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フリガナタカノ ユウジ
ローマ字TAKANO Yuji
氏名高野 祐二
メールytakano@kinjo-u.ac.jp
学位言語学 Ph.D. 
所属文学部 / 英語英米文化学科
職名教授
所属学会日本言語学会 日本英語学会 Linguistic Society of America 
専門分野言語学   
研究課題比較統語論(パラメータ研究) 統語構造と語順の関係 移動現象 

学会及び社会における活動等

開始年月 活動内容 終了年月
1996年 4月 以下の専門雑誌および出版社の出版審査員『言語研究』、くろしお出版、English Linguistics、Journal of East Asian Linguistics、Journal of Slavic Linguistics、Language and Linguistics、Linguistic Analysis、Linguistic Inquiry、Linguistische Berichte、Natural Language and Linguistic Theory、Syntax、The Linguistic Review 現在に至る
1996年 4月 以下の学会の研究発表要旨審査員 Formal Approaches to Japanese Linguistics、GLOW in Asia、International Workshop on Theoretical East Asian Linguistics、Japanese/Korean Linguistics、North East Linguistic Society、West Coast Conference on Formal Linguistics,Western Conference on Linguistics,Workshop on Altaic Formal Linguistics 現在に至る
1997年 4月 日本言語学会会員 現在に至る
1997年 4月 Linguistic Society of America会員 現在に至る
1998年 4月 日本英語学会会員 現在に至る
1999年 6月 日本英文学会大会準備委員 2001年 5月迄
1999年 6月 日本英文学会会員 2010年12月迄
2000年 4月 Generative Linguistics in the Old World会員 2003年 3月迄
2003年10月 日本英語学会編集委員 2007年 9月迄
2005年 8月 南山大学学術叢書審査委員 2005年 9月迄
2007年10月 Journal of East Asian Linguistics編集委員 現在に至る
2007年10月 Taiwan Journal of Linguistics編集委員 現在に至る
2007年10月 Linguistic Variation Yearbook編集委員 2011年12月迄
2009年 9月 日本言語学会大会運営委員 2012年 8月迄
2012年 4月 日本英語学会評議員 現在に至る
2012年 8月 Linguistic Inquiry準編集委員 2017年 7月迄
2016年 1月 言語研究編集委員 2018年 3月迄
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受賞歴

該当データはありません

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著書

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
「Current Topics in English and Japanese」 共著 1994年10月 Hituzi Syobo Nobuko Hasegawa、Yoshiaki Kaneko、Yuji Takano他 総著者数14名。P229〜P253(Unbound Traces and Indeterminacy of Derivation)を執筆(単著)。適正束縛条件の経験的な問題を解決するために、従来、適正束縛条件によって説明されてきた現象を、派生の経済性の観点から説明することを提案した。
「The Derivation of VO and OV」 共著 2000年 John Benjamins Publishing Company Peter Svenonius、Naoki Fukui、Yuji Takano他総著者数12名。P219〜P254(Nominal Structure: An Extension of the Symmetry Principle)を執筆(共著)。共同研究のため本人担当部分抽出不可能。日英語の名詞句内に見られる違いが、Fukui and Takano (1998)で提案した句構造、語順、およびパラメータ変異の理論を用いることによって統一的に説明できることを示した。
「意味と形のインターフェイス:中右実教授還暦記念論文集」 共著 2001年 3月 くろしお出版 明石博光、天川豊子、高野祐二他 総著者数84名。P689〜P699(On Feature Movement)を執筆(単著)。Takano (2000)で提案した範疇移動の分析を拡張することにより、コントロール補部と繰り上げ補部の移動可能性の違いが自然な形で説明できることを論じた。
