金城学院大学 学術研究データベース
HOME > 検索結果

検索結果

フリガナハラダ タクヤ
ローマ字HARADA Takuya
氏名原田 琢也
学位博士(人間科学) 修士(学校教育学) 学校経営ディプロマ 
所属人間科学部 / 現代子ども教育学科
職名教授
所属学会日本教育社会学会 日本教育学会 日本解放社会学会 日本法政学会 日本障害学会 日本特別ニーズ教育学会 
専門分野教育学 社会学   
研究課題学力と社会背景に関する研究 インクルーシブ教育に関する研究 人権教育に関する研究 

学会及び社会における活動等

開始年月 活動内容 終了年月
2013年 4月 京都市立久世中学校学校運営協議会理事 現在に至る
2014年 4月 大阪市立東住吉特別支援学校「共生社会に向けたインクルーシブ教育システム推進事業」アドバイザー 2015年 3月迄
2015年 5月 大阪市立矢田小学校・矢田南中学校学校協議会委員 現在に至る
2015年 7月 京都式「効果のある学校」推進事業アドバイザー 2019年 3月迄
2018年 4月 福岡県教育委員会,人権教育を基盤にした効果のある学校づくり研究指定校事業,研究協力者 現在に至る
2019年 4月 「未来を拓く学校づくり」推進事業,アドバイザー 現在に至る
Top of page

受賞歴

受賞年月 受賞名
2005年11月 京都市教育実践功績者表彰
2010年10月 京都市教育実践功績者表彰
Top of page

著書

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
校内暴力 共著 1997年 5月 批評社 80年代全国の中学校をに押し寄せた校内暴力を沈静化する過程で,学校現場で用いられていた指導戦略の変遷を記述し,「指導」のメカニズムを明らかにした。「指導」は体罰や警察力の導入など「目に見える」力から,厳しい校則に象徴されるいわゆる管理主義教育のように,「目に見えない」力に依存するものへと変遷していった。総頁数301頁。著者は,柿沼昌芳,永野恒雄,金子文男,吉田順,原田琢也。担当部分は,第3部,第7章「80年代の校内暴力の『終息過程』」(175-221頁)。
学校という〈病い〉 共著 1997年11月 批評社 観察とインタビュー・データに基づき,学校現場の日常世界を描写し,学校文化が形成されるメカニズムを明らかにした。当時,管理主義教育批判が強まる中,よく教師の人権意識が問題にされたが,管理主義的な学校の現実は,背後に社会の圧力,前面に生徒の抵抗という二つの力の板挟みの中で,効率よく職務を遂行するための一種の「生き残り戦略」として生み出されていることを明らかにした。総頁数243頁。著者は,柿沼昌芳,永野恒雄,原田琢也,吉田卓司,平松享,水口仁平,中山修三。担当部分は,第1部,第2章「なぜ学校は異質な空間なのか」(40-88頁)。
沈黙する教師 共著 2000年10月 批評社 第4章「『指導力不足教員』とは何か」(p.60~70)では,マスコミの報道や文部省の調査報告書を検証し,「指導力不足教員」という新たなカテゴリーが生み出され,制度化されていく過程を記述した。第5章「ティーム・ティーチングの中の教師」(p.71~80)では,ティーム・ティーチングが実際にどのように運用されているのかを,教師へのインタビューと筆者自身の経験に基づき記述した。当初の意図が現場の状況の中で変容されながら実践されていく様を描いた。第6章「教育改革の中の教師」(p.81~93))では,教育改革を阻む構造について,デンスクームの「潜在的教授学」と「教育学的教授学」という考え方に依拠して,理論的に解説した。総頁数は,147頁。著者は,柿沼昌芳,原田琢也,松原信嗣,兼子陽子,木村浩則,永野恒雄。担当部分は,第2部,第4~6章(60-93頁)。
教育基本法と教育委員会 共著 2003年 1月 批評社 教育基本法3条の「教育の機会均等」について考察した。被差別の立場にある同和地区生徒A子の生き様を描き,その地点から改めて「教育の機会均等」をめぐる議論を考察することにより,一見対立するように見える「擁護派」と「改革派」双方が,共に社会的カテゴリーを無視したまま議論を展開することにより,社会の差別や不平等の問題を隠蔽していることを指摘した。総頁数は,147頁。著者は,柿沼昌芳,原田琢也,松原信嗣,兼子陽子,木村浩則,永野恒雄。担当部分は,第2部,第4~6章(60-93頁)。
教師稼業心得帳 共著 2005年 4月 批評社 現役教師や元教師ら14人で各自の教員経験から,授業や生活指導,学校行事などのコツを出し合った。またコラムとして,学校で生起する様々な教育問題に関する現場のホンネを述べた。これから教師を目指す若い人々や,今現在現場で悩みながら職務に携わっている若い教員に参考にして欲しいという思いで執筆した。総頁数は,228頁。著者は,教育直後の会。具体的には,柿沼昌芳,原田琢也他,総著者数14名。担当部分は,「総合学習はどこへ行く?そして二期制は」「『LD』『ADHD』とのつきあい方」など計6編。
アイデンティティと学力に関する研究 単著 2007年11月 批評社 本研究では,同和地区内外の学力格差に注目し,学力格差が生み出される要因を明らかにし,学力格差を縮小させるための方途を模索した。学力格差の要因については,不平等な教育構造と下位文化という2つの視点から検討されるべきではあるが,特に本論が注目するのは後者の側である。文化的なギャップが学力格差という現象を生み出すプロセスについては,さらに言語コードに着目する立場や家庭の教育条件に着目する立場など様々な立場に分かれるが,とりわけ本論は子どものアイデンティティのありように注目する。低学力であること,そして被差別の立場にあることが,彼ら/彼女らの自己概念を媒介して学力達成にさらに悪循環をもたらしている。学力格差を縮小させるためには,直接子どもの学力に働きかける方法だけではなく,家庭の教育力を向上させること(文化資本を増強すること),子どもを取り巻く人的ネットワークを拡充すること(社会関係資本を増強すること)など,包括的な学校づくりの戦略が求められることを示唆した。総頁数は,158頁。
格差をこえる学校づくり 共著 2011年 4月 大阪大学出版会 特別支援教育の制度化に伴い,学校の日常世界の医療化が進んでいる。医療化は社会的問題を個人的な問題に転換する作用を持っている。本研究では特別支援教育の対象生徒リストの中に含まれている「同和地区生徒」「一人親家庭生徒」「就学援助受給家庭生徒」の割合に注目し,社会問題の個人化が進行していることを実証的に明らかにした。総頁数は,301頁。著者は,志水宏吉,高田一宏,原田琢也他,総著者数15名。担当部分は,第1部,第4章「特別支援教育に同和教育の視点を―子どもの課題をどう見るか」(83-101頁)。
ディスアビリティ現象の教育学 共著 2014年 3月 現代書館 本書は,イギリスで発行されている研究誌『障害と社会』(Disability & Society)に収録された教育に関する重要論文を翻訳し,それぞれに翻訳者が解説を付したアンソロジーである。関西インクルーシブ研究会という若手研究者の集まりで,共同執筆した。合計11編の論文を紹介しているが,筆者が担当しているのは,2章の「学校システムと特別支援教育―20世紀における原因と影響」(p.40-p.59)と,5章「何がそんなに特別なのか?―分離型学校の実践における教師のモデルとその現実化」(p.122-p.145)である。いずれも,現代の特別支援教育とインクルーシブ教育の動向を考えるにあたって,たいへん示唆に富む。監訳,堀正嗣,翻訳・著者,佐藤貴宣,原田琢也,中村好孝,他5名,総頁数308頁。
新自由主義的な教育改革と学校文化―大阪の改革に関する批判的教育研究 共著 2018年12月 明石書店 大阪府・大阪市では、橋下府政以降、新自由主義的な教育改革が展開されてきた。一方、大阪は、人権教育の拠点として、全て の子どもの「学ぶ権利」の保障をめざし、多様な 教育課題と向き合う教育実践と独自の学校文化 を展開してきた地域でもある。本書は、教育社会学の質的調査の手法をベースに、 学校現場の視点から大阪府・市の新自由主義的 な教育改革の特質を明らかにし、大阪の人権教 育に根ざした学校文化と教育実践への影響を考 察する。新自由主義的な教育改革が公教育にも たらす破壊的影響について警鐘を鳴らしつつ、 そうした改革下における「学校文化のレジリエ ンス(復元力)」について事例をもとに検討した。筆者は,全体の編集と第4章(pp.155-178),第5章(pp.179-203),終章(pp.204-223)の執筆を担当した。総頁数229頁。濱元伸彦・原田琢也共編著,他に前馬優策・中村瑛仁執筆。
Top of page

