題目/演目名等 |
発表年月 |
発表学会名等 |
概要 |
ポリセレノジペニシラミンの生成機構とCu(II)-カテコール依存的DNA損傷抑制効果 |
2010年 7月 |
第56回日本薬学会東海支部総会・大会(岐阜) |
安藤基純、戸邊隆夫、他6名、亜セレン酸がチオール化合物であるD-ペニシラミンと反応することにより生成するポリセレノジペニシラミンの生成機構とCu(II)-カテコールによる酸化的DNA損傷をセレノジペニシラミンが抑制することを明らかにした。 |
セレン架橋グルタチオンGSSeSGによる酸化的DNAの制御 |
2011年 7月 |
第57回日本薬学会東海支部総会・大会(名古屋) |
戸邊隆夫、高木麻衣、他6名、亜セレン酸が生体内チオール化合物である還元型グルタチオンと反応し、生成するセレノジグルタチオンが、反応条件により酸化/抗酸化の二面的な作用を示すことを発表した。 |
Ligand-dependent influx/efflux pattern of Pt(IV) complexes and their relevance to cytotoxicity in human ovarian cancer cells |
2013年 6月 |
第23回金属の関与する生体関連反応シンポジウムSRM2013(武蔵野) |
戸邊隆夫、臼井健悟、他4名、白金錯体においてシクロヘキシルアミン基が配位することにより脂溶性・細胞膜透過性が増加することおよび白金4価錯体の細胞障害は細胞蓄積非依存的であることを発表した。 |
Interplay of manganese and iron in dopaminergic oxidative stress |
2013年 7月 |
The XIII International Congress of Toxicology (Seoul, Korea) |
戸邊隆夫、速水英明、他4名、ドパミンなどのカテコールアミン類はMnおよびFeにより酸化的代謝をおこすこと、また中間体であるロイコアミノクロムはFeと共存することによりDNA損傷活性を示すことを明らかとした。 |
Low-dose manganese disrupted neural differentiation in murine embryonic stem cells |
2013年 7月 |
The XIII International Congress of Toxicology (Seoul, Korea) |
戸邊隆夫、谷口結基、他6名、細胞分化誘導剤であるレチノイン酸がマウス胚性幹細胞に対して神経分化マーカーの発現を誘導し、MnおよびFeが幹細胞の神経分化プロセスに影響を及ぼすことを明らかとした。 |
Mn-Feの協働作用が促進するカテコールアミン酸化と神経細胞死の誘導 |
2013年 7月 |
第59回日本薬学会東海支部総会・大会(名古屋) |
岸淵貴人、戸邊隆夫、他5名、MnとFeの協働的なカテコールアミン酸化による神経細胞死について検討した。Mnがカテコールアミン体から中間体への酸化を促進し中間体からの酸化をFeが促進した。さらにカテコールアミンの酸化に伴い生じる活性酸素種によりDNA損傷を引き起こすことを明らかにした。 |
マウス胚性幹細胞の神経系分化にフラボノイド類が与える影響 |
2013年 7月 |
第59回日本薬学会東海支部総会・大会(名古屋) |
岩井宏徳、戸邊隆夫、他4名、マウス胚性幹細胞を用いて食品に含まれる代表的なフラボノイド類(ゲニステイン、ダイゼイン、イクオール)が神経系細胞への分化に与える影響を明らかにした。 |
マウス胚性幹細胞の神経分化に対するダイゼインおよびゲニステイン、ケンフェロールの効果 |
2013年 8月 |
日本食品化学学会第19回総会・学術大会(名古屋) |
谷口結基、戸邊隆夫、他3名、マウス胚性幹細胞を用いて、分化誘導剤であるレチノイン酸による神経分化誘導に対して食品中に含まれる植物エストロゲン類(ダイゼインおよびゲニステイン、ケンフェロール)が影響を与えることを明らかにした。 |
Pt(IV)錯体の配位子依存的がん細胞障害性と細胞内分布挙動 |
2013年 9月 |
フォーラム2013:衛生薬学・環境トキシコロジー(福岡) |