「Current Issues in English Linguistics」 共著 2003年 9月 開拓社 Hisatsugu Kitahara、Masayuki Oishi、Yuji Takano他 総著者数12名。P42〜P66(Rightward Positionings in Antisymmetric Syntax)を執筆(単著)。Takano (2003, How Antisymmetric Is Syntax?)の内容をさらに発展させ、統語構造と語順の関係についてKayneの理論に対する代案を提案した。Takano (2003)で得られた結果に加え、英語の動詞の右側に現れる付加詞の特性についてさらに細かく検討し、付加詞の分布はKayneの理論では説明できない一方で、右への付加を自由に許す従来の理論でも説明できないことを示した。移動と付加詞の生成を統一的に説明するためには、Takano (1996, Movement and Parametric Variation)の提案に修正を加えた理論が有効であることを論じた。
「The Oxford Handbook of Japanese Linguistics」 共著 2008年 9月 Oxford University Press Shigeru Miyagawa, Mamoru Saito, Yuji Takano他 総著者数24名。P423~P455(Ditransitive Constructions)を執筆(単著)。日本語の二重補部構文の構造と派生について、先行研究の利点と問題点を論じ、それらの利点を生かしつつ問題点を解決する統一的な分析を提案した。また、日本語の二重補部構文の研究が、言語理論研究の発展にどう貢献できるかについても論じた。
「Deep Insights, Broad Perspectives: Essays in Honor of Mamoru Saito」 共著 2013年11月 Kaitakusha R. Amritavalli、Duk-Ho An、Yuji Takano他総著者数23名。P381〜P400(Notes on Movement of Antecedents)を執筆(単著)。日本語の多重分裂文の観点から束縛の移動分析を支持する証拠を提示した。さらに、束縛関係における先行詞の移動は、A移動でありながら局所生の効果を示さない一方で、島の効果を示すという特異性を有することを論じた。
「世界に向けた日本語研究」 共著 2013年11月 開拓社 遠藤喜雄、岸本秀樹、高野祐二他総著者数11名。P45〜P68(多重分裂文と束縛の移動分析)を執筆(単著)。日本語の多重分裂文の観点から束縛の移動分析を支持する証拠を提示した。また、この観点から多重分裂文の分析を考察し、Takano (2002)で提案された分析をSaito (2003, 2005)の移動理論の下で精緻化する方向性を示唆した。
「Japanese Syntax in Comparative Perspective」 共著 2014年 5月 Oxford University Press Mamoru Saito, Yuji Takano他総著者数14名。P139~P180(A Comparative Approach to Japanese Postposing)を執筆(単著)。日本語の後置現象をトルコ語の後置現象と比較することで両者の類似点と相違点を明確にし、日本語の後置現象を説明する分析およびトルコ語との違い説明するパラメータを提案した。提案の骨子となるのは、トルコ語の後置現象は、統語移動によって派生されるのに対して、日本語の後置は、音韻部門における韻律構造に基づく移動であるという分析である。この後者の分析により、日本語の後置現象が示す複雑な特性を、統語部門での派生と音韻部門での派生の相互作用によって説明できることを示した。また、日本語とトルコ語の違いは、機能範疇Cの形態的性質の違いから導かれるという提案をした。この分析により、日本語とトルコ語は統語部門ではまったく同じであるが、形態部門で異なるために両者の違いが生じるという提案をした。
「Remnant Movement」 共著 2015年 3月 De Gruyter Mouton Guenther Grewendorf, Yuji Takano他総著者数12名。P35-P51 (Minimality for Merge)を執筆(単著)。remnant movementの可否にかかわるMueller-Takanoの一般化を説明する理論について、Takano (1994)の提案を現在の理論的枠組みの中で再検討し、その修正案を提案した。Takano (1994)の分析では、現在の理論では認められていない全域的な経済性条件が用いられていたため、その修正案として、派生に課される局所的な条件としてのminimalityを併合操作の適用に拡張することで、Takano (1994)の精神を生かしつつ、Mueller-Takanoの一般化を導くことが可能であることを示した。さらに、Mueller-Takanoの一般化の反例と思われるデータについても、この提案による分析で説明がつくことを論じた。