学術論文

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
学校文化:その差別の構造-服装・頭髪指導という〈葛藤の場〉より 単著 1995年 3月 日本解放社会学会編『解放社会学研究』9 中学校で行われている服装や頭髪指導に焦点を当て,「指導」と呼ばれる教育的行為を客観的に分析した。併せて,学校文化が社会的に厳しい状況におかれている子どもたちを排斥し,結果的に社会の不平等の再生産に寄与している仕組みを明らかにした。兵庫教育大学大学院修士学位論文を要約し,学会誌に投稿したものである。31~63頁。
「同和地区生徒」のアイデンティティに関するエスノグラフィ 単著 1997年10月 日本解放社会学会編『解放社会学研究』11 本研究では,子どもが示す逸脱行動の背後にある社会的要因を明らかにさせることをねらいとした。同和地区生徒A子のアイデンティティ形成過程を描写し,同和地区生徒の置かれている今日的状況を明らかにさせるとともに,アイデンティティを形成すること,さらに「語る」ことの意味を考察した。49~78頁。
「同和校」の〈現実〉は? 単著 1997年11月 こぺる刊行会編,藤田敬一編集責任『こぺる』第52号,阿吽社 同和地区生徒のみを対象とした学力保障の取組が,同和地区生徒と地区外生徒の間を隔てる障壁となっており,差別を助長することになっているという批判に対して,学校の日常世界を描写し,そのような現実があることを認めつつも,逆にその壁を乗り越えることにより深い関係を築いていく子どもたちの実践があることを述べた。学校におけるマイノリティ支援のあり方について一石を投じた。1~13頁。
部落問題と〈共同幻想論〉をめぐって 単著 1998年 8月 こぺる刊会編,藤田敬一編集責任『こぺる』第65号,阿吽社 雑誌『こぺる』では,「部落民」をめぐる議論が展開されてきた。原口氏は「「部落民」は共同幻想」だと言い,それに対して,カミングアウトを重視してきた住田氏は「「部落民」は実体だ」と反論する。両者の議論に対して,学校現場で子どもを支援する立場から,「部落民」が「共同幻想」であるからこそ,カミングアウトすることに意味があるとする解釈を展開した。「部落民」を一旦脱構築しながらも,それを再構築することに意義があることを主張した。1~11頁。
同和地区生徒のアイデンティティ問題 単著 1999年 3月 大阪大学大学院人間科学研究科教育学講座『教育学年報』第4号 同和地区生徒はアイデンティティ問題を抱えており,それが学力や行動の課題の要因の一つになっている。課題解決のためには,アイデンティティ形成を支援することが大切であるが,集団的で固定的なアイデンティティを押しつけては,むしろ彼らを抑圧することになってしまう。彼らのアイデンティティをどのように考え,その形成をどのように支援していくのかについて考察した。33~43頁。
アイデンティティの相対化と実体化の狭間で 単著 1999年10月 こぺる刊行会編,藤田敬一編集責任『こぺる』第79号,阿吽社 穢れ意識と,学校を中心にした文化的再生産の構造とが解きがたく結びつくことにより,今日の部落問題が生成されていることを指摘し,差別が決して観念上の構築物にすぎないわけではなく,課題解決のためには具体的な支援が必要であることを論じた。1~11頁。
学校改革の課題-ある「困難校」における学校改革のエスノグラフィ 単著 2000年 3月 大阪大学大学院人間科学研究科教育学講座『大阪大学教育学年報』第5号 学校文化がどのような過程を経て変化していくのかを,南中学校(仮名)の20年近くにわたる変化を描写することを通して明らかにした。南中学校は幾たびかの「荒れ」を克服しながら今日にいたるが,特にその中で反抗的な子どもの「声」に注目し,それらが学校文化や教師文化に与えたインパクトについて記述した。学校を本当に変えるのは,外から持ち込まれるアイデアや理念ではなく,学校内部の諸力のせめぎ合いであることを示した。217~231頁。
学校改革と教師文化に関するエスノグラフィ 単著 2001年 3月 大阪大学大学院人間科学研究科博士学位論文(大阪大学大学院人間科学研究科『人間科学研究』に抄録掲載) 本研究では,南都中学校(仮名)の約20年間に及ぶ変化を,観察と聞き取りによって描出し,学校を内側から変えるモメントを析出した。第1章では,教師の教育行為と学校の変化に関する理論的考察を行い,本稿の理論的枠組を提示した。第2章では,服装・頭髪指導という場で繰り広げられる教師・生徒間のせめぎあいを描くことを通して,教師文化の生成過程とそれが維持される構造を明らかにした。続く2つの章では,教師文化に変化を促すモメントを取り上げた。第3章では,ある同和地区生徒の異議申し立てにより,南都中学校の同和教育と生徒指導の在り方が大きく変化していく様を描いた。第4章では,英語科のティーム・ティーチングにより教師文化が変化していく様子を描いた。「外」からの,そして「上」からの教育改革が進行していく中にあって,本当に学校を変えていくためには,「内」からの,そして「下」からのモメントが重要な働きを持っていることを明らかにした。235~247頁。
岐路に立つ同和教育-「同和教育から人権教育へ」をめぐって 単著 2002年 8月 こぺる刊行会編,藤田敬一編集責任『こぺる』第113号,阿吽社 同和施策の集結を契機として,「同和教育」を「人権教育」へと読み替えようとする動きが目立っている。人権教育が大切であることは言うまでもないが,「人権」概念が指し示す内容は広範に及び,人権を大切にする取組が,必ずしも不平等や差別を抑制することにはならないことを,具体的な例を交えて指摘した。被差別の立場にある子どもを支援していく上では,社会的視座に依拠した教育計画の立案が不可欠であることを論じた。1~11頁。
「人権」の脱構築 単著 2003年12月 日本人権教育研究学会編『人権教育研究』第3 「人権」という概念を脱構築し,「同和教育から人権教育へ」というスローガンの危うさに警鐘を鳴らした。「人権」という概念は,それが用いられる文脈や社会的背景によって具体的に指し示す意味が変わり,必ずしも反差別を意味する概念であるとは言えないことを示した。17~25頁。
同和地区生徒と地区外生徒の間の学力格差はどうして生み出されるのか-学力問題の背後にあるアイデンティティ問題 単著 2005年 8月 日本人権教育研究学会編『人権教育研究』第5号 ある同和地区在住の少年の3年間の変化描写し,その少年自身が3年間を振り返るインタビュー・データに基づき,その変化を跡づけた。学力や学校における子どもの行動が,社会的に構築されることを,同和地区生徒のハビトゥスや子どものアイデンティティのあり方に着目して論じた。13~25頁。
「学力大合唱」の時代に 単著 2006年 7月 こぺる刊行会編,藤田敬一編集責任『こぺる』第167号,阿吽社 競走と自己責任を中心的な原理とする新自由主義的な教育改革が進行する中,学校の現実を描くことを通して,その問題点を指摘するとともに,競争によらない学校改革の方法を提起した。7~11頁。
特別支援教育は「排除」か「包摂」か? 単著 2008年 8月 日本人権教育研究学会編『人権教育研究』第8号 特別支援教育の言説を分析し,「発達障害」という新たなカテゴリーが社会的に構築されていく過程を記述した。LDやADHD,高機能自閉症を持つとされる子どもを支援していく上では,障害が社会的構築物であるという認識に立った教育計画が立案される必要があることを指摘した。8~11頁。
特別支援教育について考える 単著 2008年10月 こぺる刊行会編,藤田敬一編集責任『こぺる』第187号,阿吽社 ある特別支援教育の研修会における講師の発言をとりあげ,特別支援教育制度が逆に「障害」を持つ子どもを抑圧することになりうると同時に,環境的要因から課題を顕現化させている子どもをも抑圧してしまうことになりうることを指摘した。7~11頁。
子どもの貧困と「特別扱いしない」日本の共同体的な学校文化 単著 2014年 3月 『金城学院大学論集 社会科学編』第10巻第2号 子どもの貧困が社会問題化される中,学校が貧困状況にある子どもをどのように処遇していくかは,重要な問題である。先行研究は,「特別扱いしない」日本の学校文化を問題にする。しかし,本研究においては,次の4つの視点から検討を加えることを通して,必ずしも「特別扱い」をすることが,貧困対策においては有効ではないことを論証する。その4つの視点とは,①教育現場における実践場面から,②ニューカマー問題との比較を通して見えてくる貧困問題の特性から,③日本の学校文化の歴史的経緯から,④特別支援教育とイギリスの「特別なニーズ教育」の比較から,である。94~109頁。
道徳教育実践の中に入り込む新自由主義イデオロギーを析出する実証的研究―大江浩光の道徳教育実践「未来を信じて」の分析を通して― 単著 2015年 5月 日本人権教育研究学会編『人権教育研究』第15号 本研究では,道徳教育実践の中に入り込む新自由主義的イデオロギーの徴候を析出し,「道徳の教科化」をはじめとする一連の道徳教育強化政策が,実践者の意図にかかわらず,慣習的行為(プラチック)を通して,新自由主義的イデオロギーを強化することに陥る恐れがあることを指摘する。本研究ではその目的を達成するために,大江浩光氏の道徳教育実践「未来を信じて」を批判的に考察することを通して,指導の流れの中に新自由主義的な方向性が巧妙に入り込んでいることを指摘する。そして,その考察を踏まえて,道徳教育実践が今後どのような方向へ向かうべきかを提案する。1~15頁。
