月 |
週刊社会保障№2713 |
「リバース・モーゲージ(Reverse Mortgage)制度」は欧米ではすでに半世紀以上の歴史を有し、日本でも1980年代に登場した。先行き不透明な年金制度を見据えて、自宅の年金化・キャッシュ化は重要な選択肢になると考えられるからである。一方、近年、リバース・モーゲージは中国でも大きな話題になり、さまざまな議論を巻き起こしている。本稿では、日本や他の先進諸国の歩みと現実を比較対照の軸に据えつつ、中国における関連議論の背景と争点、および制度政策への展開の可能性等について分析を試みた。p48~p53 |
「中国における介護保険制度の試験的導入」 |
単著 |
2016年11月 |
週刊社会保障№2900 |
中国において医療保険制度はいま農村部にも普及されてはいるが、給付対象はほとんど診療行為に限られており、看護の部分は基本的に対象外とされる。また、障害者福祉と高齢者福祉は非常に貧弱であるため、障害者と高齢者の介護は主に自助努力に委ねられている。そんななか、近年、病気患者や高齢者の看護と介護について利用者および家族の負担を軽減するために公的介護保険を整えなければならないといった声が急速に高まってきており、実際に一部の地域では制度作りの試みが行われ、試験的導入が展開されている。本稿では、急速に増える要介護者、介護保険制度の構築をめぐる中央政府の基本方針と政策および学者・研究者の見解、そして青島市における介護保険制度の試行および具体的な内容等に焦点を当てて分析を行った。p54~p59 |
「中国の公的年金制度における都市と農村の統合」 |
単著 |
2017年 7月 |
週刊社会保障 |
中国の「国民皆年金」体制は、(1)公務員・事業体職員基本養老保険(「養老保険」=年金保険)、(2)都市企業従業員基本養老保険、(3)都市住民社会養老保険、(4)新型農村社会養老保険など4つの制度からなる。(1)と(2)は被用者を対象とする職域型年金であるのに対して、(3)と(4)は非被用者を対象とする地域型年金である。現在、この「国民皆年金」体制は新たなステージに入っており、引き続き年金のポータビリティの実現や基金プールレベルの向上を図ると同時に、関連制度の統合を進めている。本稿は、この統合における中央政府の制度設計および一部地域の制度設計・実施状況などを概観、考察した。p40~p45 |
「中国の社会保障体系から『失独者』の生活保障を考える」 |
単著 |
2019年 3月 |
週刊社会保障 |
中国は2015年に計画出産政策を大きく転換し、一組の夫婦が原則子どもを一人しか産めないという強固な国策にピリオドを打ち、いわゆる二人っ子政策に舵を切った。約40年もの長い歳月で厳しく実施されてきた一人っ子政策は様々な「負の遺産」を生み出しており、それらは決して国策の転換により一夜に消えたわけではない。その最たるものの一つはほかならぬ「失独者」(一人っ子が病気や事故等で亡くなった、または重度の障害になったような人)の生活保障である。本稿は「失独者」の抱えているハイマスクを点検したうえ、「失独者」生活保障の基本的な枠組みを確認し、社会保障体系の中で「失独者」の生活保障をきちんと位置づけ確実に実行することの必要性と可能性を分析した。p38~p43 |
「中国農村住民の医療保障 第1回 改革開放と、農村合作医療の崩壊と再建」 |
単著 |
2019年 9月 |
文化連情報 |
中国では二元戸籍を基盤とする二元社会構造の下、国民の医療保障も二元構造に徹底されている。農村住民は都市労働者・住民と別途に導入されたいわゆる農村合作医療に加入することになる。この制度は農村住民を適用対象とする極めて低水準の地域相互扶助である。改革開放後、人民公社・生産大隊・生産小隊と呼ばれる集団組織は急速に弱体化していくなかで、農村合作医療はほとんど崩壊した。1990年代以降、いわゆる新型農村合作医療は全国でスタートされた。p46-49 |
「中国農村住民の医療保障 第2回 新型農村合作医療の仕組みと特徴」 |
単著 |
2019年11月 |
文化連情報 |
新型農村合作医療の必要な財源は加入者の納めた保険料、村集団組織と政府の補助によって構成される。政府の補助は約8割も占めるという点でいえば、同制度は租税方式と社会保険方式の混合型を特徴とするものである。また、都市労働者基本医療保険と同様、共同基金をメインとし、さらに個人口座を設けた。同制度の給付は、①給付スタートライン(医療保険の免責制度)と、②給付限度額を設けているほか、③医療機関のランクに応じて異なった給付割合を実施する。給付の仕組みにおいて、「二次給付」を実施している。p46-49 |
「中国農村住民の医療保障 第3回 新型農村合作医療と都市住民基本医療保険の統合」 |
単著 |
2020年 1月 |
文化連情報 |
中国の「国民皆保険」体制は、(1)都市労働者基本医療保険、(2)都市住民基本医療保険、(3)新型農村合作医療という3つの制度から構成される。(1)は被用者保険(職域保険)であるのに対して、(2)と(3)は非被用者を対象にする地域保険であり、保険料の賦課の仕組みや医療給付等は基本的に類似する。2000年以降、(2)と(3)の制度統合は一部の地域で行われ、やがて中央政府も制度の統合に乗り出した。政府の指示している統合は、被保険者、財源の調達に関する政策、給付水準、医療保険目録、指定医療機関の管理方法、基金管理など6つの部分に及ぶ。p42-45 |
「中国農村住民の医療保障 第4回 農村住民医療保障の課題と展望」 |
単著 |
2020年 3月 |
文化連情報 |
農村住民の医療保障を確実に行うために財源の確保は至上命題である。しかし、そのような重要な基金は常に侵食される危機に晒されている。医療費の効率的な使用を通じて、無駄や過剰受診等の非効率性を排除しなければならない。一方で、国家会計監査署の監査・調査結果によれば、過剰検査を行っている郷・鎮の衛生院が数多く存在する。中長期的視点に立って保険料の財源構成に占める割合を引き上げていくことは都市・農村住民基本医療保険制度の安定的運営にとって避けて通れないことである。また、農村医療スタッフの質的向上も極めて重要な政策課題である。p42-45 |