「日本語文法ハンドブック:言語理論と言語獲得の観点から」 共著 2016年11月 開拓社 村杉恵子、斎藤衛、宮本陽一、瀧田健介、高野祐二他著者総数10名。P332〜P365(2種類のスクランブリング)を執筆。日本語のスクランブリングには、節内のスクランブリングと節を越える長距離スクランブリングがある。この2種類のスクランブリングは異なる性質を示すことが知られている。本論では、まずこの重要な事実を確認した上で、コントロール補文からのスクランブリングについて考察した。コントロール補文からのスクランブリングは、ある場合は節内のスクランブリングと似た性質を示し、別の場合は長距離スクランブリングと似た性質を示す。この複雑な特性は、コントロールの移動分析に基づくTakano (2010)の分析によって説明できることを論じ、またその帰結として、2種類のスクランブリングに関する既存の分析のうち、統一分析を支持することを主張した。
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学術論文

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
「Some Extensions of the DP Hypothesis」 単著 1989年11月 English Linguistics 6 Takano (1988)の提案に従い、名詞句内にIPを導入することにより、名詞句内での格付与、一致現象、および前置現象を、節内での対応する現象と並行的かつ自然な形で説明することが可能になることを示した。また、DPは指定部を持たないと仮定すると、節からの抜き出しと名詞句からの抜き出しの違いが、障壁理論を用いて説明できることを示した。
「DP-Internal Subjects」 単著 1990年11月 English Linguistics 7 英語の名詞句内に現れる主語が主要部名詞の項であるときはDPであるが、付加詞であるときは音形を持たないPの補部として現れ、全体としてPPになっているという提案をし、これにより、コントロール、束縛、抜き出しなどにおいて、2つのタイプの主語が異なるふるまいを示すことが説明されることを論じた。
「Predicate Fronting and Internal Subjects」 単著 1995年 Linguistic Inquiry 26.2 述部前置と束縛原理Cの関係を詳しく調べてみると、Huang (1993)の分析にとって問題となる現象が存在することを指摘し、その現象を説明するために、前置された述部がLFでは必ずもとの位置に戻るという提案をした。前置された述部がLFでもとの位置に戻る効果は、その述部が主語の痕跡を含んでいると仮定すると、適正束縛条件または連鎖条件の働きとして説明できることを示した。
「Scrambling, Relativized Minimality, and Economy of Derivation」 単著 1995年 The Proceedings of the Thirteenth West Coast Conference on Formal Linguistics 移動が付加構造を自由に作ることができると仮定すると、相対的最小性は最短リンク原理とGreed原理という2つの経済性原理の相互作用から導くことができるという提案をした。さらに、英語のwh移動と日本語のかきまぜ現象の違いも説明できることを論じた。
「VP-Internal Object Shift」 単著 1996年 The Proceedings of the Fourteenth West Coast Conference on Formal Linguistics 日本語との比較により、英語の二重補部構文における目的語は、基底では低い位置に存在するが、派生の途中で前置詞句を越えて移動していることを示し、この目的語の移動が日本語のかきまぜ現象と同じであるという提案をした。これにより、日本語と英語は、かきまぜ現象の有無において異なるのではなく、かきまぜ現象が起こる領域において異なることを論じた。
「Prosodic and Morphological Constraints: An Optimality Account of Alabama Negation」 単著 1997年 Proceedings of Arizona Phonology Conference: Workshop on Features in Optimality Theory アメリカインディアンの言語であるアラバマ語では、動詞、形容詞の否定形において、否定形態素のkiが、語幹により、接頭辞、接尾辞、または挿入辞として現れ、さらにkiがikとして現れる場合もある。この複雑な現象は、従来の音韻論の枠組みでは統一的に扱うことができなかったが、本論文では、最適性理論の枠組みを用いて、これらの異なる否定形のパターンが、階層関係にある韻律論および形態論に関する制約の相互作用から統一的に導かれることを示した。
「Object Shift and Scrambling」 単著 1998年 Natural Language and Linguistic Theory 16 Takano (1997, Object Shift as Short Scrambling)での成果にもとづき、英語の動詞句内にかきまぜ現象が存在することを主張し、英語の目的語移動の義務性は、移動を引き起こす統語操作の性質と派生の収束に課される条件の相互作用によって説明されることを示した。かきまぜ現象が見られる領域に関する日英語の違いは、かきまぜ現象が付加構造を作る移動であり、素性照合と付加構造が互いに相容れないものであると仮定することで説明できるという提案をした。