日本のインクルーシブ教育はインクルーシブ(包摂的)か? 単著 2016年 2月 日本法政学会編『法政論叢』第52巻第1号 2012年中央教育審議会初等中等教育分科会・特別支援教育のあり方に関する特別委員会は,「共生社会に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」を出した。本研究では,この報告の論理と,世界的なインクルーシブ教育の先駆けとなった1994年のサラマンカ宣言の論理を比較した。対象を障害者に限定するか否かをめぐる「第一のテーゼ」と,統合主義か分離主義化をめぐる「第二のテーゼ」の二軸で論理を比較したところ,日本型のインクルーシブ教育の論理は,障害者権利条約の意味を矮小化して解釈し,それをサラマンカ宣言の論理との間に媒介させることにより,巧妙に帳尻を合わしていることが明らかになった。73-86頁。
ロンドン・ニューアム区の学校のインクルーシブ教育実践 共著 2016年 9月 『金城学院大学論集 社会科学編』第13巻第1号 科学研究費受託研究「グレーゾーンの子どもたちをの処遇をめぐる社会学的研究―日英の比較を通して」(平成27年~29年日本学術振興会科研費,課題番号15K04381,代表原田琢也)を受けて行ったロンドン西部のNewham区の小学校2校,中等学校4校のフィールド調査の第一次的な報告である。Newham区は移民が多数を占め,経済的にも厳しい層が集住する地域であるが,学校は総じて学力の下支えに成功し,インクルーシブ教育に成果を発揮してきた。その特徴は以下の5点にまとめられた。①差異的処遇(differenciation)の徹底。②高い専門性を持ったスタッフの協働。③インクルーシブ教育がSENの子どもたちへの特別な処遇としてのみあるのではなく,日常の授業や生活全体の基礎に位置づけられて把握されていること。④集団での指導が重視されていること。⑤Ofstedなどの外部評価の規準の中にインクルージョンが高く位置づけられていること。1-20頁。著者は,原田琢也,高橋眞琴,濱元伸彦,中村好孝。
道徳教育の中に併存している相反する二つの指向性―「インクルーシブ道徳教育」と「新自由主義道徳教育」 共著 2017年 6月 日本人権教育研究学会編『人権教育研究』第17巻 道徳教育が「特別の教科」として教科化される。道徳教育の目的や内容は学習指導要領で規定されており,その指向性も自ずと決定づけられる,と一般的には考えられている。しかし,筆者らは,道徳教育実践の中には,相反する二つのイデオロギーが,「隠れたカリキュラム」という形で,当の実践者にとっても無自覚なままに入り込む余地が多分に残されていると考えている。そして,その相反するイデオロギーとは,共生を重視する「インクルーシブ道徳教育」と競争を重視する「新自由主義道徳教育」である。本研究では,先行研究の整理を通して,それぞれのエッセンスを抽出し,それを分析枠組みとして,一つの指導資料をめぐる二つの指導案を分析する。同一の指導資料によっても,全く相反する指向性を持つ道徳教育実践がなされている現実が浮き彫りにされる。pp.115-128。著者は原田琢也,濱元伸彦。
ロンドン・ニューアム区の学校のインクルーシブ教育実践(Ⅱ)―個のニーズへの対応と集団への包摂の両立を目指して 共著 2017年 9月 『金城学院大学論集 社会科学編』第14巻第1号 本研究は,2017年3月に実施した,ロンドン・ニューアム区の調査の報告である。この調査では,第1次調査で残された課題を解決するとともに,第1次調査で見いだされた,ニューアム区のインクルーシブ教育の特徴をさらに深く調査することが目的とされた。前回に引き続き,Carpenters Primary SchoolとEastlea Community Schoolに加え,新たに区内で2校しかない特別学校の一つであるElenor Smith SchoolとOfsted調査でoutstandingの高い評価を得ているBritannia Villege Primary Shoolをフィールドとして指定した。調査の結果,徹底的ニーズに即応した差異的処遇が行われる反面,集団を通して個と個をつなぎとめ,レジリエンスを高めるニューアム区のインクルーシブ教育の特徴が明らかになった。代表である原田は,総頁数19頁中,約10頁の執筆と全体の編集作業を担当した。pp.1-23。著者は,原田琢也,濱元伸彦。
インクルーシブ教育の到達点―関西圏の実践から 共著 2018年 3月 『金城学院論集 社会科学編』第14巻第2号 本研究では,関西圏の6つの学校でフィールド調査を行い,2012年の中教審のインクルーシブ教育報告から5年が経過した今日におけるインクルーシブ教育の実相を明らかにすることを目的とした。調査からは,以下の点が明らかにされた。第一に,学校現場では眼前の課題に対処しなくてはならないことから,「分離主義」「二元論」といった日本の特別支援教育の制度的課題を超克する先行的な実践が取り組まれていた。第二に,「原学級保障」が採用されている4つの学校では,集団と個をめぐる葛藤が顕在化していたが,同時にそれが学校改革の原動力ともなり得ることが示された。第三に,教師の負担を緩和するための方途として,教員や支援員の増員の必要性とともに,協働のシステムを構築していくことの必要性も示唆された。p.1-24。共同執筆者は,原田琢也・中村好き孝・高橋眞琴・佐藤貴宣・堀家由妃代。
日本のインクルーシブ教育の課題と大空小学校の挑戦―子どもを『くくり』で見ない思想とそれを支える協働的なシステム― 単著 2018年 3月 日本解放社会学会編『解放社会学研究』第31巻 本研究では,前半で,日本のインクルーシブ教育システムが,障害の有無で対象を絞り込む「二元論」,ニーズに応じて多様な学びの場に配置指標とする「分離主義」を基底のパラダイムとしていることから生み出される問題点を指摘した。そして,後半において,その日本のシステム内において,「障害」という「くくり」(カテゴリー)を廃し,特別支援学級在籍児童も含めすべての子どもが通常学級で共に学ぶ実践を展開している大阪市立大空小学校の実践を報告した。約40回に及ぶフィールド調査で見いだされたのは,差異から生じるジレンマを担任だけではなく,子ども・大人を問わずすべての人々で受け止めるための独特の思想とシステムであった。pp.56-81。
米国ハワイ州におけるインクルーシブ教育に関する研究 共著 2018年 3月 『佛教大学教育学部紀要』第17巻 本研究は,米国ハワイ州におけるインクルーシブ教育の実相を,学校におけるフィールド調査によって,明らかにしようとするものである。ハワイの障害児教育は,リハビリテーション法に基づくIDEAと公民権法による504プランの二つの制度的枠組で構成されており,できる限り通常教育の中で展開されるように工夫されていた。さらに,MTSS(多段階支援システム)を用いたRTI(インターベンションへの反応)により,診断過多に陥ることが抑制されていた。また,障害児だけではなく,先住民や移民,ホームレスの子どもなど,社会・経済的に不利な状況にある子どもを支援する枠組も整えられていた。日本が今後インクルーシブ教育を進展させていく上で,ヒントになることが多く見出された。著者は,堀家由妃代・原田琢也・林美輝。pp.89-104。
インクルーシブ教育に関する日英比較研究―「特別な教育的ニーズ」概念の違いに注目して 単著 2018年 8月 日本法政学会編『法政論叢』第54巻第2号 本研究では日本とイギリスのインクルーシブ教育システムを比較する。その際,特に,「特別なニーズ」に着目する。日本における「特別な教育的ニーズ」は,制度上,生物学的な意味における「障害」から招来されるニーズを指す概念であるが,イギリスにおけるそれは,社会経済文化的背景から招来されるニーズも含めた包括的な概念である。日本は一見したところイギリスの特別なニーズ教育とよく似たシステムの構築を目指しているようにうかがえるが,「特別なニーズ」概念の違いから,その指向性は大きく異なっていると言える。pp.159-178。
オーストラリア・クイーンズランド州のインクルーシブ教育制度と実践 共著 2018年 9月 『金城学院論集』社会科学編第15巻第1号 本研究の目的は,オーストラリアのクイーンズランド州のインクルーシブ教育の制度と実践を明らかにすることにある。筆者らは,ケアンズにあるA州立中等学校でフィールド調査を行った。この地域のインクルーシブ教育は,①障害生徒,②先住民生徒,③移民生徒,④難民生徒を対象とした多元的な制度としてあることに特徴がある。日本やイギリスのインクルーシブ教育システムと対比する。著者は,原田琢也・濱元伸彦・竹内慶至。pp.1-20。
小学校教員養成課程における視覚障害学生の支援に関する考察―教師の行く手を阻む学校文化の障壁に挑む小学校体育科モデル 共著 2019年 3月 『金城学院大学人文・社会科学研究所報』第24号 2018年度の本研究所の共同研究プロジェクト(代表:大金朱音)を受託して行っている研究の中間報告的な位置づけの論文である。視覚障害教師らへの聞き取りをもとに彼ら・彼女らが直面している障壁を明らかにし、それらの障壁を打破するための小学校体育科のティーム・ティーチングの授業モデルを提案した。授業モデル構築にあたっては本学科で教職を目指している視覚障害学生の協力を得た。pp.25-36.
日本型インクルーシブ教育への挑戦―大阪の「原学級保障」と特別支援教育の間で生じる葛藤とその超克 共著 2020年 3月 『金城学院大学論集』社会科学編第16巻第2号 本研究では、大阪の「原学級保障」と呼ばれる、障害のある子どもとない子どもが通常学級で共に学ぶ実践に取り組んでいる5つの小中学校におけるフィールド調査の結果を報告している。5校には、集団づくりを大切にしているという点で共通点も見られたが、個別の支援としての「取り出し」を行うか否かという点において、大きな違いも見られた。原学級保障に取り組む学校の多様化は、インクルーシブ教育へ向かう「旅」の過程であると肯定的に見ることもできるが、人権教育の形骸化となる危険もある。インクルーシブ教育へ向かえるかどうかのカギは、どんな形式をとろうとも、集団づくりの理念が根づいえいるか否かにかかっていることを主張した。執筆者は、原田琢也、濱元伸彦、堀家由妃代、竹内慶至、新谷龍太朗。pp.1-25。
Top of page