清水香琳、戸邊隆夫、他5名、白金4価錯体が白金2価錯体と比較して細胞障害性が高いこと、さらに白金4価錯体でもジアミン基およびシクロヘキシルアミン基などの配位子による細胞内での分布や蓄積性の違いにより異なる細胞障害性を示すことを明らかにした。 |
がん抑制p53たんぱく質はDNA付加体形成に起因する多能性幹細胞の増殖抑制と脱未分化に関与する |
2013年 9月 |
フォーラム2013:衛生薬学・環境トキシコロジー(福岡) |
戸邊隆夫、近藤沙和美、他4名、がん幹細胞の形成機序の解明を目的として、マウス胚性幹細胞(mES)に対する発がん物質曝露の応答を測定した。mESが発がん性化学物質に曝された時の防御応答として、がん抑制因子p53およびp21の遺伝子発現量が上昇し、Nanogなどの未分化マーカーの発現量が低下することを明らかにした。 |
セレンのチオール介在性・金属イオン非依存性細胞障害作用 |
2013年 9月 |
フォーラム2013:衛生薬学・環境トキシコロジー(福岡) |
谷口和也、戸邊隆夫、他4名、セレノジグルタチオンによる細胞障害性がグルタチオンなどのチオール化合物による還元的代謝に伴い金属非依存的に発生する酸化的DNA損傷が原因の一部であることを明らかにした。 |
ヒト乳がんMCF-7細胞におけるWntシグナル経路阻害因子DKK1発現に対する17β-エストラジオール及び植物エストロゲンの効果 |
2013年 9月 |
フォーラム2013:衛生薬学・環境トキシコロジー(福岡) |
平下佳奈、戸邊隆夫、他5名、ヒト乳がん細胞においてエストロゲンおよびゲニステインはエストロゲンレセプターαを介してWntシグナル経路阻害因子DKK1発現レベルを負に調節することによって細胞増殖を活性化すること、イクオールおよびダイゼインは継続的に摂取することにより乳がん予防効果を示す可能性があることを明らかにした。 |
多能性幹細胞の遺伝子損傷応答:p53依存的な細胞増殖抑制と脱未分化 |
2013年11月 |
日本環境変異原学会第42回大会(岡山) |
戸邊隆夫、近藤沙和美、他4名、ジメチルベンズ[a]アントラセンがマウス胚性幹細胞に対して用量依存的にDNA付加体形成を誘発し、同時にコロニー形成不良を引き起こすこと、がん抑制因子p53の阻害剤を併用することにより上記の影響が完全に抑制されることを明らかにした。 |
植物エストロゲンがヒトER陽性乳がん細胞に及ぼすWntシグナル経路阻害作用と細胞増殖変動作用 |
2013年11月 |
第4回岐阜薬科大学機能性健康食品(蜂産品) |
戸邊隆夫、有田卓矢、他5名、エストロゲン受容体陽性ヒト乳がん細胞株に対して大豆イソフラボン類(ゲニステイン、ダイゼイン、イクオール)が及ぼすWntシグナル経路阻害作用および細胞増殖に与える影響を検討し、大豆イソフラボン類と乳がんとの関連性について発表した。 |
植物エストロゲンによるヒト乳がん細胞のWntシグナル経路阻害因子DKK1発現変動と細胞増殖への影響 |
2013年11月 |
日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部合同学術大会2013(鈴鹿) |
戸邊隆夫、有田卓矢、他5名、エストロゲン受容体陽性および陰性ヒト乳がん細胞株を用いて、エストロゲンが及ぼす細胞増殖阻害因子DKK1発現および細胞増殖への影響と大豆イソフラボンによる乳がん予防効果との関連性について発表した。 |
Mn誘発性パーキンソニズム:Fe-Mn介在性アミノクロム生成に伴う酸化的DNA損傷 |
2014年 2月 |
日本酸化ストレス学会東海支部 第2回学術集会 |
吉田章悟、戸邊隆夫、他4名、ドパミンの酸化体であるアミノクロムはFeにより酸化的DNA損傷を引き起こした。これはアミノクロムの転位により生じたジヒドロキシインドールがFeと反応することでインドールキノンを生成する際にFenton反応が酸化的DNA損傷を誘起した可能性があることを明らかにした。 |
Seの抗腫瘍作用:チオールを介した酸化損傷 |
2014年 2月 |
日本酸化ストレス学会東海支部 第2回学術集会 |
植田康次、戸邊隆夫、他4名、亜セレン酸はグルタチオン代謝物となることで細胞障害活性が上昇する。さらにグルタチオンによる還元でセレニドを経て活性酸素種を発生するが、活性種であるヒドロキシラジカルへの変換にもチオール化合物が関与することを明らかにした。 |