「Symmetry in Syntax:Merge and Demerge」 共著 1998年 Journal of East Asian Linguistics 7 Naoki Fukui、Yuji Takano 共同研究につき本人担当部分抽出不可能。言語体系の可視部門と音韻部門の計算操作は対称性を持つという「対称原理」が存在することを主張し、この原理に従って、Takano (1996, Movement and Parametric Variation in Syntax)で提案された語順決定のメカニズムが機能するという提案をした。さらに、主要部移動は指定部への移動であると考えると、主要部前置の語順が句の移動の場合と同じ原理で説明されることを論じた。
「Illicit Remnant Movement: An Argument for Feature-Driven Movement」 単著 2000年 Linguistic Inquiry 31.1 remnant movementに観察されるある種の制限は、移動する範疇の主要部が痕跡である場合、その素性が統語操作にとって「見えない」ために現れるという提案をした。この結論は、移動が範疇レベルで起こるのではなく、移動する範疇の主要部の素性を牽引することにより起こるというChomskyの最近の見解を支持するものであることを論じた。
「Surprising Constituents」 単著 2002年 Journal of East Asian Linguistics 11.3 日本語には、文中の複数の要素が自由に組み合わさってひとつの構成素のようにふるまう現象が存在する。この現象を動詞移動とremnant movementによって説明する従来の分析の問題点を指摘し、この現象は動詞移動と関係なく、ある要素が移動して他の要素に付加することにより生じるという代案を提案した。
「How Antisymmetric Is Syntax?」 単著 2003年 Linguistic Inquiry 34.3 構造上高い要素は低い要素に必ず先行するというKayne (1994)の仮説がどこまで正しいかを、英語の付加詞と重名詞句移動のパターンを詳しく調べることにより検証した。否定極性表現の特徴を用いて、重名詞句移動は重名詞句が右方向に移動することによって派生されるのではないのに対して、動詞の右側に現れる付加詞は右方向への付加によって生成されるという結論を導いた。この結果から、Kayneの仮説は移動に関しては正しいが、付加詞の生成に関しては強すぎるという主張をした。
「Nominative Objects in Japanese Complex Predicate Constructions:A Prolepsis Analysis」 単著 2003年 Natural Language and Linguistic Theory 21.4 Takano (2002, Case and Internal Thematization)の提案を修正・発展させ、日本語の可能を表す複合述語構文に見られる主格目的語は基底において埋め込み節の要素として分析すべきでないことを、主格目的語が埋め込み節と「連結」していないことを示すいくつかの事実を指摘することにより主張した。また、主格目的語は日本語固有の現象ではなく、英語のprolepsis現象と基本的に同じであるという提案をした。さらに、日本語の他の複合述語構文に見られる主格目的語も同様に分析されるべきであることを論じた。
「Coordination of Verbs and Two Types of Verbal Inflection」 単著 2004年 Linguistic Inquiry 35.1 日英語の比較を通じて、動詞の屈折を説明する普遍文法のメカニズムとして2つの形が存在することを論じた。屈折動詞を等位接続することが英語では可能であるのに対し、日本語では不可能であることを示し、このことから、英語では屈折要素が動詞の一部としてTとの素性照合を受けるが、日本語では屈折要素が統語部門では動詞と離れてTに存在し、音韻部門において動詞と結びつくと考えるべきであるという提案をした。
「Why Japanese Is Different:Nominalization and Verbalization in Syntax and the Distribution of Arguments」 単著 2004年 Linguistic Variation Yearbook 3 日本語の統語的特異性を形態論と統語論の相互作用から導くことを提案した。日本語の名詞が英語の派生名詞とまったく異なる特徴を持つのに対して、日本語の動詞は英語の派生名詞とよく似た特徴を持つことを示した。この事実を説明するために、日本語の動詞はすべて、名詞化された語根を動詞化することにより派生されるという仮説を提案し、その帰結を検討した。
