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フリガナクワハラ マキコ
ローマ字KUWAHARA Makiko
氏名桑原 牧子
メールmakikuwa@kinjo-u.ac.jp
学位人類学Ph.D 
所属文学部 / 外国語コミュニケーション学科
職名教授
所属学会日本オセアニア学会 日本文化人類学会 American Anthropological Association 
専門分野文化人類学 地域研究 芸術学   
研究課題身体装飾・身体加工 ジェンダーとセクシャリティ 放射能汚染からの地域再編 

学会及び社会における活動等

開始年月 活動内容 終了年月
1998年 4月 日本オセアニア学会 現在に至る
2004年 4月 日本文化人類学会 現在に至る
2004年12月 国立民族博物館共同研究員 2006年 3月迄
2007年 4月 国立民族博物館30周年記念『VAKA MOANAオセアニア大航海展』のタヒチ展示担当 2007年11月迄
2007年10月 日本風俗史学会 2012年 3月迄
2008年 2月 American Anthropological Association 現在に至る
2008年 8月 海洋博公園海洋文化館ダブルカヌー調査協力 2008年 8月迄
2009年 7月 海洋博公園海洋文化館展示アドバイザー 2013年 9月迄
2013年10月 国立民族学博物館共同研究員 現在に至る
2014年 5月 日本文化人類学会『文化人類学』編集委員 2016年 4月迄
2017年 4月 日本オセアニア学会Peope and Culture in Oceania編集担当理事 2021年 3月迄
2018年 4月 国際日本文化研究センター共同研究員 現在に至る
2018年 6月 日本文化人類学会『文化人類学』書評主任補佐 2020年 5月迄
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受賞歴

受賞年月 受賞名
2006年 3月 第6回日本オセアニア学会賞
2007年 6月 第33回公益信託澁澤民族学振興基金澁澤賞
2016年 1月 The 2015 ICAS Reading Committee Edited Volume Accolade in the Social Sciences
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著書

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
Tatau/Tattoo: Bodies, Art and Exchange in the Pacific and the West 共著 2005年 5月 London:Reaktion Anna Cole, Bronwen Douglas and Nicholas Thomas編集。担当したのはPart Twoの第8章“Multiple Skins: Space, Time and Tattooing in Tahiti”(pp.171‐190)。現在、タヒチで彫られているイレズミは、西欧との接触以前のタヒチの世界観や宗教や社会制度に組み込まれたものではなく、若者文化、ジェンダー・アイデンティティの構築、文化復興運動、観光産業、近代化、グローバル化、刑務所文化などと深く結びついている。本稿は、イレズミを通して形成され、表象されるマスキュリニティ(男性性)と若者の集団性を検証しながら、現代タヒチのイレズミと若者文化の関係における空間性と歴史性を考察する。
Tattoo:An Anthropology. 単著 2005年 5月 Oxford:Berg. 本書は、フランス領ポリネシアの人々が身体を通して、コミュニティ、社会、そしてグローバルな空間に、いかに自らを位置づけているかを考察する。身体は社会・文化・歴史的に構築されるという観点からイレズミ慣習を分析することによって、身体が時代ごとに変容していく社会規範とイデオロギーが交差する場であること、そして、その身体を操作することによって、人々は自らの時間、空間を構築し、社会関係を築きながら生きていることを提示する。268 pages.
『講座ファーストピープルズ~世界先住民の現在 第9巻オセアニア』 共著 2005年 9月 明石書店 監修者綾部恒雄、第9巻オセアニア編者前川啓治、棚橋訓。第Ⅱ部11章「タヒチ~民族のイメージと実態」(pp.206-216)を執筆。西欧が抱いてきた「楽園、タヒチ」のイメージは西欧中心主義でエキゾチックな嗜好から生まれ、タヒチ人はそれに変更を加えながら西欧に対峙するポリネシア文化を構築してきた。しかし、観光産業という経済的側面、および、外交的側面を考慮すると、この「楽園」イメージは必ずしもマイナスなものではなく、タヒチ人はそれを上手く利用しているともいえる。本稿は、「南の島の楽園」というタヒチのイメージとその実態を、西欧人接触期から現代における歴史に沿って考察する。
『オセアニア―海の人類大移動』 共著 2007年10月 国立民族学博物館編 国立民族学博物館30周年記念特別展『VAKA MOANA大オセアニア航海展』におけるタヒチ展示についての解説。「タヒチのタトゥー」(pp. 100-105)を執筆。現代のタヒチの人々がタトゥーを通して、自らのエスニック・アイデンティティを構築し、観光産業を促進し、グローバルなタトゥー・シーンの発展に関わっていることを描き出す。タヒチの模様のみならず、欧米、日本、他のポリネシアなどのスタイルを取り入れて彫る一人の彫師の仕事に焦点を当てながら、グローバルとローカルなタトゥーのつながりを説明する。
『世界史史科9 帝国主義と各地の抵抗Ⅱ東アジア・内陸アジア・東南アジア・オセアニア』 共著 2008年 6月 岩波書店 歴史学研究会編集。第6章オセアニア・第3節ポリネシア・223-224「キャプテン・クックの到来」、「ロンドン伝道協会タヒチ教会の開設」(pp. 383-386)を担当。タヒチの歴史を研究する上で重要とされる文献の一部を翻訳し、それに解説を加えた。取り上げたのは、クックの航海記とデイビスのロンドン伝道協会の布教活動の歴史であり、どちらの文献も、18~19世紀のタヒチ社会の民族誌としてのみならず、初期西欧人とタヒチ人の接触・関係を理解するうえで、また、タヒチ社会が政治的に物質的にイデオロジカルに変容していく過程を研究するうえで貴重な歴史資料であることを解説する。
『オセアニア学』 共著 2009年10月 京都大学学術出版会 オセアニア学会編。第5部第3章の③「タタウ・ルネッサンス―タヒチ文化の復興と創造」(pp.492-499)を執筆。ポリネシアのイレズミについての先行研究を紹介した上で、本稿ではタヒチのタタウの社会的・文化的意味を考察し、次に、タタウが植民地支配とキリスト教化によって禁止され、その後、文化復興運動と共に復活した歴史を考察する。さらに、現在、タタウがグローバリゼーションの影響を受けていかに変化しているかを明らかにする。
『朝倉世界地理講座 第15巻オセアニア』 共著 2010年 4月 朝倉書店 片山一道、熊谷圭知編集。第8章8.3「フランス領ポリネシアにおける身体とアイデンティティ」(pp.428-436)執筆。グローバル化によって脱領土化されたタタウが、文化復興運動やタウレアレア文化を通してエスニック/ジェンダー・アイデンティティを構築するタヒチ人たちによって、さらに、「トライバル」スタイルを設定するタトゥー・シーンや「楽園像」を前面に押し出す観光産業によって再領土化されていく過程を考察する。この再領土化において、世界の周縁で実践されているようにみえるタヒチのタタウは、植民地支配や近代化によるタヒチ文化史の断続をつなぎ合わせ、ローカル性を強化しつつも、同時にグローバルな文化創造に連動していることがわかる。