学会発表

題目/演目名等 発表年月 発表学会名等 概要
学校文化-その差別の構造 1995年 3月 日本解放社会学会第11回大会(椙山女学園大学) 共同研究者は,杉尾宏(兵庫教育大学)。中学校で行われている服装や頭髪指導に焦点を当て,「指導」と呼ばれる教育行為を客観的に分析し,子どもの逸脱行動の意味と原理について述べた。併せて,学校文化が無意図的に社会の不平等を再生産している仕組みを明らかにした。
「同和」教育の今-ある中学校の実践から 1996年 3月 日本解放社会学会第12回大会(天理大学) 同和地区に在住する子どもからの聞き取りをもとに,同和地区の子どもが直面している今日的課題を明らかにし,今後の同和教育,とりわけ生徒指導や進路保障のありかたについて考察した。
学校文化のダイナミクス 1996年10月 日本教育社会学会第48会大会(九州大学) 学校文化と反学校文化の葛藤をインタビュー・データをもとに描き,子どもの逸脱行動が生み出されるメカニズムとその意味について論じた。同和教育と生徒指導のあり方について考察した。
「同和地区生徒」のアイデンティティ形成に関するエスノグラフィ 1997年 3月 日本解放社会学会第13回大会(富山大学) 同和地区に在住するA子のアイデンティティ形成過程を描写し,同和地区の子どもが置かれている今日的状況を明らかにさせるとともに,アイデンティティを構築することの意味を考察した。
同和地区生徒のアイデンティティ問題 1998年10月 日本教育社会学会第50回大会(大阪大学) 旧来の反差別戦略としてのアイデンティティ・ポリティクスが,固定的なアイデンティティ観を押しつけるものとして批判される中,自らのアイデンティティ問題で葛藤を抱える被差別の立場にある子どもに対して,アイデンティティをどのように考え,どのように支援していくべきかについて考察した。
同和地区生徒のアイデンティティをどう考えるか 1999年 3月 日本解放社会学会第15回大会(関西大学) アイデンティティ問題に揺れる子どもを前にして,今被差別の立場にある子どもたちのアイデンティティをどのようにとらえるべきかを考えた。
教育改革を阻む構造-学校文化の視点から 1999年10月 日本教育社会学会第51会大会(東京大学) 英語科におけるティーム・ティーチングが実際にどのように実践されているかについて聞き取り調査を行い,教育政策が学校現場の教育過程を通してどのように変化していくのか,その仕組みを解明した。
「指導力不足教員」という虚構-教育改革に今求められるものは 2000年 3月 日本解放社会学会第16回大会(専修大学) マスコミの報道や文部省の調査報告書を検証し,「指導力不足教員」という新たなカテゴリーが構築される過程を記述した。
岐路に立つ同和教育 2002年10月 日本教育社会学会第54会大会(広島大学) 「人権」を大切にする取組が,必ずしも不平等や差別を抑制することになるとは限らない事実を確認し,「同和教育から人権教育へ」というスローガンの危うさを指摘した。
「同和教育から人権教育へ」をめぐって 2003年 1月 日本人権教育研究学会第3回大会(兵庫教育大学) ある研究集会での議論を分析することを通して,「人権」という語が全く対称的な主張の中で用いられていることを指摘し,「人権」という概念の曖昧さを浮き彫りにした。
同和地区生徒と地区外生徒の間の学力格差はどうして生み出されるのか 2005年 1月 日本人権教育研究学会第5回大会(兵庫教育大学) 子どもの逸脱行動と学力格差が生み出されるメカニズムについて,同和地区に住むある少年を例にとり,論究した。特に,彼のアイデンティティのあり方に注目し,それが行動や学力にどのような影響をもたらしたのかを解明した。
部落の子どもたちの学力達成とアイデンティティ 2005年 3月 日本解放社会学会第21回大会(立命館大学,草津キャンパス) 同和地区内外の学力格差が生み出される原因について考察した。考えられる要因は多岐にわたり,複合的であるが,どの要因もが子どもの自己概念を通り行動をアウトプットしていることを論じた。
特別支援教育は「排除」か「包摂」か? 2008年 8月 日本人権教育研究学会第9会大会(兵庫教育大学) 大会シンポジウム「いのちと人権」のパネリストとして発表した。特別支援教育の言説を分析し,差別や不平等といた社会的問題が,「発達障害」という個人的な「病理」にすり替えられていく過程を話した。
医療化する学校―特別支援教育対象生徒の社会的属性 2009年 8月 日本人権教育研究学会第10会大会(神戸市教育会館) 社会・環境要因から課題を顕現化させている子どもが,特別支援教育の対象に組み込まれている現状を明らかにした。調査の結果,同和地区生徒,一人親家庭生徒,就学援助受給生徒が,特別支援教育の対象に組み込まれている率が非常に高いことが判明した。ただ,インタビュー調査から見えてきたことは,現場の教師は決して彼らに対して医療的なまなざしを差し向けているわけではないことであった。
特別支援教育のジレンマ―医療化の中の学校 2009年10月 日本教育社会学会第61回大会(早稲田大学) テーマ部会「学校臨床社会学」部会での発表である。社会・環境要因から課題を頻出させている子どもが,特別支援教育の対象とされる率は確かに高いが,現場の教師が必ずしも彼らに対して医療的まなざしを差し向けているわけではないという事実より,医療化の浸透具合は制度レベルと実践レベルとに分けて捉える必要があり,日本の学校文化の特質が医療化の学校現場の浸透を抑制しているのではないかという仮説を述べた。
「通常学校」における特別支援教育のエスノグラフィー 2010年 9月 日本教育社会学会第62回大会(関西大学) 南中学校における特別支援教育実践をエスノグラフィーとして記述し,医療化の流入に現場がどのように対処しているのかを明らかにした。2007年の特別支援教育の本格実施に伴い,理念レベルでは,医療化は学校現場に浸透しつつあるが,日本の共同体的学校文化の壁に阻まれ,個々の教師の実践にまでは到達し得ていないように見える。ただ,これは過渡的な状況に過ぎず,今後は教師の実践レベルにまで浸透してくるこも危惧される。医療化は社会問題を脱政治化し,不可視化する。今後,日本がインクルーシブ教育に向かっていく上では,実践者が医療化の問題性を意識すること,そして,障害の有無ではなくニーズの有無によって支援の対象を選別できる制度設計が望まれることを示唆した。
道徳教育と人権教育 2013年 8月 日本人権教育研究学会第14回大会(兵庫教育大学神戸ハーバーランドキャンパス) 本発表は第14回大会シンポジウム「人権教育をどう進めるか―今までとこれから」のパネラーの一人として行ったものである。本報告では,道徳教育と人権教育の「ねらい」「歴史的経緯」「実践」について比較し,両者の共通点と相違点を明らかにした。両者のねらいには共通点も多いが,歴史的経緯は正反対であると言ってもよい。そして,それは過去のことではなく,現在の実践にも色濃く反映している。本発表では,学級の歴史をさかのぼり,フーコーの権力概念を用いて,その仕組みを説明した。
日本の学校の「特別」は特別か?―日本の学校文化の「特別扱い」に関する一考察 2013年 9月 日本教育社会学会第65回大会(埼玉大学) 本研究は,教室内に持ち込まれる子どもたちの差異に対して,教師が行う「特別扱い」に関する研究である。日本では「みんな同じ」を重んじ,「特別扱いしない」学校文化が存在し,それが個に応じた支援を妨害すると批判される。しかし,一方で,そこにこそ日本の教育特有の利点があるという指摘もある。本研究では,「特別扱いしない」共同体的な日本の学校文化を多面的に分析し,そこから生じる葛藤をどのように調整するのかを論じた。
日本のインクルーシブ教育の課題と展望 2014年 8月 日本人権教育研究学会第15回大会(兵庫教育大学神戸ハーバーランドキャンパス) 2012年,中央教育審議会初等中等教育分科会,特別支援教育の在り方に関する特別支援教育の在り方に関する特別委員会は,「共生社会に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」を発表した。この報告によると,日本はこれからインクルーシブ教育へと向かうが,それは特別支援教育の漸進的な発展によって到達可能だとされる。本報告では,特別支援教育の問題点を指摘し,その問題が生み出されるメカニズムを解明し,さらにサラマンカ宣言に象徴的に現されている世界水準のインクルーシブ教育の考え方と,どう違うかを明らかにする。