「On the Syntactic Structure of Japanese Accusative Causatives」 単著 2004年 3月 Tsukuba English Studies 22 日本語の対格使役構文について、従来の分析の不備を指摘し、対格使役構文に現れる複合述語は、統語部門で使役動詞と埋め込み動詞を併合することにより生成されるという提案をした。このように生成された構造の特徴と主題役割付与に関する原理の相互作用により、従来の分析では十分にとらえることができない二重対格と数量詞遊離の現象が説明できるようになることを示した。
「On Vacuous Verb Raising」 単著 2005年 2月 生成文法の極小理論に基づいた文法の形式部門の統合的研究 平成16年度科学研究費研究報告書(研究代表者 阿部潤) 日本語の統語部門に語順を変えない動詞繰り上げが存在するかどうかという問題を取りあげた。この問題については、従来、賛否それぞれの立場が存在し、それぞれについて興味深い証拠と議論が示されてきた。本論文では、従来の研究とは異なる新しい視点からこの問題に取り組み、日本語には動詞繰り上げが存在しないことを、二つの根拠に基づいて主張した。まず、英語において目的語のあとに現れる付加詞が目的語より高い位置に存在しうるという現象に注目し、同じ現象が日本語に見られないことを指摘した。また、英語では定形動詞を等位接続することができるのに対し、日本語ではできないという点を取りあげた。そして、いずれの事実も、日本語に動詞繰り上げがないと仮定した場合にのみ、説明が可能であることを示した。さらに、同様の議論が、日本語と同じ基本語順を持つトルコ語にも成り立つという提案をした。
「Making Rightward Scrambling Possible」 単著 2007年 3月 金城学院大学論集 人文科学編 第3巻第2号 右方向へのスクランブリングを可能にするメカニズムがどのようなものであるかを、トルコ語の後置現象の分析を通じて論じた。トルコ語の後置現象を適切に説明するためには、従来の右方向への付加による分析では不十分であることを示し、後置された句はCの補部を形成しているという新たな分析を提案した。このように、移動した要素が新たな補部を形成することは、Richards (2001)が主張するtucking-in操作の特殊形であり、普遍文法によって許されるべき可能性であることを、ミニマリスト・プログラムにおける句構造理論の観点から主張した。
「Scrambling, Control, and Phases」 単著 2009年 3月 金城学院大学論集 人文科学編 第5巻第2号 日本語のコントロール補文からのスクランブリングが、時制節からのスクランブリングと異なる特性を示すことは、Nemoto (1993)等の研究によりよく知られている。本論文では、日本語のコントロール補文からのスクランブリングがもたらす束縛効果に関して、従来観察されていない新たな事実を指摘し、その分析を提案した。この分析に基づき、コントロール補文からのスクランブリングは、時制節からのスクランブリングと同じ特性を持つということと、コントロール構文は、コントローラーの移動によって派生されるということを主張した。また、スクランブリングが示す特性を説明する理論として、Saito (2003, 2005)の移動理論をphase理論の観点から修正することを提案した。
「Scrambling and the Nature of Movement」 単著 2009年 4月 Nanzan Linguistics No. 5 日本語のコントロール補文からのスクランブリングが、時制節からのスクランブリングと異なる特性を示すことは、Nemoto (1993)等の研究によりよく知られている。本論文では、日本語のコントロール補文からのスクランブリングがもたらす束縛効果に関して、従来観察されていない新たな事実を指摘し、その分析を提案した。この分析に基づき、コントロール補文からのスクランブリングは、時制節からのスクランブリングと同じ特性を持つということと、コントロール構文は、コントローラーの移動によって派生されるということを主張した。また、この提案が移動の理論に関してどのような帰結をもたらす可能性があるかについて論じた。
「Scrambling and Control」 単著 2010年 1月 Linguistic Inquiry 41.1 Takano (2009、Scrambling, Control, and Phases)の提案をより精緻なものにし、そのさらなる帰結を、束縛変項解釈成立の条件、スクランブリングの適用条件、および主語コントロール現象の本質、という観点から論じた。
「Double Complement Unaccusatives in Japanese: Puzzles and Implications」 単著 2011年 8月 Journal of East Asian Linguistics 20 日本語の二重補部非対格構文を詳細に調べると、2つの補部が示す主語性について興味深い事実が存在することがわかる。すなわち、「自分」の束縛に関しては、着点項と主題項の両方が主語として振る舞うのに対して、動詞の主語尊敬形に関しては、主題項のみが主語の振る舞いを示す。これらの事実から以下の問いが生じる。(1)他動詞文の場合は通常、「自分」の先行詞は文中の一つの項に限られるのに、二重補部非対格構文の場合はなぜ2つの項が「自分」の先行詞になれるのか。(2)二重補部構文において、「自分」の束縛に関しては、2つの項が主語性を示すのに対して、動詞の主語尊敬形に関しては、なぜ主題項だけが主語性を示すのか。本論文では、(1)日本語の主語性は、vのEPP素性を満たす要素に付与される、(2)非対格構文における着点項は「に」を主要部とするPPである、という提案をすることにより、これらの問題が解決されることを示した。また、この提案の帰結として、主語性、EPP、および日本語の与格にかかわる問題について論じた。