『南太平洋を知る58章』 共著 2010年 9月 明石書店 地域社会・文化を紹介する明石書店のシリーズにおけるポリネシア・メラネシア版(吉岡政徳・石森大地編集)の中で著者は第36章「楽園の喧騒―タヒチ島パペーテの人々の暮らし」、第37章「身体に模様を刻む文化―タヒチのタタウ」、第48章「太平洋芸術祭―海を越えてつながるアーティストたち」(pp.214-223, pp.276-280)を担当する。現代のタヒチ島パペーテの人々の暮らし、タタウの施行現場の様子や現代タヒチ社会における意味、太平洋芸術祭の様子と政治的・経済的な背景について、それぞれ著者のフィールドワークの体験や写真を交えながら、わかりやすく説明をしたもの。
『現代オセアニアの<紛争>』 共著 2013年 3月 昭和堂 石森大知、丹羽典生編集。第9章「フランス領ポリネシアにおける核実験への抗議暴動と独立運動」(pp.223-247)を執筆。フランスは1966年から1996年にかけてフランス領ポリネシアのツアモツ諸島ムルロア環礁、ファンガタオファ環礁で核実験を行った。それに対するポリネシアの人々の不満と反発は1987年と1995年の抗議暴動を引き起こした。本稿前半では、抗議暴動が起こった社会的背景として、太平洋実験センターと軍施設設置にともなって生じた社会的、経済的変化を考察する。後半では、さらに暴動をジェンダーとエスニシティの側面から分析する。
”Gender on the Edge: Transgender, Gay, and Other Pacific Islanders.” 共著 2014年 5月 Honolulu: University of Hawai'i Press Niko Besnier, Kalissa Alexeyeff編集。第5章"Living as and Living with Mahu and Raerae: Geopolitics, Sex, and Gender in the Society Islands" (pp. 93-114)執筆。トランスジェンダー、トランスセクシャルを表すカテゴリー「マフ」と「ラエラレ」の持つ意味は、グローバル化が進むフランス領ポリネシアの首都タヒチ島パペーテと観光化が進むボラボラ島では異なる。本稿は、それぞれの島のマフとラエラエの身体性、家族やコミュニティとの関係をフィールドワークによって拾いながら、グローバル化がポリネシア人のジェンダーとセクシャリティの在り方にどのような影響を与えたのか、さらに、それがフランス領ポリネシア内であっても地域的に違いが生じるのはなぜかを明らかにする。
『交錯と共生の人類学―オセアニアにおけるマイノリティと主流社会』 共著 2017年 3月 ナカニシヤ出版 風間計博編集の科研基盤Aの成果論集。「マフとラエラエの可視化と不可視化―フランス領ポリネシアにおける多様な性の共生―」(pp.133-164)を執筆。本章は、タヒチ社会における性的マイノリティ の可視化と不可視化に着目しながら、欧米のジェンダー/セクシャリティ概念が包含するポリティックスとポリネシアの多様な性の受容とが交錯する状況を考察する。本章は、欧米のジェンダー/セクシャリティの概念がタヒチ社会へ与える影響を踏まえながら、特定の性を生きる人々がいかに名乗り・名づけられ、マイノリティ化し、主流社会から、あるいは、他の性的マイノリティから受容もしくは排除されるかを分析するとともに、それらへ対応・対抗する当事者たちの実践を考察する。その上で、性的マイノリティの主流社会との共生、および、性的マイノリティ間の共生のあり方を明らかにする。
『フェティシズム研究第3巻 侵犯する身体』 共著 2017年 6月 京都大学学術出版 田中雅一編集のフェティシズム論集の3巻目。「皮膚をまさぐる視線―18、19世紀タヒチ社会における他者認識にみるフェティシズム―」(pp.49-74)を執筆。本稿は、視覚と触覚の相異に着目することで、植民地的状況、とりわけ大航海時代初期の西欧とタヒチの接触期における他者認識について新たな見解を導き出す。さらに、皮膚上の他者認識を検証することで、文学・芸術から現代の観光産業にまで影響を与えるようになる、エロティシズムとエクゾティシズムを内包する、西欧による「タヒチ=楽園」の起源を見出せることを提示する。本稿では、敢えて皮膚に執拗な視線を向けながら18、19世紀タヒチ社会の西欧人との接触を考察することで、「取り違え」が生み出す文化の広がりを提示する。
『オセアニアで学ぶ人類学』 共著 2020年 昭和堂 梅﨑昌裕、風間計博編集の人類学の教科書のなかの「第12章 身体―イレズミからみるポリネシア社会の歴史」を執筆。身体加工としてのイレズミには被施術者を集団に帰属させ他集団から差異化する役割があること、伝統的タヒチ社会においてイレズミは人びとの階層、性、年齢などを差異化し、禁忌タプへの対応を行っていたことを示した。西洋人探検家との接触、キリスト教化の中でその役割も変容し、19世紀には施術自体が行われなくなったことを論じた。
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学術論文

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
“Tahitian Tattooing in the Christianization Process: Ideological and Political Shifts Expressed on the Body”. 単著 1999年 3月 Man and Culture in Oceania, 15 タヒチのイレズミは、18世紀後半から島を訪れるようになった西欧人探検家との交流によって、さらにはキリスト教宣教師の布教活動によって変容していき、島の宗教・慣習を重んじる人たちにとっては「維持されるもの」となり、宣教師や改宗者にとっては「隠されるべきもの」となった。本稿は、キリスト教の影響に焦点を当てながら、19世紀初期のタヒチにおいての人々の宗教、政治への関わり合い、また、それらがイレズミ、衣服にどのように表れていたかを考察する。pp. 23-43.
“Dancing and Tattooing the Imagined Territory: Identity Formation at Heiva and the Festival of Pacific Arts.” 単著 2006年 3月 In Matori Yamamoto Ed, Art and Identity in the Pacific: The Pacific Festival of Arts. JCAS Area Studies Research Reports No. 9. The Japan Center for Area Studies, National Museum of Ethnology. 本論文は、太平洋芸術祭とヘイバ(タヒチで開催される芸術やスポーツのイベント)におけるダンスとイレズミを分析しながら、フランス領ポリネシアの人々が、領土内において、あるいは、オセアニア、さらには国際関係の中で、自らの民族アイデンティティをいかに構築し表示しているかを考察する。ヘイバにおいては、領土内の諸島ごとの文化の違いを強調し、太平洋芸術祭においては、フランス領ポリネシアという一つの領土としての統一を目指していることがわかる。pp. 79-109.