社会から排除されがちな子どもを包摂する学校の研究 2014年 9月 日本教育社会学会第66回大会(松山大学・愛媛大学) 貧困状況にある子ども,虐待を受けている子ども,ニューカマーの子ども,知的障害のある子どもなど,学校や社会から排除されがちな子どもの数が増加している。これらの問題は,それぞれに固有の問題ではあるが,学校文化と子どもの特性の葛藤の問題だと考えれば,共通の問題であるともいえる。本研究では,このような子どもたちを排除することなく包摂する学校の在り方を考える。本研究では,大阪市立大空小学校に注目する。大空小学校は障害のある子どもが通常学級で学んでいるだけではなく,開校以来9年間,不登校ゼロが続いている。大空小学校の高いパフォーマンスを支えている条件を析出した。
日本のインクルーシブ教育システムはインクルーシブか? 2015年 7月 日本法政学会第122回大会(日本文化大学) 本研究では,日本型のインクルーシブ教育システムを,インクルーシブ教育の原型とでも言うべきサラマンカ宣言と対比することを通してその特徴を際立たせ,その論理がどのように導かれているかを読み解いた。日本型のインクルーシブ教育の論理は,障害者権利条約を媒介させ,そこで用いられているインクルーシブ教育の意味を矮小化して捉えることにより,巧みに整合性が図られていた。
「道徳の教科化」のポリティクス 2015年 8月 日本人権教育研究学会第16回大会シンポジウム(兵庫教育大学神戸ハーバーランドキャンパス) 道徳の教科化の背後にある政治的文脈を探り出そうとする試みである。報告では,道徳の教科化に肯定的な言説の中から,新自由主義・新保守主義的と親和性の高い言説をとりあげ,その論旨を考察した。それらは,若者の凶悪犯罪が増えていると言明をすることで過度に人々の危機感を煽り,その責めを戦後の民主教育・人権教育に帰し,戦前の教育への回帰を求める傾向を共有していた。道徳教育は「強い日本」をつくるために行われるべきではない。共生社会の実現のために行われるべきであることを主張した。
イギリスの特別ニーズ教育におけるSENのある子どもの処遇に関する研究― イギリス西部の地方都市におけるある小学校と中等学校のフィールド調査を通して― 2015年 9月 日本特殊教育学会第53回大会(東北大学) 本研究で,イギリスの「特別ニーズ教育」の実践において,SENのある子どもがどのように処遇されているのかを明らかにすることを目的とする。イングランド西部の地方都市ExeterにあるMeadowlea Community SchoolとWest Devon College(いずれも仮名)でフィールド調査を行った。どちらの学校でも,SENのある子どもたちが習熟度別指導の最下層のグループやクラスに入れられており,"full inclusion"と言われる状況においても緩やかな分離が進行していることが明らかになった。ただ,小学校は柔軟なグループ分けやオープンな教室の構造により,それがあまり際立つことはなかった。
インクルーシブな学校づくりの研究―大阪の「原学級保障」とイギリスの「特別なニーズ教育」の実践― 2015年 9月 日本教育社会学会第67回大会(駒澤大学) 本研究では,大阪の「原学級保障」とイギリスの「特別なニーズ教育」という異なる二つの地域におけるインクルーシブ教育実践を比較する。両地域とも,障害のある子どもが通常学校で共に学んでいること,貧困やマイノリティといった社会・家庭環境を背景とする子どもの課題をも含めて支援の対象としていることにおいて共通している。しかし,それぞれの実践の内実は固有の教育制度や文化によって方向づけられ,また制約を受けており,その具体的な姿とコンセプトは違いを際立たせている。大阪の実践では,集団と個の葛藤が生じていた。一方,イギリスの実践ではニーズのある子どもがstreamingの最低位のクラスに集められている現実が見えてきた。
学校現場における「発達障害」の使われ方に関する研究 2015年11月 日本障害学会第12回大会(関西学院大学) 2007年の特別支援教育の導入以降,特別支援学校在籍児童生徒数が急上昇している。即ち,通常学級からの排除(イクスクルージョン)が進行しているのである。本研究はこの現象を生み出す原因を究明するために,学校現場におけ「発達障害」概念の使われ方に注目する。X中学校でフィールド調査を行い,発達障害があるとされる子どもに対する教師の関わり方を観察するとともに,教師に対するインタビューを実施した。また小学校3校と中学校3校において教師対象のアンケート調査を実施し,84名の教師から回答を得た。それらの調査の結果,教師が「発達障害」概念を,「脳機能の障害」という本来の定義に縛られることなく,家庭環境要因からもたらされる子どもの課題をも含めたより広い概念として柔軟に使用している現実が浮き彫りになった。この拡大解釈を通して,社会・環境要因からもたらされる子どもの課題が「障害」へと転化され,特別支援学校の在席児童生徒の急上昇(=通常学級からの排除)という現象を生み出しているのである。
インクルーシブ道徳教育論・序説―実践に潜む「隠れたカリキュラム」としての新自由主義イデオロギーの析出を通して 2016年 7月 日本道徳教育学会第87回大会(聖徳大学) 本研究の目的は,道徳教育実践の中に「隠れたカリキュラム」として入り込む新自由主義イデオロギーを析出し,実践をインクルーシブな方向に導くことである。一般的には,道徳教育の目指すべき方向や指導すべき内容は学習指導要領に定められていると考えられている。しかし,既存の指導資料や指導案を分析すれば,実践の中に相反する二つの指向性を持つ実践が混在していることが見えてくる。そのうち個人の努力の重要性を強調し,固定的なアイデンティティを求め,競争に拍車をかけ,結果的に競争に敗れた敗者の排除へとつながるような指向性を持つものを「新自由主義道徳教育」と命名し,その対局の指向性を持つものを「インクルーシブ道徳教育」と命名した。本報告では,内容項目A-3(現行1-(5))「個性の伸長」に関する二つの指導案を対比し,それぞれを例示した。
特別支援教育をイクスクルージョンへと向かわせる通常学級内の相互過程 2016年 8月 日本人権教育研究学会第17回大会(兵庫教育大学神戸ハーバーランドキャンパス) 「インクルーシブ教育時代の学習権―すべての子どもが学びたい場で学ぶために」と出したシンポジウムのパネラーとして報告した。2007年の特別支援教育の本格実施を契機として,特別支援学校・学級に在籍する,あるいは通級指導を受ける子どもが急増している現実をとらえ,その要因を通常学級の教師・生徒間の相互過程を描写することを通して説明した。結論として,障害のある子どもへの合理的配慮だけではなく,その子どもを取り巻く包摂的な集団をつくること,そして制度面では,障害の有無を前提とする二元論的な枠組ではなく,すべての子どものニーズに応えようとする一元的な枠組の制度への改革の重要性を示唆した。
道徳教育実践のイデオロギー性を問う―インクルーシブな道徳教育実践を通して 2016年 8月 日本人研教育研究学会第17回大会(兵庫教育大学ハーバーランドキャンパス) 昨年の本学会のシンポジウム「人権教育と道徳教育」の議論を契機として,その後パネラーの一人と共に行ってきた共同研究の成果を発表した。数ある道徳教育実践を分析した結果,新自由主義的な指向性を持つ実践と,その対局の指向性を持つ実践があることが明らかになった。私たちは後者を「インクルーシブ道徳教育実践」と名付け,そこに人権教育との親和性を見いだした。道徳教育と人権教育をイコールとすることも,逆に両者を対立ものとしてとらえることも,どちらも真実ではなく,危険でもある。大切なことは,実践者がその違いを認識しつつ実践を蓄積することである。本報告では,内容項目A-4<希望と勇気,克己と強い意志>の指導資料や指導案を例示し,両者を峻別する基準について論じた。濱元伸彦, 原田琢也
「発達障害」とされていく様々なニーズのある子どもたち―特別支援教育という社会的排除の仕組み 2016年 9月 日本教育社会学会第68回大会(名古屋大学) 本報告の目的は,特別支援教育の制度化に伴い,医療化が進む学校現場において,複合的なニーズを持つ子どもがどのように捉えられ,処遇されつつあるのかを,学校現場の相互過程を分析することを通して明らかにすることである。教師の教育行為を,状況の定義にもとづいて目的や関心を達成しようとしながらも合意を求めて交渉する過程ととらえ,①教師の児童・生徒認知の側面,②ストラテジーとしての教育行為の側面,③教師の教育行為の正当化・構造化の側面という3つのフェースに注目して分析を行った。その結果,教師は,「発達障害」概念を,社会経済文化的要因,あるいは家庭環境的要因から生じている子どもの課題を含み込む概念として拡張して用いていること,そして,逸脱行為を繰り返す子どもたちを包摂するために,やむにやまれず選び取ったストラテジーにより,彼らの分離を逆に促進してしまう帰結に陥っていることが明らかにされた。