「Multiple Clefting and a Movement Approach to Binding」 単著 2012年 3月 言語科学研究 特別号 Hornstein (1999)の研究以来、(義務的)コントロール現象をコントローラーの移動としてとらえる分析をめぐる議論が盛んに行われている。このコントローラーの移動分析は、コントロール現象のみならず束縛現象の分析にも影響を与え、Hornstein (2001)やKayne (2002)は、(再帰)代名詞と先行詞の束縛関係を代名詞位置からの先行詞の移動により説明する「束縛の移動分析」を提案している。本発表では、日本語の観点から束縛の移動分析について考察し、その帰結について検討した。具体的には、日本語の多重分裂文に見られる「同節要素制限」を詳しく観察することにより、束縛の移動分析を支持する新たな経験的証拠を提示した。さらに、この観点から日本語の多重分裂文の分析を検討すると、Takano (2002)で提案された分析が望ましいことを示し、この分析のもとで同節要素制限を説明するには、Saito (2003, 2005)で提案された移動理論が有効であることを論じた。
「Movement of Antecedents and Minimality」 単著 2013年 3月 Nanzan Linguistics No. 9 日本語の多重分裂文に見られる同節要素制限を詳細に観察すると、一見例外となる事実が数多く存在し、また、それらの例外には興味深い一般化が成立することを指摘した。さらに、その一般化は、束縛の移動分析を採用すると自然な形で説明できることを提案した。一方、束縛の移動分析のもとでは、先行詞が代名詞的要素からA移動によって移動するにもかかわらず、通常のA移動に見られる最小性の効果が見られないことになる。この問題について、Kayne (2002)の分析を採用すると、先行詞は主題役割を受けない位置から移動をすることになり、この点で他のA移動と異なることを重視し、その特性のために先行詞DPの持つ格素性が統語計算上、不可視になるために先行詞の移動が最小性の効果を示さないという提案をした。
「Extending Movement Derivations from Control to Binding」 単著 2013年 9月 金城学院大学論集 第10巻第1号 Takano (2010)では、日本語のコントロール節からの長距離スクランブリングが束縛変更の解釈に与える効果を詳細に検討し、コントロールの移動分析が正しいという結論を導いた。同論文ではまた、束縛関係については同様の効果が見られないという観察に基づき、束縛関係は先行詞の移動により派生されるものではないと示唆した。本論文では、この後者の点を再検討した。まずは、長距離スクランブリングが束縛変更の解釈に与える効果を調べるには、埋め込み節を非定形節にする必要があることを指摘した。この点で、Takano (2010)で観察対象にしていたデータには不備があったことになる。そこで、本論文ではこの点を改善し、より適切なデータを観察したところ、束縛関係の存在がコントロールと同様の効果を示すことがわかった。このことから、日本語の長距離スクランブリングの特性は、Hornstein (2001)とKayne (2002)が提案する束縛の移動分析を支持することを論じた。
「Surprising Constituents as Unlabeled Syntactic Objects」 単著 2015年 3月 Nanzan Linguistics No. 10 日本語の分裂文では、焦点位置に主格要素が現れると容認度が落ちることが知られている。本論文では、焦点位置に複数の要素が現れる多重分裂文ではこの「主格制約」の効果が弱められることを指摘し、その説明を試みた。まず、そもそもなぜ主格制約が見られるのかという問題に対し、この現象は英語の分裂文についてよく知られている制約、すなわち、焦点位置には[-V]の範疇のみが現れるという制約と同じ性質のものであると考え、これらの現象をChomsky (2014)で提案された句構造のラベル付けという観点から説明する分析を提案した。さらに、日本語の多重分裂文に関して、Takano (2002)の分析をラベル理論の観点から再解釈し、多重分裂文の焦点位置に現れる要素はラベルを持たない構成素であるという分析を提案をし、それにより主格制約の違反が回避されることを示した。
「A New Form of Sideward Movement」 単著 2017年 7月 "A Schrift to Fest Kyle Johnson" Linguistics Open Access Publications 1 本論文では、日本語の多重分裂文において島の効果が見られないという事実を指摘し、その分析を試みた。単一分裂文には島の効果が見られるのに対し、多重分裂文には同様の効果が見られないことは、従来の研究で提案されてきた多重分裂文の分析では説明がつかない。本論文では、多重焦点要素の派生を詳細に検討し、多重焦点要素は、外併合の適用を拡張した結果可能になる新たな形態の側方移動によって、いったん元の構造とは独立した構成素を形成し、その構成素がさらに元の構造の焦点位置に併合されるとする分析を提案した。この分析により多重分裂文が島の効果を示さないという事実が説明できることを示し、その限りにおいて、ここで提案した新たな形態の側方移動が支持されることを論じた。