「タヒチのタタウ―文化復興運動とグローバル化をめぐって」 単著 2008年 7月 『季刊民族学』125号 タタウがタヒチのコスモロジーの中でどのような意味を持つのかを説明し、植民地化と近代化の中で変容していく歴史を検証し、加えて、タトゥーのグローバル化と連動しながら模様や技法において発展を続ける現在タタウの動向について考察する。さらに、文化人類学の身体加工の先行研究を踏まえて、模様を身体に刻むという不可逆的な実践の意味について考察する。pp. 22-39.
「身体を包む―タヒチの衣服とタタウ」 単著 2009年 3月 『民俗と風俗』第19号、日本風俗史学会中部支部 本稿は、18世紀後半から19世紀前半にかけてのタヒチにおいて、皮膚と衣服の持つ象徴的意味とそれに関連する実践を検討する。はじめに、西欧人接触以前のタヒチの世界観の中での①皮膚、②タパ(tapa、樹皮布)、③タタウ(イレズミ)、④包む行為の意味を検証し、次に、キリスト教宣教師の影響によるタヒチ社会の宗教的、政治的側面における変化を考察する。包む行為としてのタタウは著者の先行研究で論じてきたが、本稿ではそのタタウの分析を照らし合わせながら衣服や布による包む行為を中心にみていく。pp. 79-96.
「ハイダとタヒチの文化復興とイレズミの復活」 単著 2010年 3月 『民俗と風俗』第20号、日本風俗史学会中部支部 ポリネシアのタヒチ人ととカナダのハイダ族の人々は、どちらもイレズミ文化を持っていた。しかし、西欧人との接触、植民地化やキリスト教化を経て、イレズミは禁止され、彫られなくなった。ここまでの流れはタヒチとハイダに共通するが、タヒチでは1980年代になり、文化復興運動と欧米タトゥーの流行に連動して復活し、新たなタタウ/タトゥー文化が生まれているのに対し、ハイダでは目立ったイレズミ文化の復活、流行はみられない。本稿は、タヒチとハイダのイレズミ文化の歴史とそれに影響を与える社会的背景を西欧人接触期以前から近代まで追いながら、両者の文化復興の違いをイレズミと彫刻を中心に考察する。pp.115-135.
「身体の物質化―マルケサスのイレズミの道具と染料の変化を中心に―」 単著 2014年 3月 『年報人類学研究』2014年第4号 モノのエイジェンシーへの関心の高まり、アクターネットワーク理論を代表とするモノと人間の関係について多くの人類学の研究が積み重ねられているのを踏まえ、本稿はこれまで模様や社会・文化的意味の分析に付属的な位置づけをされてきた道具や染料を考察の中心に置く。それによって、イレズミにみられる身体の物質化を明らかにし、モノと身体の関係への分析に新たな可能性を提示する。道具と染料の変化の影響はイレズミの形状に留まらず、西欧の生理学や医学の知識の導入に伴い、彫師の道具と染料の取り扱い方も変えた。また、イレズミ施術行為を公的領域から私的領域へと移行させ、彫師と施術者との関係をも変えたことを論じる。pp.78-91.
「身体実践と社会階層―18、19世紀タヒチの他者認識―」 単著 2016年 9月 『金城学院大学論集社会科学編』第13巻第1号 本稿は、タヒチ島の人々が18世紀末から19世紀初めにかけて島を訪れた西欧人船長や水夫たちをいかに捉えていたかを考察する。はじめに、18世紀以前のタヒチの世界観と社会制度の概要を述べ、タヒチ社会のハビトゥスであった「包む行為」について論じる。次に、西欧人接触期初期の船長と首長、水夫と平民の関係を個別に分析しながら、西欧との接触によりタヒチ社会が変容する中で、タヒチのタプ制度にみられるハビトゥスがいかに変容したかを考察する。個々の身体実践に着目することで、首長、船長、水夫、平民男性、平民女性それぞれのエージェンシーが錯綜する状態を描き出すことができる。pp.21-38.
「フランス領ポリネシアのファアアムと養子縁組―土地への帰属意識との関係から―」 単著 2017年 3月 『金城学院大学論集社会科学編』第13巻第2号 本稿は、フランス領ポリネシアにおいて西欧接触以前から行われてきた実親以外の養育者による子供の養育制度ファアアム(fa’a’amu)、および、近年になってポリネシア人同士の間で行われるようになった養子縁組と、フランス人養親とポリネシア人実親の間で組まれる養子縁組とを比較分析する。本稿では、ポリネシア人は親族関係を自らの土地とのつながりに重ね合わせて認識してきたことに着目する。これまでのオセアニアの養子・里子研究において中心であった親子・親族関係の枠内での考察に留まらず、ポリネシア人の土地への帰属の概念や土地との情緒的繋がりを通して子供の養育の捉え方を考察することによって、ポリネシア人の国際養子縁組にみられる、ポリネシア人実親、フランス人養子親、ポリネシア人養子の間で生じる養育についての認識の違いを空間・場所認識の違いに起因するものとして浮き彫りにする。pp.20-35.
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学会発表

題目/演目名等 発表年月 発表学会名等 概要
“Modern Primitives and Post-Modern Appropriation”. 1998年10月 Thursday Talk at Centre for Cross Cultural Research. 1980年代に欧米で起こったモーダン・プリミティヴィズムでみられた非西欧社会の身体改造は、欧米の人々による非西欧文化の盗用なのか、あるいは、非西欧文化からインスピレーションだけを得て作り出されたものなのか。主に、Vale, V. and Andrea Juno. Eds. 1989. Modern Primitives. San Francisco, V/ Searchの言説を分析して文化所有権について論じた。
“Making Multiple Skins: Identity Formation in French Polynesia”. 1998年11月 Anthropology Department seminar at the Australian National University. タヒチの歴史を西欧人との接触初期から、キリスト教化、フランスの海外領土化と近代化を経て現代に至るまでを考察していき、イレズミと島の人々の身体の認識と扱いがどのように変容してきたかを分析した。イデオロジカルな変化に曝されてきたタヒチのイレズミが、現在、グローバル化と観光化が進むなか、新たな社会的・文化的意味を持つようになったことを論じた。
“Dialogue between Fakir Musafar and Michel Raapoto”. 2000年10月 Art Across Cultures: Aboriginal Australia to Asia-Pacific, Centre for Cross-Cultural Research, October. 「モダン・プリミティヴィズム」の代表者ファキール・ムサファーとタヒチの彫師の間のダイアログとして、発表者が創作した架空の対話を展開しながら、文化の所有、ポストモダン的な創造、エスニック・アイデンティティの構築と伝統芸術、グローバリゼーションと身体芸術について論じた。
“Layers of the Skin: Transformation of Tahitian Tattooing through Embodying Masculinity” 2001年 3月 Anthropology Department seminar at the Australian National University. 現代タヒチのイレズミはエスニック、および、ジェンダー・アイデンティティを構築している。思春期に達した若者たちは、女子は料理、掃除、洗濯、子育てをすることによって活動の中心を家庭に置くようになる。男子は狩猟や漁労や建築等に従事し、家から離れて同世代の同性の友人たちと過ごすようになる。フランスの海外領土という政治的な状況下、その教育制度から落ちこぼれ、職にあぶれた若者たちは、フランス人に対抗する目的で自らのエスニシティとマスキュリニティを構築し表示しようとする。