Sequential oxidation of dopamine induced by Mn and Fe leading to dopaminergic neural cell death |
2014年 3月 |
17th Society for Free Radical Research International (Kyoto, Japan) |
戸邊隆夫、岸淵貴人、他4名、神経伝達物質と遷移金属による複合毒性について注目した。ドパミンおよびアドレナリンは側鎖にアミノエチル基があり、MnとFeが共存するにより酸化的損傷を誘発した。さらに酸化体であるアミノクロムはFeの存在下で酸化的DNA損傷を引き起こすことを明らかとした。 |
Thiol-assisted oxygen radical formation by selenium |
2014年 3月 |
17th Society for Free Radical Research International (Kyoto, Japan) |
植田康次、戸邊隆夫、岡本誉士典、小嶋仲夫、セレンおよびチオール化合物の共存により細胞障害を引き起こし、セレンによる活性酸素種生成にも同様にチオール化合物が関与していることから、酸化的DNA障害に起因した細胞毒性の可能性について検討した。 |
エストロゲンによるエストロゲン受容体を介したWnt/β-cateninシグナル活性化 |
2014年 3月 |
日本薬学会第134年会(熊本) |
戸邊隆夫、住吉智成、他4名、エストロゲンによるヒト乳がん細胞の増殖亢進作用へのWnt/β-cateninシグナルの関与を明らかにするとともにその阻害因子であるDickkopf-1の発現変動について検討した。17β-エストラジオールはエストロゲン受容体を介してDickkopf-1発現を減少させ、Wnt/β-cateninシグナルを亢進した結果、細胞増殖を亢進することを明らかにした。 |
チオール性還元物質とのレドックスサイクルを介したセレン化合物による細胞障害性 |
2014年 3月 |
日本薬学会第134年会(熊本) |
林将之、戸邊隆夫、他4名、セレンとチオール化合物の共存による細胞障害性がセレンの還元にともなうチオール化合物の活性化や金属を介さないラジカル生成が関与していることを明らかにした。 |
マウス胚性幹細胞のジメチルベンズ(a)アントラセンによるDNA損傷に対する防御応答はがん抑制p53タンパク質に依存する |
2014年 3月 |
日本薬学会第134年会(熊本) |
藤村将大、戸邊隆夫、他4名、マウス胚性幹細胞の7, 12-ジメチルベンズ(a)アントラセンによるDNA損傷に対する防御応答(脱未分化および細胞増殖抑制)はがん抑制p53たんぱく質に依存することを明らかにした。 |
大豆イソフラボン類によるβ-catenin標的遺伝子発現変動とER陽性ヒト乳がん細胞増殖への影響 |
2014年 5月 |
日本食品化学学会第20回総会・学術大会(東京) |
戸邊隆夫、住吉智成、他4名、大豆イソフラボン類がヒト乳がん細胞の増殖とβ-catenin標的遺伝子の発現変動に及ぼす影響を明らかとし、ERの有無により作用の違いについて検討した。大豆イソフラボン類の中でもdaidzeinおよび活性代謝物equolのみエストロゲン受容体陰性乳がん細胞の増殖を抑制したことから乳がん予防に適していることを明らかにした。 |
Cytotoxicity of Pt(IV) complexes against cisplatin-resistant human ovarian cancer cells -Potential role of reactive oxygen species- |
2014年 6月 |
第24回金属の関与する生体関連反応シンポジウムSRM2014(京都) |
清水崇光、戸邊隆夫、他5名、シスプラチン耐性卵巣がん細胞においてシスプラチンのプロドラッグであるcis-Pt(IV)とシスプラチンの細胞内挙動の差を明らかとし、高い細胞障害性がROSに起因している可能性について報告した。 |
Mn-induced parkinsonism: Enhanced aminochrome formation followed by Fe-mediated oxidative damaging |