「Exploring Merge: A New Form of Sideward Movement」 単著 2020年 2月 The Linguistic Review 37 併合の適用を拡張することで「二重側方移動(double sideward movement)」という新たな形態の移動が可能になることを提案し、その帰結を考察した。日本語の多重分裂分は様々な特異性を示すが、従来の研究ではそれらを説明することができない。しかし、多重分裂分の派生に二重側方移動がかかわっていると考えると説明が可能となる。この点で、二重側方移動の提案は経験的に支持される。その一方で、二重側方移動の提案から生じる新たな問題もある。二重側方移動は併合の適用を拡張することで可能になるが、どのような拡張も可能というわけではない。併合のこの特性を、ワークスペース上の「見える統語体」の数を制限することにより説明することを試みた。
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学会発表

題目/演目名等 発表年月 発表学会名等 概要
「Move alpha inside DP and Retroactive Nominals」 1988年11月 日本英語学会第6回大会 青山学院大学 英語の遡及名詞形について、従来観察されていない特徴を指摘し、それにもとづいて、遡及名詞形は行為名詞形の一種として分析し、空所の存在とその解釈は、Takano (1988)およびTakano (1989)で提案された名詞句の構造を仮定することにより、コントロール理論の帰結として説明されることを示した。
「Economy of Derivation: A View from Scrambling」 1992年 3月 Arizona Linguistic Conference University of Arizona 日本語におけるかきまぜ現象を詳細に調べることにより、かきまぜ現象にかかわる移動が、文の派生のステップを最少にするという経済性原理に従うことを示した。
「Minimalism and Proper Binding」 1993年 5月 日本英文学会第65回全国大会シンポジウム 東京大学 Takano(1994、Unbound Traces and Indeterminacy of Derivation)と同じ内容。
「Scrambling, Relativized Minimality, and Economy of Derivation」 1994年 3月 West Coast Conference on Formal Linguistics XIII University of California, San Diego 移動が付加構造を自由に作ることができると仮定すると、相対的最小性は最短リンク原理とGreed原理という2つの経済性原理の相互作用から導くことができるという提案をした。さらに、英語のwh移動と日本語のかきまぜ現象の違いも説明できることを論じた。
「VP-Internal Object Shift」 1995年 3月 West Coast Conference on Formal Linguistics XIV University of Southern California 日本語との比較により、英語の二重補部構文における目的語は、基底では低い位置に存在するが、派生の途中で前置詞句を越えて移動していることを示し、この目的語の移動が日本語のかきまぜ現象と同じであるという提案をした。これにより、日本語と英語は、かきまぜ現象の有無において異なるのではなく、かきまぜ現象が起こる領域において異なることを論じた。
「Prosodic and Morphological Constraints:An Optimality Account of Alabama Negation」 1995年 4月 Arizona Phonology Conference:Workshop on Features in Optimality Theory University of Arizona アメリカインディアンの言語であるアラバマ語では、動詞、形容詞の否定形において、否定形態素のkiが、語幹により、接頭辞、接尾辞、または挿入辞として現れ、さらにkiがikとして現れる場合もある。この複雑な現象は、従来の音韻論の枠組みでは統一的に扱うことができなかったが、本論文では、最適性理論の枠組みを用いて、これらの異なる否定形のパターンが、階層関係にある韻律論および形態論に関する制約の相互作用から統一的に導かれることを示した。
「Partial Argument Shift:Its Nature and Implications for Economy」 1996年11月 日本英語学会第14回大会ワークショップ 関西学院大学 英語の動詞句内に観察されるかきまぜ現象と格照合の関連を考えることにより、移動に関する経済性原理が大域的ではなく局所的に定義されるべきであることを論じた。