“How to Read Photography: on Anthropological Methodology”. 2001年 4月 Challenges to PerformCross-Culturally: Seeing, Hearing, Narrating, Reflecting, Centre for Cross- Cultural Research. フィールドワークで撮影した一枚の写真の分析とそれに関わる民族誌の可能性を考えた。それが撮られた状況、および、この現場にいた人々の人間関係を考察することで浮かびあがってくるのは、民族誌というものが観察者と被観察者とのダイナミックな関係性によって構築されていることである。文化人類学の調査・分析の批判と共に、その新たな可能性を提示した。
“Three Sites of Tahitian Tattooing”at the workshop of Tatau/ Tattoo: Embodied Art and Cultural Exchange, 1760-2000. 2002年 5月 The conference of Tatau/ Tattoo: Embodied Art and Cultural Exchange, 1760-2000 at National Maritime Museum, London. 現代タヒチで行われているイレズミを、事例を挙げながら、若者文化、エスニック・アイデンティティの構築、刑務所文化の3つの異なる文脈で紹介した。ワークショップの別の発表者が研究するサモアの事例と比較しながら、常に継続されてきたサモアのイレズミとは異なる、約150年の歴史的空白を経て復活したタヒチのイレズミの社会的・文化的意味を探った。
“Temporality and Spatiality of Tahitian Tattooing”. 2003年 8月 The conference of Tatau/ Tattoo: Embodied Art and Cultural Exchange, 1760-2000, at Victoria University of Wellington. 現在タヒチで彫られているイレズミは、西欧人との接触以前のタヒチの世界観や宗教や社会制度に組み込まれたものではなく、若者文化、ジェンダーアイデンティティの構築、文化復興運動、観光産業、近代化、グローバル化、刑務所文化などと深く結びついている。発表では、イレズミを通して形成され、表象されるマスキュリニティ(男性性)と若者の集団性を検証しながら、現代タヒチのイレズミと若者文化の関係における空間性と歴史性を考察した。
「フランス領ポリネシアにおけるエスニシティ」 2003年12月 オセアニア研究会、法政大学 太平洋の島嶼国の多くが独立を果たしたなか、フランス領ポリネシアはフランスの海外領土である。そのようなフランス領ポリネシアにおける、エスニシティの分類と複数エスニシティ間の関係を考察した。「マオヒ」「タヒチアン」「ポリネシアン」という島出身、あるいは、島に暮らす人々を称する民族名称の使われ方を比較し、島の人々がローカルな場で、そして、グローバルな場で自らを位置づけることで、他のポリネシア人、フランス人、フランス領ポリネシア内の他の諸島の人々との関係を築いているかを論じた。
「現代タヒチの入墨研究の歴史性」 2004年 6月 日本文化人類学会研究大会、東京外語大 学 断続的で変動的であるタヒチのイレズミの歴史を研究するにあたって、ミッシェル・フーコーの提示した系譜学的分析を取ることを提案した。大きく3つの時期に分類できるタヒチのイレズミの歴史を、系譜学の特性を重視し、あえて近代から18世紀まで溯って考察した。これによって、タヒチのイレズミの政治性を強調すると共に、18世紀に行われていたタタウは現代のタトゥーの起源ではなく、むしろ現代の社会的文脈においての参照・由来であることを示した。また、イレズミに焦点を当てた歴史の実践は、研究者の意図を色濃く反映する、主観的なものであることも論じた。
「グローバル化、身体、アイデンティティ:フランス領ポリネシアのイレズミ」 2005年 6月 文化人類学セミナー、埼玉大学、6月 タヒチのイレズミが社会的にどのような意味を持っていたか、それが植民地主義、キリスト教化を経て、現在、グローバル化と近代化の影響を受けて、どのように変化したかを発表したもの。現在のタヒチのタトゥーが若者文化と民族アイデンティティの構築に深く関っていること、また、欧米や日本や他のポリネシアの模様や技術を若い彫師たちは積極的に取り入れて新しいタヒチのタトゥー文化を作り上げていることを考察した。
「マフとラエラエ―フランス領ポリネシアの性の多様性について―」 2007年 6月 日本文化人類学会研究大会、名古屋大学 フランス領ポリネシアでは西欧との接触以前から、マフと呼ばれる、生物学的性が「男性」であるが「女性」に近い役割を担って生きる人々がいる。マフはタヒチの社会制度に組み込まれ、家族や社会からもマフであることを認められながら生きている。近代化、グローバル化の流れの中で、トランス・セクシャリティを可能にする様々な情報や技術がタヒチに紹介され、「ラエラエ」と呼ばれる、女装や化粧をし、なかにはホルモンを摂取し豊胸手術をする人々がタヒチ島のパペーテを中心に現れた。本発表は、タヒチ島のパペーテとボラボラ島のマフとラエラエの現状を報告し、フランス領ポリネシアの性の多様性について考察した。
「現代に生きる島の人々─ イース ター島からマダガスカルまで」 2007年10月 みんぱくゼミナール、国立民族学博物館 国立民族学博物館開館30周年記念特別展「オセアニア大航海展─ヴァカモアナ、海の人類大移動」の中で発表者が担当したタヒチ展示(タタウ文化)の内容とタヒチ社会全般について、一般の来館客に向けて開催されたセミナーにおいて話した。
「タヒチのタタウ/タトゥーとグローバリゼーション」 2007年12月 中部人類学談話会、椙山女学院大学 近年、欧米や日本でタトゥー/イレズミが流行をする中、タヒチのタタウもその価値が認められ、グローバルなタトゥー・シーンに紹介されていった。タヒチの彫師も欧米のタトゥー・ショップでゲスト・アーティストとして働いたり、タトゥー・コンベンションに参加したりしている。このようなタトゥー文化がグローバル化していく中、その影響を受けてタヒチのタタウと彫師がどのように変化していったかを発表した。
「フランス領ポリネシアのマフとラエラエの人間関係構築について―多様な性の共存のあり方を模索する」 2008年 6月 第53回日本=性研究会議、家の光会館7階コンベンションホール 植民地支配の歴史、現在に続くネオコロニアルな政治状況、近代化、グローバル化を通して、タヒチ社会の性が複雑化した背景を、社会規範、道徳観、性の概念認識の変容に沿って論じた。また、現在、マフとラエラエが家族、コミュニティ、学校、職場などで他の人々との間にどのような人間関係を築きながら生きているのかを考察した。
「皮膚のフェティシズム」 2008年 6月 文化人類学会研究大会、京都大学 皮膚の視覚・触覚認識に関連するフェティシズムについて、18世紀末から19世紀初めのタヒチ社会にみられる皮膚と包む行為の文化的、宗教的意味を挙げながら考察した。はじめに、タヒチのコスモロジーと社会制度を紹介し、その中での「包む行為」と皮膚に込められた意味を考察し、次に、初期西欧人接触期の船長と首長、水夫と平民の関係を個別に分析しながら、タヒチ社会が変容していく中、「包む行為」と皮膚も異なる意味を持つようになっていく過程を論じた。