2014年 6月 |
第24回金属の関与する生体関連反応シンポジウムSRM2014(京都) |
岸淵貴人、戸邊隆夫、他4名、マンガン誘導性パーキンソニズムの要因として、鉄介在性酸化ストレス生成を伴うアミノクロム体生成が関与している可能性について検討した。 |
Thiol-mediated sequential metabolism of selenium compounds leading to cytotoxicity against breast cancer cells |
2014年 6月 |
第24回金属の関与する生体関連反応シンポジウムSRM2014(京都) |
松田詩乃、戸邊隆夫、他5名、セレンに対するグルタチオンの多段階的な代謝とその際に生成するROSが誘導するがん細胞障害性およびDNA鎖切断作用について報告した。 |
DNA damage responses of murine embryonic stem cells: p53-dependent anti-proliferation and de-undifferentiation |
2014年 7月 |
第41回日本毒性学会学術年会(神戸) |
戸邊隆夫、藤村将大、他3名、マウス胚性幹細胞は化学発癌物質由来DNA付加体形成により細胞死を伴わないコロニーサイズが低下した。この時、ALP陽性コロニーおよび未分化マーカー発現の減少により、多分化能の低下が考えられる。これらの細胞応答はCyp1a1阻害剤の存在下では証したことから、DNA損傷に対するマウス胚性幹細胞の防御応答だと考えられる。 |
DNA付加体形成に対するマウス胚性幹細胞のp53依存的な防御応答 |
2014年 7月 |
第60回日本薬学会東海支部総会・大会(鈴鹿) |
室博也、戸邊隆夫、他5名、DNA付加体形成に対するマウス胚性幹細胞の防御応答として、細胞周期を停止させDNA修復を導き、幹細胞特有の未分化能を破棄すること、修復不能な細胞はアポトーシス誘導を引き起こすこと、これらがp53依存的な応答であることを明らかとした。 |
Molecular mechanism analysis of cytotoxicity induced by platinum(IV) complexes against cisplatin-resistant human ovarian cancer |
2014年 7月 |
第41回日本毒性学会学術年会(神戸) |
戸邊隆夫、清水香琳、他4名、シスプラチンのプロドラッグであるcis-Pt(IV)がシスプラチン耐性ヒト卵巣がん細胞においてシスプラチンと類似の挙動を示しながら、アポトーシスを強く誘導することで高い耐性を克服することを報告した。 |
ダイゼインおよびゲニステインの乳がん細胞に対する異なる作用 |
2014年 7月 |
第60回日本薬学会東海支部総会・大会(鈴鹿) |
日比智子、戸邊隆夫、他6名、ヒト乳がん細胞に対し、ダイゼインの活性代謝物であるエクオールがゲニステインおよびダイゼインとは異なる機序で細胞増殖を亢進している可能性について報告した。 |
神経マーカー発現変動を指標としたフラボノイド類がマウス胚性幹細胞の神経系分化に及ぼす影響評価 |
2014年 7月 |
第60回日本薬学会東海支部総会・大会(鈴鹿) |
水野彩、戸邊隆夫、他5名、マウス胚性幹細胞の神経系細胞への分化に対して大豆イソフラボン類がドパミン作動性神経および神経幹細胞への分化を促進し、フラボノール類が神経前駆細胞への分化を促進することを明らかにした。 |
Anti-cancer effects of Pt(IV) complex in cisplatin-resistant ovarian cancer cells |
2014年 8月 |
12th European Biological Inorganic Chemistry Conference(Zurich, Switzerland) |
戸邊隆夫、清水香琳、他4名、白金4価錯体によるシスプラチン耐性ヒト卵巣がん細胞に対する耐性克服機構を検討した。細胞内白金移行性や細胞内局在に顕著な差が見られないことからDNAに対するROS生成機構に差があることが耐性克服につながる可能性について明らかにした。 |
DNA付加体形成によるマウス胚性幹細胞の多分化能喪失とアポトーシスに誘導 |