「Antisymmetric Syntax」 1997年11月 日本英語学会台15回大会ワークショップ 東京都立大学 句構造と語順に関するKayne (1994)とTakano (1996)の理論を比較し、それぞれの特徴と問題点を論じた。
「生成文法理論におけるパラメータ研究ー日英語比較統語論の観点から」 1998年 3月 第4回言語処理学会チュートリアル 九州大学 最近の生成文法における比較統語論研究とパラメータ研究の例としてFukui and Takano (1998)の内容を解説した。
「Rightward Positionings in Antisymmetric Syntax」 2002年11月 日本英語学会第20回大会特別ワークショップ 青山学院大学 Takano (2003, How Antisymmetric Is Syntax?)の内容をさらに発展させ、統語構造と語順の関係についてKayneの理論に対する代案を提案した。Takano (2003)で得られた結果に加え、英語の動詞の右側に現れる付加詞の特性についてさらに細かく検討し、付加詞の分布はKayneの理論では説明できない一方で、右への付加を自由に許す従来の理論でも説明できないことを示した。移動と付加詞の生成を統一的に説明するためには、Takano (1996, Movement and Parametric Variation)の提案に修正を加えた理論が有効であることを論じた。
「Head-Finality and the Right Periphery」 2004年 5月 日本英文学会第76回全国大会シンポジウム 大阪大学 従来の理論にとって問題になる文の右周辺部の特異性を説明できる句構造と語順の理論を提案した。この理論の帰結を英語の付加詞とトルコ語の右方向へのスクランブリングの観点から考えた。
「On Ditransitive Verbs」 2005年 7月 Linguistic Theory and the Japanese Language Harvard University 日本語の二重補部構文の分析に関して、従来の研究の成果を概観し、残された問題を解決する方法を示唆するとともに、日本語のこの現象の研究から得られる、普遍文法に関する帰結を論じた。
「Scrambling and Control」 2007年11月 日本英語学会第25回大会シンポジウム 名古屋大学 日本語におけるコントロール節からのスクランブリングの詳細な観察に基づき、コントロール節からのスクランブリングは、従来の見解とは異なり、時制節からのスクランブリングと同じ性質を示すということと、コントロール構文はコントローラーの移動により派生されるということを論じた。また、ここで指摘したコントロール節からのスクランブリングの特性は、Saito (2003, 2005)で提案されたスクランブリングの理論を支持すると主張した。
「Movement Effects in Binding」 2011年 4月 日本英語学会第4回国際春期フォーラム 静岡大学 本発表では、束縛関係は束縛子が非束縛子の位置から移動することにより派生されるという分析を、日本語のスクランブリングと束縛変更解釈の関係および多重分裂文の観点から支持した。また、束縛子の移動が示す特性および束縛子の移動を伴わない束縛関係の必要性についても論じた。
移動とラベル付けの新たな可能性 2016年11月 日本英語学会第34回大会シンポジウム 金沢大学 日本語多重分裂文が示すWhスコープ再構築効果と島の効果に関する特異性に着目し、多重分裂文の焦点要素は新たな形態の側方移動により{XP, YP}構造の構成素を形成し、ラベルを持たないという分析を提案した。
「日本語多重分裂分と二重側方移動」 2018年12月 日本語文法学会 立命館大学 併合の適用を拡張することで「二重側方移動(double sideward movement)という新たな移動が可能になることを提案した。この提案により、日本語の多重分裂分が示す島の効果と同節効果に関する特異性が説明できるようになることを論じた。
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博士論文

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
「Movement and Parametric Variation in Syntax」 単著 1996年 3月 University of California, Irvine 日英語の統語的相違点を語順の違いと結びつけて説明する理論を提案した。Kayne(1994)が提案した句構造と語順の関係に関する基本的な仮説を採用しつつ、Kayneとは異なる句構造と語順の理論をたてることにより、Kayneの理論では説明できない語順、格助詞の有無、多重目的語の有無、隣接現象の有無、かきまぜ現象の有無、wh移動の有無、that-trace現象の有無、といった日英語の特徴を、英語には主要部の移動があるが、日本語にはないという違いから統一的に導くという提案をした。また、かきまぜ現象に関する日英語の類似点と相違点も、この理論によって説明されることを示した。
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