「マフとラエラエの名称について―タヒチ島とボラボラ島の比較」 2009年 6月 文化人類学会研究大会、国立民族学博物館 タヒチ社会では西欧人接触以前から現在に至るまで、生物学的には男性として生まれたが、家事や子育てなど、女性としての役割を担うマフ(mahu)と呼ばれる性を生きる人々がいる。近年になり、このマフに加えて、女装や化粧をする人々に対してラエラエ(raerae)という呼び名も使われるようになった。マフとラエラエを明確に使いわける場合もあれば、それが曖昧な場合もあり、単に異なる呼び名であること以上に、そこにはマフ/ラエラエが生きる社会の変化が反映されている。本発表では、そのようなマフとラエラエの名称の使われ方をタヒチ島とボラボラ島の事例を比較しながら分析した。
「身体を包む―タヒチのタパとタタウ」 2009年 6月 日本風俗史学会中部支部6月例会、衣の民俗館 本発表は、18世紀後半から19世紀前半にかけてのタヒチにおいて、皮膚と衣服の持つ象徴的意味とそれに関連する実践を検討した。はじめに、西欧人接触以前のタヒチの世界観の中での皮膚、タパ(tapa、樹皮布)、タタウ(イレズミ)、包む行為の意味を検証し、次に、キリスト教宣教師の影響によるタヒチ社会の宗教的、政治的側面における変化を考察した。包む行為としてのタタウは著者の先行研究で論じてきたが、本発表ではそのタタウの分析を照らし合わせながら衣服や布による包む行為を中心に論じた。
「マフとラエラエ―フランス領ポリネシアのジェンダーマイノリティ」 2012年 2月 太平洋島嶼部におけるマイノリティと主流社会の共存に関する人類学的研究 2011年度第1回研究会、筑波大学 太平洋島嶼のマイノリティに関する共同研究(科研)の研究分担者として発表。フランス領ポリネシアのトランスジェンダー、トランスセクシャリティであるマフ、ラエラエの家族やコミュニティ内の位置づけが、タヒチ島とボラボラ島ではどのように異なるかを、主にマフとラエラエの身体性と職業を比較しながら分析した。マフとラエラエがそもそもジェンダー、セクシャルマイノリティであるのか、マイノリティをいったいどのように定義すべきかにも議論が及んだ。
「エイジェントとしてのタトゥーと物質性の変化」 2012年 5月 モノ・コト・時間の人類学 南山人類学研究所共同研究会、南山大学 発表者の研究も含め、タトゥーの先行研究においては、社会的、文化的コンテキストに沿ったタトゥーの分析が多かった。本発表では、そのようなタトゥーの持つ意味やタトゥーを彫る人のエイジェンシーではなく、タトゥーの物質性(染料、道具など)に注目し、物質性の変化がタトゥーの形態や意味をどのように変えてきたかを分析した。また、タトゥーがそれを身に纏う人に行為をうながずエイジェントになりうるかを論じた。
「移動させられる子供たち―ファアアムと養子」 2013年 2月 太平洋島嶼部におけるマイノリティと主流社会の共存に関する人類学的研究、2012年度第3回研究会、京都大学 ポリネシア社会にはファアアムと呼ばれる実親のかわりに親族や親友が子供を養育する制度がある。それは主に、拡大家族内において養育の負担や労働力を分散させるために行われてきた。子供は実親が誰であるか知っており、実親との関係を保つケースがほとんどである。しかし、近年、ポリネシアの子供を養子に取るフランス人夫婦がでてき、その多くは法的に完全養子の手続きを取り、本国に子供を連れて帰る。ポリネシアの実親との関係を維持する場合もあるが、すべてがそうとはいえない。ポリネシア人実親とフランス人養親の養子に対する考えの違いを互いに理解せぬまま、養子を成立させ、後に問題が生じることも少なくはない現状を発表した。
「マイノリティとしての子供」 2014年 2月 太平洋島嶼部におけるマイノリティと主流社会の共存に関する人類学的研究 2013年度第6回研究会、京都大学 子供はタヒチ社会において人口的に少数派ではなく、「弱者」としてのマイノリティにあたる。しかし、子供すべてがマイノリティとして位置づけられているかというとそうではなく、子供がマイノリティとして認識されるのは、その人権が問題とされる状況においてであり、主に福祉と教育が絡んでいる場においてである。本来、「マイノリティ」、「人権」という概念がなかったタヒチ社会において、ポリネシア人の養育、特に伝統的なファアアムと近年増加してきた法的な手続きを踏んでの養子縁組にこのような子供=マイノリティという概念がどのような影響を与えるかを発表した。
「ティキを彫ることは神を可視化することか?―タヒチの偶像崇拝とその批判」 2015年 1月 大陸を横断するオカルト科研研究会、金城学院大学 本発表は、ジャン=リュック・マリオンの否定神学とそれに基づく偶像論を使いながら、フランス領ポリネシア・タヒチ島のポリネシア人の伝統的信仰にみられる偶像崇拝とその批判について考察する。はじめに西欧接触以前の伝統的信仰における神の不可視性を紹介し、次に、現代タヒチ社会の信仰の検証として、プロテスタントとカトリックの悪魔払い師のポリネシアの偶像ティキ、とりわけ、イレズミの模様として身体に彫られるティキの捉え方と関わり方を比較する。現代タヒチ社会にみられるポリネシアの伝統的信仰とキリスト教、および、キリスト教の教派間にみられる相克とともに、それらの実践においての連続性を分析し、さらには、神の可視化についての今後の研究の方向性を示す。
「フランス領ポリネシアにおける多様な性の間の差異化」 2015年 2月 太平洋島嶼部におけるマイノリティと主流社会の共存に関する人類学的研究:科研年度末研究会 本研究は、タヒチ社会が近代化、グローバル化していく過程において、性自認、性的指向の多様な人々が、カテゴリー化、マイノリティ化されていくプロセスを検証する。ジェンダー/セクシャリティのカテゴリー化、マイノリティ化は社会ごとに異なることを前提とし、タヒチ社会特有の歴史的、文化的背景を踏まえながら、マフ、ラエラエ、同性愛者、両性愛者がいかに社会から疎外、差別、あるいは、受容されるかを明らかにする。
"What Distinguishes Professional tattooists from Amateurs in the Case of Contemporary Tahitian Tattooing." 2016年 3月 Authentic Change in the Transmission of Intangible Cultural Heritage、国立民族学博物館 国立民族学博物館において開催されたシンポジウムAuthentic Change in the Transmission of Intangible Cultural Heritage(2016年3月~13日)の第2日目第4セッションでの発表。ユネスコが選定して無形文化遺産化することではなく、ローカルな実践のなかで文化が継承されていく例として、フランス領ポリネシアのイレズミの継承について発表した。多様な道具と染料の使用や、グローバルおよび他のポリネシアのタトゥーシーンとのつながりによって彫師のプロフェッショナル化が進み、プロの彫師先導のイレズミの継承と発展がみられることを示した。
「フランス領ポリネシアの核実験被ばく問題へのキリスト教的支援について」 2016年 6月 放射線影響をめぐる「当事者性」に関する学際的研究、国立民族学博物館 本発表ではフランス領ポリネシアの人々が核実験による放射線被ばくの環境・健康被害に向き合い生きていくなかで、キリスト教が担ってきた役割を明らかにする。その役割には、キリスト教 信仰に基づく自然観の形成、地域社会に根付いたキリスト教教会の人道支援、領土内外における 被ばく者の連携の構築、さらには、反核運動が引き起こす独立運動とは距離を保ちながらの教会 の慎重な政治的関与が含まれる。フランス領ポリネシアの核実験による放射線被害の歴史と被ばく者とその家族の個々の人生が、いかにフランス領ポリネシアのグローバル化、植民地支配の歴史、現代の独立運動や環境保護と関わってきたかを、本研究ではキリスト教を分析の軸に定めて論じる。