ロンドン・ニューアム区におけるインクルーシブ教育の理念と実践 2017年 8月 日本人権教育研究学会第18回大会(姫路大学) 前半部分で,日本のインクルーシブ教育システムの課題を指摘し,その問題を克服する上で,イギリスの特別なニーズ教育,とりわけロンドン・ニューアム区の実施が示唆的である理由を説明した。そして,後半には,私たちが調査した学校の中からCarpenters Primary Schoolに焦点を絞り,その実践を説明した。調査の結果,徹底的ニーズに即応した差異的処遇が行われる反面,集団を通して個と個をつなぎとめ,レジリエンスを高めることなど,ニューアム区のインクルーシブ教育の特徴が5点見いだされた。
イギリスの特別なニーズ教育制度とその実践: ロンドン・ニューアム区の事例を中心に 2017年10月 日本障害学会第14回大会(神戸学院大学,ポートアイランドキャンパス) 日本は,2012年からインクルーシブ教育へと舵を切ったが,障害者のみを対象とする「一元論」,原則通常学級の配置とはしない「分離主義」という,従来の障害児教育から特別支援教育へと連続している基底の枠組を堅持した。この点を巡っては政府の見解は曖昧で,学校現場にはその解釈をめぐって混乱が見られる。本研究では,まず,日本のインクルーシブ教育の問題状況を整理し,その上で,同様の問題を回避するためにSEN(特別な教育的ニーズ)という概念で子どもの課題を捉えるようになったイギリスのインクルーシブ教育実践を紹介する。
ロンドン・ニューアム区のインクルーシブ教育実践に関する研究―個のニーズと集団への包摂 2017年10月 日本教育社会学会第69回大会(一橋大学) 日本では,障害のある子ども,貧困課程の子ども,外国にルーツを持つ子ども,被差別の立場にある子どもの問題は,それぞれに固有の問題として研究が進められ,論じられてきた経緯がある。しかし,学校では背景が何であれ,それらの問題は学習や行動上の問題として把握され,特別支援教育の対象として把握される傾向が増している。日本特別支援教育は「障害」のみを対象としているために,これらの社会・経済要因,あるいは家庭要因からもたされている問題が,学校教育を通して「障害」へと転化されていっている。イギリスの「特別なニーズ教育」では,SENという概念で子どもの把握することにより,上記の問題を回避しようとしている。本研究では,特に移民の集住地区であるニューアムが,どのようにして上記の問題を回避しつつ,インクルーシブ教育を展開しようとしているかを報告する。
特別扱いを許さない日本の学級で,特別扱いしなければならない教師のストラテジー―日本におけるインクルーシブ教育というアポリア 2018年 8月 日本人研教育研究学会第19回大会(姫路大学) 現在,日本では,子どもの多様化が進んでいるが,共同体主義的な日本の学級においては,同調圧力が強く働き,差異的処遇を行うことが難しい。教師の教育行為を状況の定義に基づくストラテジーとして捉え,逸脱傾向が顕著な生徒を学級に包摂しようとしても,「包摂」のための教師のストラテジーが,逆に「排除」へと向かっていく状況を描出した。
オーストラリア・クイーンズランド州の多元的なインクルーシブ教育システムとその実践―日本の二元的システムとイギリスの一元的システムとの比較を通して 2018年 9月 日本教育社会学会第70回大会(佛教大学) 本研究の目的は,オーストラリアのクイーンズランド州のインクルーシブ教育の制度と実践を明らかにすることにある。筆者らは,ケアンズにあるA州立中等学校でフィールド調査を行った。この地域のインクルーシブ教育は,①障害生徒,②先住民生徒,③移民生徒,④難民生徒を対象とした多元的な制度としてあることに特徴がある。日本やイギリスのインクルーシブ教育システムと対比した。
Gengakkyu-Hosho - Efforts and Implications for Japan and the World 2019年 8月 World Education Research Association Focal Meeting 2019 In Japan, the Inclusive Education System was introduced in2012.However, the framework of conventional Special Education System is still prevalent. As a result, exclusion from regular classrooms is progressing rapidly in Japan.Considering this situation, our research team has conducted comparative research on inclusive education in Japan, England, and Australia. In this report, we focused on the practices in the city of Osaka. As part of Dowa Education, many public schools in Osaka have continued the teaching practice called “Gengakkyu-Hosho” [assurance for learning in mainstream classes], which mandates students learn together in the same classroom regardless of whether students have disabilities.
「子どもの貧困」に向けて日本の学校に何ができるか―「効果のある学校」づくりと「日本型インクルーシブ教育」再考 2019年 8月 日本人権教育研究学会第20回大会シンポジウム(姫路大学) 「一億層中流社会」と言われていた日本社会においても経済格差が顕著になり,特に子どもの貧困が社会問題化しつつある。本シンポジウムのテーマは,このような社会状況の中で,学校教育が何をなし得るかを問うものであった。本報告では,「効果のある学校づくり」を通して,社会経済的背景の厳し状況にある子どもとそうではない子どもの間の格差の縮小に成功した事例を紹介し,その理論的背景を解説した。それと併せて,その手法の限界についても述べ,インクルーシブ教育の必要性を論じた。
特別支援教育と「原学級保障」―「取り出し」か「入り込み」をめぐる葛藤とインクルーシブ教育への展望 2019年 9月 日本教育社会学会第71回大会(大正大学) 本研究では,大阪の「原学級保障」と呼ばれる統合教育実践を行っている学校での調査結果を報告した。特別支援教育の興隆の中で,この学校でも原学級保障の足下は揺らいでいた。個に応じた特別な支援を効率よく行うために「取り出し」が増加し,原学級保障の形骸化が進んでいた。しかし,この学校では,インクルーシブ委員会を創設することで,インクルーシブ教育をめぐる議論が活性化し,その動きはユニバーサルデザインの授業改革や,集団づくりの意義の再認識につながっていった。負の意味で捉えられがちな両者の間の葛藤が,インクルーシブ教育推進の原動力になり得ることを述べた。
オーストラリア・クイーンズランド州のインクルーシブ教育の制度と実践―多様な文化的背景をもつ子どもへの対応 2019年10月 日本特別ニーズ教育学会第25回研究大会(長崎大学) クイーンズランドのインクルーシブ教育制度は,障害・先住民・移民・難民など,社会的カテゴリーごと支援体制を整備し,それらを集合してインクルーシブ教育を構成するという多元的なシステムである。報告者らは,2018年3月と2019年9月にQLD北部のケアンズで学校フィールド調査を行った。それらの調査結果を,「学校コミュニティへの参加」を切り口としてまとめる。共同報告者は,濱元伸彦(京都造形芸術大学准教授)・竹内慶至(名古屋外国語大学准教授)。
新自由主義的教育改革と学校文化のレジリエンス―ある小中一貫校のフィールド調査から 2019年11月 関西教育行政学会第35回大会シンポジウム(京都大学) 本報告は,大会シンポジウム「新自由主義的教育改革は教育現場に何をもたらしたか」のパネリストの一人として行ったものである。本報告では,大阪市のX小中一貫校で行ったフィールド調査の結果を報告した。X校は校区に被差別部落を含み,就学援助受給率も60%台というように,社会経済的に厳しい背景を持つ学校である。一般的に,新自由主義的教育政策は,社会・経済的に厳しい層に対して,なお厳しいインパクトを与えると考えられる。しかし,X校では,公正性・応答性・主体性を特徴とする人権・同和教育に根ざした学校文化の効果により,その指向性が転換されていた。つまり,「学校文化のレジリエンス」が機能していたのである。
Top of page