2014年 9月 |
フォーラム2014:衛生薬学・環境トキシコロジー(つくば) |
若原美沙紀、戸邊隆夫、他6名、マウス胚性幹細胞はDNA付加体形成に対して、p53を介した修復機構を誘導する一方で、多分化能の喪失及びアポトーシスを誘導し、「がん幹細胞」の形成を防いでいる可能性について言及した。 |
エストロゲン受容体に依存した大豆イソフラボン類の乳がん細胞増殖抑制 |
2014年 9月 |
フォーラム2014:衛生薬学・環境トキシコロジー(つくば) |
戸邊隆夫、住吉智成、他4名、大豆イソフラボン類はER陽性乳がんに対して細胞増殖を亢進したことから増悪させる可能性があり、ER陰性乳がんに対しては細胞増殖を抑制したことから予防的に働く可能性があること、および特に大豆イソフラボン類の中でもゲニステインの作用が予防作用には強く関与することを明らかとした。 |
セレンの細胞機能障害作用におけるチオールとの相互作用の重要性 |
2014年 9月 |
第67回日本酸化ストレス学会学術集会(京都) |
植田康次、戸邊隆夫、他5名、セレンの細胞障害性は複数の基盤メカニズムからなり、その作用発現には還元型チオール化合物との相互作用について検討した。セレンとグルタチオンによる4段階:活性代謝物SDGの形成、セレニド(H2Se)への還元的代謝、レドックスサイクル、活性酸素種生成があることを明らかにした。 |
紫外線曝露によるマウス胚性幹細胞のp53非依存的細胞死 |
2014年 9月 |
フォーラム2014:衛生薬学・環境トキシコロジー(つくば) |
清水優希、戸邊隆夫、他3名、マウス胚性幹細胞は紫外線曝露によりシクロブタン型ピリミジンダイマーが形成され、増殖抑制および細胞死が誘導された。さらにこれらの応答はp53に依存していないことを明らかにした。 |
セレンの酸化的細胞障害におけるイオウの重要性 |
2015年 2月 |
日本酸化ストレス学会東海支部 第3回学術集会(名古屋) |
植田康次、戸邊隆夫、他3名、セレンのヒト乳がん細胞に対する酸化的細胞障害作用におけるイオウの重要性について検討し、セレンのチオール化合物との反応生成物であるセレノジチオール体の障害作用について検討した。 |
セレノジチオール生成を介するセレンの細胞内移行とがん細胞選択的障害性との関連 |
2015年 3月 |
日本薬学会第135年会(神戸) |
戸邊隆夫、植田康次、他4名、必須微量元素であるセレンの毒性発現機構について検討した。食事などに含まれる亜セレン酸が細胞障害作用を示さない濃度域においてグルタチオンによる代謝生成物セレノジグルタチオン(SDG)は高い障害作用を示した。この時、SDG処理群でのみ細胞内セレン濃度が上昇した。セレン化合物による細胞障害作用発現には膜輸送の効率が重要であることを明らかにした。 |
Anti-cancer effect of platinum(IV) complex against cisplatin-resistant human ovarian cancer |
2015年 4月 |
American Association for Cancer Research Annual Meeting 2015 (Philadelphia, USA) |
岡本誉士典、戸邊隆夫、植田康次、小嶋仲夫、シスプラチン耐性ヒト卵巣がん細胞に対するシスプラチンと白金4価錯体の細胞障害性機構について検討した。DNA鎖に対する結合量は白金製剤間に違いはなかったのですが、白金4価錯体ではROS産生能とアポトーシス誘導が顕著に見られたため、これらによって耐性を克服している可能性を明らかにした。 |
Manganese chloride perturbs neural differentiation of murine embryonic stem cells: A comparison study with methylmercury |
2015年 6月 |
The 7th International Congress of Asian Society of Toxicology (Jeju Island, Korea) |
岡本誉士典、戸邊隆夫、他3名、マウス胚性幹細胞から神経細胞への分化モデルを用いて低濃度のマンガンによる神経分化毒性について検討した。神経マーカーの発現量がマンガン曝露により変動し、いびつな肺様体が形成されたことから細胞死を誘導しない濃度のマンガンの毒性を明らかにした。 |