「彫られたティキをめぐって―タヒチの偶像崇拝と否定神学」 2017年 1月 エージェンシーの定立と作用―コミュニケーションから構想する次世代人類学の展望、国立民族学博物館 本発表はフランス領ポリネシアのティキ(tiki)をめぐり交わされるコミュニケーションを取り上げて、とりわけ悪魔祓いとティキを模様とするイレズミの施術が重なる領域でのコミュニケーションによって発動する、現代のポリネシア人の信仰について考察する。イレズミ施術における物質的な変化こそが、イレズミのティキを偶像化したと同時に、ティキを「単なる模様」として彫ることで否定神学的にキリスト教の神の超越性を強調することも明らかにする。
「イレズミ=ティキの神像・偶像化と模様化―ジェル、ラトゥール再考」 2018年 9月 中部人類学会談話会、名城大学  本発表は、タヒチの社会状況とイレズミの道具や技法が変容することで、イレズミで彫られるティキがいかに生成変化したかをジェルとラトゥールを再考しながら論じる。ティキは伝統信仰においては「無形」を表す、模様のない木片であったのが、イレズミ施術では皮膚に有形で彫られ、有形であってもマルケサス伝統イレズミでは部位、そして道具の変化と共に全身へと形状が変容する。これらティキの物質性と形状が、「神像・偶像のティキ」と「模様のティキ」を、さらに、悪魔祓いの現場では「悪魔の入口のティキ」を生成させる。形状や物質性に誘導されながら、人々がティキに働きかけ、さらに、ティキに関わる人々の間で、ティキについての異なる見解が交わされることによって、イレズミ=ティキの神像・偶像化と模様化が生じることを考察する。
「タヒチのタパとタタウー西欧接触期の変容―」「大溪地的樹皮布及刺青:與西歐接觸後的變容」 2018年 9月 跨文化的「刺青」-大溪地與日本、國立臺灣史前文化博物館 国立台湾史前博物館の一般来館者に開かれたセミナーで講演を行った。当博物館において岩佐コレクションのタパの調査をさせてもらったので、それに関連して、タヒチの伝統社会におけるタパとイレズミの役割と意味、それが18世紀にキリスト教布教が始まりどのように変容したかを発表した。
「皮膚を覆う、皮膚を裂く―タヒチのイレズミと皮膚」 2018年 9月 日文研共同研究会、国際日本文化研究センター 安井眞奈美とローレンス・マルソー代表による日文研国際共同研究会「身体のイメージの想像と展開-医療・美術・民間信仰の狭間で」において、これまでの発表者の伝統タヒチ社会のポリネシア人の身体性、とりわけ皮膚について紹介し、加えて本研究会での研究計画について発表した。
"Hope and anxiety: the fish farm project in Hao after the CEP." 2018年12月 European Society for Oceanists 2018 Conference, University of Cambridge The presentation focused on the fish farm project in progress in Hao, invested from Chinese private company in cooperation of French Polynesian government. The advantage of the project seems to promise the creation of employment. After the decline of black pearl farming in the 20th century, the main industries of Hao have been only copra and fishing which do not provide people enough income to keep the same quality of life as in the CEP period. However, people worry about pollution in lagoon where they fish for their everyday food and obstruction of the farm on their trip to the islets for copra. Thus, this presentation examined frontier dynamics raised in external exploitation of marine resources and rehabitalization of the environment and livelihoods, focusing on the fish farm project in Hao after the CEP.
「仏領ポリネシア核実験の元前進基地ハオにみる当事者性」 2019年 1月 放射線影響をめぐる「当事者性」に関する学際的研究、国立民族学博物館 仏領ポリネシアで最後の核実験が実施された1996年から20年以上経ったいま、前進基地であったハオでは、核実験から受けた影響がタヒチでの捉え方とは異なるのみならず、CEP経済を享受した世代とその子供たちである世代との間でも認識に違いがみられる。核実験の影響が「被害」という枠内には収まらないところで、本発表は「核実験との関わりの違い」を「当事者性」の概念を通して考察した。
「希望と不安―核実験後のツアモツ諸島ハオ環礁における養魚場プロジェクト―」 2019年 1月 オセアニア学会関東例会 フランスの核実験実施時に前進基地であった仏領ポリネシアのツアモツ諸島ハオ環礁では、現在、中国資本の養魚場プロジェクトが進む。ハオ環礁の住民は、フランス軍駐屯時の経済に代わり、多くの雇用を生む産業になり得ると、養魚場プロジェクトに期待を寄せる。他方で、餌料による海洋汚染を危ぶみ、さらに、養魚場が住民の小島や漁場へのアクセスを阻むことで、生業であるコプラ生産や漁業がこれまで通りには行えなくなるのではないかと危惧する。本発表では、核実験時代を引き合いに出しながらの、ハオ環礁住民の養魚場プロジェクトへの関与と思惑を報告した。
"Uncertainties in Estimating Health and Environmental Risks of Radioactive Contamination in Hao, French Polynesia after Nuclear Tests." 2019年 8月 International Union of Anthropological and Ethnological Sciences, Adam Mickiewicz University in Poznan. France established the CEP in French Polynesia in 1962 and conducted 193 atmospheric and underground nuclear tests in Moruroa and Fangataufa atolls from 1966 to 1996. During the nuclear testing, Hao, an atoll of the Tuamotu 450 km away from Moruroa and Fangataufa, was used as an advanced base for the nuclear tests. This paper considers how people in Hao deal with uncertainties in estimating health and environmental risks of radioactive contamination and industrial wastes, by examining their narratives and economic and political situations.