科学研究費補助金

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
アイデンティティと学力に関する研究 単著 2005年 4月 日本学術振興会補助金奨励研究 教師としての長期間にわたる同和地区生徒との交流とインタビュー調査により,自分自身の出自についてどう受け止め,自分自身をどう規定するかという問題(アイデンティティ問題)が,学校適応や学力形成にどのような影響をもたらすのかを明らかにした。成果は原田(2007)として出版。資金総額,910千円。
『アイデンティティと学力に関する研究』出版 単著 2007年 4月 日本学術振興会補助金研究成果公開促進費
英語の学力に焦点を当てた学校効果の研究 単著 2007年 4月 日本学術振興会補助金奨励研究 英語学力と社会階層の関係を調べ,階層間格差を超えるための授業のあり方を模索した。まず質問紙調査により,低階層の子どもほど,英語学習の結果についての原因帰属のさせかたに,教師が占める割合が大きいことを明らかにした。その結果を受け,授業の「導入」のあり方を工夫し,低位層をサポートする授業体制づくりとして,「ユニット学習」を提案した。資金総額,660千円。
『グレーゾーン』の子どもたちの処遇をめぐる社会学的研究―日英の比較を通して 共著 2015年 4月 日本学術振興会補助金基盤研究(C)(一般) 代表。「特別支援教育」と「特別なニーズ教育」という制度の違いに着目し,その違いが,いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれる子どもたちに対する「教師の認識枠組と実践」にどのような影響を及ぼしているのか,あるいはいないのかに焦点を絞り込んで,より精緻な調査を行う。資金総額,4, 680千円。
『現象としての低学力』の実態把握と改善に向けた実践的研究 共著 2016年 4月 日本学術振興会補 助金挑戦的萌芽研究 近年,「学力低下」が叫ばれ,教育政策は「ゆとり」から「学力重視」へと舵を切った。しかし,学力を低下させているのは,すべての子どもというわけではなく,社会経済的に困難な状況を持つ一部の子どもであり,学力格差こそが問題であるとされる。しかし,低学力層も一枚岩ではなく,その中にも極端に低学力名一群がある。本研究では,その実相をあきらかにすることを目標としている。資金総額,2, 860千円。代表,諏訪晃一。
複合的困難に直面する児童・生徒の社会的包摂:小中一貫校・小中連携に注目して 共著 2016年 4月 日本学術振興会補助金基盤研究(C)(一般) 分担研究者。障害,貧困,虐待,異文化など,子どもを取り巻く困難な状況が,複合的に絡まり合い,学校における子どもの問題群を生成している。本研究では,小中一貫校でのフィールドワークを通して,その実相とそれに立ち向かう学校・教師の実践を描くことを通して,これらの問題群への対処の方策をを探究する。代表,高田一宏。資金総額 4, 680千円。
すべての子どもを包摂するインクルーシブ教育システム構築のための比較社会学的研究 共著 2018年 4月 日本学術振興会補助金基盤研究(C)(一般) 代表。私たちはこれまで,日本の二元的なインクルーシブ教育システムの問題点を克服するためのモデルとして,イギリスの一元的なインクルーシブ教育に着目してきた。本研究では,オーストラリア・クイーンズランドの多元的なインクルーシブ教育について調査を行い,その可能性を探究する。最終的には,三者の比較を行い,今後日本のインクルーシブ教育システムが進むべき方向性を指し示すことを目標とする。資金総額,3, 300千円。
Top of page