「イレズミにみられるマルケサス様式の継承と変化」 2020年 6月 科研新学術領域『出ユーラシアの総合的人類史学』A02班第1回webセミナー ポリネシアのマルケサス諸島にはイレズミ文化がある。先行研究ではイレズミと社会階層や信仰との関連を論じられてきた。ポリネシアの人びとはイレズミの実践を通して、成人男性、成人女性として社会に組み込まれ、自らの階層で役割を担うことをイレズミでもって可視化させていた。しかし、先行研究が論じるイレズミは彫る行為が社会にもたらす効果を説明するが、イレズミの形式起源や文様が生じさせる効果については論じてこなかった。ポリネシアのイレズミ文化拡散を考察するのなら、イレズミの実践・行為のみならず、その形状をも分析する必要がある。本稿はマルケサスの社会・文化制度がイレズミに反映したかを、その実践より形状に焦点を当てて考察する。
「仏領ポリネシアとマーシャル諸島の核実験後の地域再建についての研究視座ー身体実践と文献調査の可能性」 2020年10月 科研基盤B「仏領ポリネシアとマーシャル諸島の核実験後の地域再建」第1回研究会、オンライン開催 仏領ポリネシアとマーシャル諸島の核実験による実験施設近隣の環礁及び軍事基地設置の環礁への影響について、住民の2つの身体実践に焦点を当てての本共同研究の研究方法について検討した。本研究での身体実践とは、住民が、環礁社会の血縁・地縁関係の政治、仏領ポリネシアとフランス/マーシャル諸島と米国間の政治、核保有/非核をめぐるグローバルな政治が絡み合う現状を生きぬくために、自らの身体に基づいて採用する方法を指すことと定め、調査研究予定であった。しかしコロナ禍で現地調査が困難な中、文献調査による研究の遂行を検討した。
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報告書

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
「太平洋島嶼国における芸術とアイデンティティ-太平洋芸術祭を焦点として-」 共著 2001年 2月 平成11~12年度科学研究費補助金基盤研究(B)(2)研究成果報告書 「フレンチポリネシア代表団についての考察」(pp.113-130)を執筆。本報告書は、2000年にニューカレドニア、ヌーメアにおいて開催された太平洋芸術祭の調査をもとに、フレンチポリネシアの代表団の構成、ダンス・パーフォーマンス、アート&クラフトのスタンドの様子などを報告したもの。
『海洋文化に関する事業報告』 共著 2009年 3月 (財)海洋博覧会記念公園管理財団 「フランス領ポリネシアの文化復興」(pp. 49-56)を執筆。2008年8月にフランス領ポリネシアで実施した海洋文化館展示資料「タヒチの儀礼用ダブル・カヌー」についての調査結果を踏まえ、カヌー文化の背景となる、フランス領ポリネシアの文化の復興と構築について、タタウとダンスの例を挙げながら考察する。文化復興運動におけるエスニック・アイデンティティの構築には政治的に2つの側面があることを分析する。
『海洋文化館資料素材調査とデータベース化の検討』 共著 2011年 2月 財)海洋博覧会記念公園管理財団 「ハワイの身体装飾とビショップ博物館の装身具展示」(pp. 114-124)を担当。本報告書では、西欧との接触当時のハワイの装飾、主に衣服、カカウ、レイの種類、製作法(施行法)、材料や道具、社会的な意味を紹介し、次に、オアフ島にあるビショップ博物館の装飾品の展示を検証し、近年にみられるハワイの文化変容のなかでビショップ博物館が求められている役割を考察した。2010年2月にハワイで実施した海洋文化館の資料調査の報告書。
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その他

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
「入れ墨はポリネシア人の誇り」 単著 2004年 3月 国立民族学博物館、新着資料展示ポリネシア文化の誕生と成熟リーフレット 国立民族学博物館にて開催された新着資料展示「ポリネシア文化の誕生と成熟」における、タヒチのタタウ(イレズミ)についての展示を説明したもの。
「タタウの交換とその研究のあり方について」 単著 2004年 7月 日本オセアニア学会 NEWSLETTER 著者のこれまでのタトゥー研究、および、ロンドン大学を拠点に2002年から2004年に行われたポリネシアのタタウ/タトゥーの共同研究プロジェクトにおいて、彫師、タトゥー愛好家、人類学者、ジャーナリストなどの間に構築された関係・ネットワークを紹介し、今後のタトゥーに関する知識構築において、いかに異なる意図を持つもの同士が協力できるかについて考察した。
「フランス領ポリネシアのマフとラエラエ―タヒチ島とボラボラ島のケース―」 単著 2008年11月 『日本=性研究会議会報』第20巻第1号 本稿は、はじめに、18、19世紀の初期西欧人との接触期に探検家や宣教師によって記された記録を検証し、マフの社会的役割や位置づけについて考察する。次に、ラエラエという呼び名が使われるようになった背景を検証し、現在、マフとラエラエが家族、あるいは、社会の中で、どのような人間関係を築きながら生きているのかをタヒチ島とボラボラ島のケースを比較しながら考察する。pp. 2-11.
「海洋文化館特集2:海洋文化館ゾーン3リニューアルについて」 共著 2014年 3月 日本オセアニア学会 NEWSLETTER 執筆分担箇所は「4.海洋文化館の装いの展示」(pp. 12-15)。著者が担当した海洋文化館ゾーン3「装い」コーナーの説明。この展示は、身体に施される装飾について、その社会・文化的意味とメラネシア、ミクロネシア、ポリネシアの地域ごとにみられる特徴を提示し、さらに1970年代に収集された資料とリニューアルのために新規に収集した資料を組み合わせることで装いの歴史的な変化を紹介する。本稿は、著者の新規資料収集時のエピソードを織り交ぜながら、「展示」コーナーのコンセプトと概要を紹介する。
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雑誌

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
「タヒチの伝統タトゥーと今」 単著 2005年11月 『Tattoo Burst』Vol. 28, 2005年11月号 タヒチのタタウの歴史の概略と現代におけるタタウ/タトゥーのスタイルと社会・文化的意味をタトゥー専門誌の読者向けに紹介したもの。
「タトゥーネシア:モーレア島のタトゥー・コンベンション」 単著 2006年 5月 『Tattoo Burst』Vol.31, 2006年5月号 著者が2005年11月に調査した、フランス領ポリネシアのモーレア島で開催された初のタトゥー・コンベンション「タトゥーネシア」の報告。タタウ/タトゥーのグローバル化をタトゥー専門誌読者に説明する。
「どっこい生き残ったタトゥー文化:外圧、150年の断絶を経て」 単著 2006年 7月 『オセアニア』日本オセアニア交流協会No.75、2006年 第5回日本オセアニア学会賞を受けて、受賞作品のもととなった調査・研究の紹介と著者とタタウ/タトゥー文化の関係を記したもの。pp.4-7.