講演

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
人権教育をどう進めるか 単著 2014年 8月 京都市立音羽中学校人権教育研修会 日本の社会と教育の現状を,人権教育の4側面に沿って分析的に捉え,問題の所在を明らかにしつつ,どう考えるべきか,そしてどう解決につなげていくべきかについて論じた。①「人権のための教育」では,同和教育の歴史と子どもの貧困問題を関連づけながら話した。②「人権についての教育」では,特に道徳教育との関連について焦点を当てて話した。③「人権を通じての教育」では,インクルーシブ教育についてその功罪について論じた。
「効果のある学校」とは 単著 2015年 8月 京都府井出町立井出中学校ブロック小中合同研修会 「効果のある学校」とは,単にテストの平均点が高い学校ではない。社会・経済的背景からもたらされる学力の格差を克服している学校のことである。本講演では,同和教育実践の歩みを踏まえ,「効果のある学校」の意義と特徴について論じた。
京都式「効果のある学校」について 単著 2016年 8月 京都府久御山町,久御山学園夏季研修会 「効果のある学校」(effective school)の歴史的経緯と概念について説明し,次いで,京都府教育委員会の「京都式効果のある学校プロジェクト」のコンセプトについて解説した。その後,久御山学園の学力状況に関する分析結果を報告し,「効果のある学校」になるための具体的なイメージを話した。
同和教育の理念をこれからの学校にどう生かすか―道徳の教科化とインクルーシブ教育の新たなる展開に向けて 単著 2016年11月 大分市教育委員会教務主任研修会 同和教育の歩みと理念をレビューし,それを大切にしつつ,今後道徳教育と,インクルーシブ教育を展開していくためには,どうすべきかを論じた。道徳教育については,所与の実践の中には,新自由主義,あるいは市場主義的な価値と共生の価値が混在していることを指摘し,違いを見抜くことの必要性を説いた。インクルーシブ教育については,現在の特別支援教育が通常学級からの排除を促進していることを批判し,その上で障害の有無で対象を絞るのではなく,個々のニーズへの着目の必要性を強調した。
新学習指導要領をどう読むか―「効果のある学校づくり」の視点から 単著 2017年 8月 京都府精華町夏季教職研修会(むくのきセンター) 京都府で進められている「効果のある学校」事業の意義と概要を話し,子どもの多様性が増しつつある今日の日本の学校において,障害の有無にかかわらず様々なニーズのある子どもを学校に包摂し,学力の下支えを図っていくことの重要性を説明した。そのあと,新学習指導要領のコンセプトについて説明し,単に国策としてグローバリゼーションに対応していくためだけではなく,「効果のある学校づくり」という視点から見ても,それが有効であり示唆的であることを論じた。
「効果のある学校」をつくるとは 単著 2018年 8月 福岡県八女市立立花中学校夏季研修会 日本の学校が直面する社会的状況を整理し,その上で「効果のある学校」の理念や方法について論じることで,「効果のある学校」づくりプロジェクトの意義を明確にした。さらに,人権・同和教育の実践を振り,それと「効果のある学校」というコンセプトとの関係について論じた。最後に,スクールバスモデルや学力の樹のアナロジーを用いて,「効果のある学校」をつくるための戦略について話した。
インクルーシブ教育のフロンティアを切り拓く―特別支援教育に同和教育の視点を 単著 2018年 8月 大阪市立やたなか小中一貫校夏季研修会 人権・同和教育をベースにする「原学級保障」と呼ばれる「共に学ぶ」実践と,個のニーズに即応する特別支援教育とはしばしば葛藤をもたらす。しかし,通常学級からの児童生徒の流出や医療化といった現在の日本型インクルーシブ教育(=特別支援教育)の課題を克服する上で,この葛藤を直視し,協働の営みでこれを超克しようとすることがたいへん重要であり,それがインクルーシブ教育の新たな地平を切り拓くフロンティアになり得ることを論じた。
同和教育が残してきたことと, これからの人権教育の展開 単著 2018年11月 京都府立桂高校人権教育研修会 本講演では,まず,現在教育現場が直面している困難な状況について整理した。次いで,人権同和教育が歩んできた足跡とその意義について整理し,そのエッセンスが,今日教育現場が直面している困難な状況を打開する上で,重要な役割を担い得ることを述べた。その具体的な方法として,「効果のある学校」と,インクルーシブ教育について論じた。
京都式「効果のある学校」事業の3年間で久御山はどう変わったか 単著 2019年 1月 京都府久御山町教育委員会久御山学園研修会 現在の教育界が直面している困難な社会状況をレビューし,京都式「効果のある学校」事業のコンセプトと意義を再確認した。その上で,3年間の全国学テのデータの推移を,特に,要支援生徒集団とそれ以外の生徒集団との格差について焦点を絞り,解説した。そして,3年間の成果と課題をまとめ,今後の展望について論じた。
立花中学校の「効果のある学校づくり」の2年目に向けて 単著 2019年 2月 福岡県八女市立立花中学校研修会 本講演の目的は,以下の4点であった。①「効果のある学校づくり」の基本的なコンセプトを概括すること。②2018年度のCRTと学習・生活調査の分析を元に,立花中学校の課題を明確にすること。③小中連携の効用について整理し,次年度以降の学校づくり戦略の基礎を培うこと。④人権教育を基軸に据えた授業づくりの意義について考察することである。
「効果のある学校」と人権教育 単著 2019年 7月 福岡県八女市立立花中学校,「人権教育を基盤とした効果のある学校づくり」事業 ,第1回研究指定校推進協議会 「効果のある学校」のコンセプトを概括し,その中で,人権教育がどのような意味を持ち,役割を果たすのかについて論じた。「人権教育の4側面」の「人権を通じての教育」に焦点を当て,隠れたカリキュラムの中にあるジェンダーバイアスをクローズアップした。
学力を問う 単著 2019年10月 京都府久御山町立久御山中学校,「未来を拓く学校づくり」事業,教職員研修会 学力と学校の公正性をめぐる問題が,近代以降に芽生えた学校システムに根源的に内包することを論じた上で,以下の問いを発した。①経済的に厳しい家庭の子どもが学校で力を発揮する上で,どのような障壁(バリア)が立ちはだかっているのでしょうか?子どもの視点から考えてみましょう。②その障壁(バリア)を取り払うにはどのような手立てがあるでしょうか?③問い3 抽出,分離に頼らず障壁(バリア)を取り払うにはどのような手立てがあるでしょうか?グループで話し合ってもらい,アイデアを共有した。
「効果のある学校」と人授業づくり 単著 2019年11月 福岡県八女市立立花中学校,「人権教育を基盤とした効果のある学校づくり」事業,第2回研究指定校推進協議会 「効果のある学校」のコンセプトをレビューし,授業論につなげた。「学力の樹」の考え方を介し,学習指導要領の「主体的・対話的で深い学び」が「効果のある学校」とどのような関係にあるのかにフォーカスを当てて話した。
Top of page

メディア出演

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
NHKテレビ番組『ウワサの保護者会,校則スペシャル(後編)』 共著 2018年 1月 NHKテレビ この番組では,前編・後編の2回に分けて,「校則問題」について扱われた。前編では,保護者代表として6名の母親と尾木ママとの間で討論が繰り広げられた。後編では,普段の「保護者会」とは趣を変えて,10代の若者代表としてタレントの井上咲楽,声優の春名風花,評論家の荻上チキ,専門家として八並光俊,原田琢也,そして尾木ママの間で議論が交わされた。それぞれ24分間という短い時間ではあったが,多角的で密度の濃い議論が展開され,「校則問題」の実相に迫ることができた。 
NHK,Eテレ,『#ジューダイ』「みんなで考える!校則&ブラック校則」 共著 2019年10月 NHK,Eテレ テーマは校則。「下着は白限定」「整髪料使用禁止」などいわゆる「ブラック校則」について,出演者で議論を深める内容。【ゲスト】Sexy Zone…佐藤勝利,金城学院大学教授…原田琢也,【司会】前山田健一,ぺえ,【語り】松田大輔 。2019年11月1日(金) 午前0:00~午前0:25(25分)に生放送。
Top of page

書評

著書名 単著、
共著の別
出版年月 発行所・発表雑誌等 概要
書評、和田幸司著『「士農工商」はどう教えられてきたか―小中学校における近世身分学習の展開』(ミネルヴァ書房、2018) 単著 2018年 6月 日本人権教育研究学会『人権教育研究』第18巻 本書の目的は,小中学校社会科における「士農工商」という近世身分の教えられ方が,近年の歴史学研究の成果を十分に反映できていない事実を明らかにし,その状況を改善し,「理論と実践の融合」を図ることにある。第Ⅲ部までの現状分析は、データに基づき説得力があり、筆者の目論見は達成できているように考える。しかし、第Ⅴ部の学校現場以降の教師の力量形成についての記述は、データが少なく、恣意的な印象を受ける上、本書全体のテーマとどのように関連しているのかが、不明確である。pp.83-89。
今日本の教育に求められる「集団づくり」の基本原理(書評,志水宏吉・島善信編著『未来の人権教育―大阪松原発 学校と地域をつなぐ実践』明石出版,2019年9月) 単著 2020年 1月 『ヒューマンライツ』第382号 本書は,松原三校の50年間の軌跡をたどり,そこから人権教育の未来を切り拓くためのエッセンスを抽出しようという試みである。松原の教育の特徴を一言で表せば「つながり」であり,さらにその肝は何かと問われれば,「集団づくり」ということになる。本書評では,松原で受け継がれてきた「集団づくり」の教育原理を中心におき,本書全体を紹介した。pp.62-63。
Top of page