「『南の島の楽園』タヒチ―タタウを育む島と人々」 単著 2007年 9月 『Tattoo Burst』Vol. 40, 2007年11月号 タタウ文化を育んだタヒチという島がどのような場所であるのか、そこで暮らす人々はどのような人々であるかをタトゥー専門誌の読者に紹介。
「タヒチのタタウ」 単著 2007年 9月 『月刊みんぱく』9月号 2005年にモーレア島、2006年にタヒチ島で開催されたタトゥー・コンベンションを紹介しながら、タヒチのタタウがいかにグローバルなタトゥーの世界に位置づけられているか、また、いかにタヒチの彫師たちが欧米、日本、他のポリネシアのタトゥー・刺青・タタウの技術と模様に関心を持っているかを説明した。pp.6-7.
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辞典

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
「身体加工」 単著 2009年 1月 『文化人類学辞典』丸善出版 現代世界の動向を文化人類学が研究する上で重要とされるコンセプトとその思考方法を理解するための辞典の一項目。世界各地で行われてきた身体加工の種類とその目的、及び、現在、欧米や日本でみられる身体改造について解説する。pp. 76-77.
“Tahitian Tattoos” 単著 2010年 6月 Encyclopedia of Fashion and Dress. Oxford:Berg. 世界のファッションについて最新の学術研究の成果を踏まえて解説する、全10巻の百科辞典のうち、オセアニアの巻の一項目を著者は担当。身体を装飾する技法の一つとして、衣服と並べて考察する。pp.424-429.
「身体加工」 単著 2014年 7月 『世界民族百科事典』丸善出版 人類を民族という範疇や集団に区分し、それぞれの文化的特徴を抽出する行為そのものに批判が向けられるなか、民族の分類と記述に固執するのではなく、むしろ民族というカテゴリーを実際に用いつつ生活している人々の視点に立ち、民族という表象が顕在化する場を描く辞典。先住民運動や民族主義的な運動との関係で施される身体加工についての項目(pp.698-699)を担当。
「タプ」、「マナ」、「タトゥー」 共著 2016年 8月 『世界神話伝説大辞典』勉誠出版 篠田知和基・丸山顯徳編の世界各地の神話をまとめた辞典。オセアニアのコスモロジーでは重要なコンセプトであるマナとタプ、および特徴的な身体加工であるタトゥーにまつわる神話の項目を担当(pp. 335-336)。
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映像評

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
「北村皆雄監督・山本芳美監修『南島残照 台湾原住民族のイレズミ』」 単著 2015年11月 台湾原住民研究第19号 日本と他のアジア諸国の祭り、宗教、民俗を記録する映像人類学シリーズの第18巻にあたる、山本芳美監修、北村皆雄監督『南島残照 台湾原住民族のイレズミ』(ヴィジュアルフォークロア、2014年)の映像評。本映像作品が描く台湾原住民族のパイワン族、ルカイ族、タイヤル族、サイシャット族の人々の歴史と民俗、特にイレズミ文化を、評者が専門とするオセアニアの先住民のイレズミの近年の動向と比較し、消滅したり変容したりするイレズミ文化を映像化することの意義を記した。pp. 221-225.
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ポスター発表

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
「文化人類学身体加工研究からの義肢装具への考察」 単著 2019年 9月 障害学会第16回京都大会 本発表では、身体改造とアートの領域で製作され装着される義肢装具を取り上げ、新たな身体の捉え方を文化人類学の身体加工研究から提示する。義肢装具が装着者の身体に与える作用に着目することによって、部位の欠損した身体を「補完」の必要な身体とする見方からの脱却を試みる。まずは、文化人類学が研究対象としてきた非西洋社会の身体加工を紹介し、欧米においての「社会の身体」、および、「身体の完全性」の捉え方を問い質す。次に、モノの人類学を援用し、義肢装具が装着者、さらには社会に発動するエージェンシーに着目し、そのエージェンシーによって、「社会の身体」と「個人の身体」、さらには、「健常な身体」と「障害の身体」を分かつ境界にゆらぎが生じることを提示する。
「東ポリネシアの神像と社会制度」 単著 2020年 1月 南山大学、科研新学術領域「出ユーラシアの総合的人類史学」第2回全体会議 本発表は東ポリネシアのソサエティ諸島とマルケサス諸島の神像の形状と社会制度の関係を考察する。ソサエティ諸島タヒチ島の神像にはティイ(ti’i)とトッオ(to’o)の2種類がある。ティイは目鼻立ちがはっきりしている一方で、トッオは形状の乏しい木片であり、通常は縄に巻かれて祭場マラエに保管されていた。トッオはパイアトゥア(pai’atua)と呼ばれる儀礼の中で用いられ、その形状の欠如もコスモロジーに沿った味を持つ。マルケサス諸島のティキ(tiki)は全身や顔の形状が明確に描かれているだけではなく、身体部位は文様としてイレズミや樹皮布に施される。本発表は、コスモロジーを広範囲にわたって共有する2つの諸島において、神像の形状および装飾文様としての使い方の相違が、信仰のみならず、政治、経済の相違にも関連するかを検証する。
「イレズミの様式と社会の関係ーマルケサス諸島の事例から」 単著 2021年 1月 科研新学術領域「出ユーラシアの総合的人類史学」第4回全体会議(オンライン開催) 本研究はAlfred Gellによる2つのマルケサスのイレズミ研究を再検討することで、イレズミの様式の形成と変化における政治制度と信仰体系の影響を問い直す。Wrapping in Images(Gell 1993)において、ジェルはイレズミと社会制度の相関性をポリネシアの島々の間で比較分析するが、各々の島のイレズミが特有の様式をもつ理由や島々の様式の相関関係については十分に論じていない。Art and Agency(Gell 1998)においては、マルケサス様式が文様の形態的変容からなることを示すが、政治制度や信仰体系に関連づけてのポリネシアのイレズミの通文化的な分析は射程に入れていない。本発表では、発表者の現地調査によって収集した現代マルケサスのイレズミの特徴を20世紀初頭の資料に照らすことで様式を変化させる要因を抽出し、今後のマルケサスの様式の形成と変化についての研究展望を示す。
「義肢装具が拓く新たな身体性ー文化人類学の身体加工研究からの考察」 単著 2021年 2月 学術変革領域研究A「生涯学の創出」第1回領域会議(オンライン開催) 協力者として参加するC02ヒトモノ班からの発表。以前に障害学会で発表した内容を改変し、義肢装具が装着者の身体に与える作用に着目することによって、部位の欠損した身体を「補完」の必要な身体とする見方からの脱却を試みる。まずは、文化人類学が研究対象としてきた非西洋社会の身体加工を紹介し、欧米においての「社会の身体」、および、「身体の完全性」の捉え方を問い質す。次に、モノの人類学を援用し、義肢装具が装着者、さらには社会に発動するエージェンシーに着目し、そのエージェンシーによって、「社会の身体」と「個人の身体」、さらには、「健常な身体」と「障害の身体」を分かつ境界にゆらぎが生じることを提示する。
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