Thiol-dependent selenium uptake in cancer cells leading to cytotoxicity |
2015年 6月 |
第42回日本毒性学会学術年会(金沢) |
植田康次、戸邊隆夫、他3名、亜セレン酸の生体内代謝物であるセレノジグルタチオン(SDG)および、亜セレン酸と人工チオール化合物であるペニシラミンとの反応生成物セレノジペニシラミン(SDP)は亜セレン酸と比べて高い細胞障害作用を示した。この時、SDGおよびSDP処理群のみ、セレン蓄積量が上昇した。これらの結果から硫黄-セレン-硫黄の分子構造が細胞膜通過に重要であることを明らかにした。 |
Thiol-mediated multiple mechanisms centered on selenodiglutathione determine selenium cytotoxicity |
2015年 6月 |
The 7th International Congress of Asian Society of Toxicology (Jeju Island, Korea) |
植田康次、戸邊隆夫、他3名、亜セレン酸の代謝中間体(セレノジグルタチオン,SDG)がグルタチオンと反応する際に金属非依存的に活性酸素種を生成し、ヒト乳がん細胞死を誘導することを明らかにした。 |
Mnによるカテコールアミン酸化を介する転写阻害 |
2015年 7月 |
第61回日本薬学会東海支部総会・大会(名古屋) |
井上みさと、戸邊隆夫、他5名、Mnのカテコールアミン(CA)酸化を介したDNAに対する影響およびFeとの共同的な神経細胞障害について検討した。CAの一種であるドパミンおよびFeにより細胞死損率は低下し、Mnを加えることでさらに低下した。MnはCAの酸化を促進することで、CAとFeによる酸化的DNA損傷を増強させることに加え、生成したCAの酸化体による転写阻害を引き起こすことを明らかにした。 |
マウス胚性幹細胞の発がん性多環芳香族炭化水素に対する感受性の比較 |
2015年 7月 |
第61回日本薬学会東海支部総会・大会(名古屋) |
長谷川祥子、戸邊隆夫、他6名、がん幹細胞の形成機構の解明を目的として発がん性の異なる3種類の多環芳香族炭化水素に対するマウス胚性幹細胞の感受性を比較した。ジメチルベンズ[a]アントラセン(DMBA)処理群のみコロニーサイズの低下およびアルカリホスファターゼ陽性細胞の減少が認められた。DMBAと同様にDNA付加体を形成するベンゾ[a]ピレンでは引き起こされなかったことから幹細胞の発がんストレスに対する防御応答の一端を明らかにした。 |
Cisplatin耐性ヒト卵巣がん細胞に対するcis-Pt(IV)の細胞障害性と活性酸素種生成 |
2015年 8月 |
第10回メタルバイオサイエンス研究会(名古屋) |
戸邊隆夫、清水崇光、他6名、シスプラチン耐性ヒト卵巣がん細胞に対する白金4価錯体の耐性克服機構を検討した。白金4価錯体はシスプラチンに比べグルタチオンとの反応性が約2倍高く、細胞内ROSレベルが増加した。このROSレベルの増加が細胞死に先んじて観察されたことから、白金4価錯体による耐性克服の原因のひとつである可能性を明らかにした。 |
セレンの細胞障害性発現におけるCys/Glu輸送系の関与 |
2016年 3月 |
日本薬学会第136年会(横浜) |
戸邊隆夫、松田詩乃、他3名、がん細胞に高い細胞障害作用を示すセレノジグルタチオン(SDG)は、細胞膜表面でγ-グルタミルトランスフェラーゼに代謝およびシスチン・グルタミン酸トランスポーター(xCT)を介して細胞内に取り込まれた。したがってxCTを高発現しているがん細胞に対して選択的な障害作用を発揮する可能性について明らかにした。 |
セレンの細胞毒性発現におけるチオールとの相互作用の多様性と重要性 |
2016年 7月 |
第43回日本毒性学会(名古屋) |
植田康次、戸邊隆夫、岡本誉士典、神野秀人、ヒト乳がん細胞に発現するxCTを介したSDGの細胞内取り込みについて検討するために、チオール化合物を共存させて影響を評価した。SDGに酸化型グルタチオン(GSSG)およびシスチン(CSSC)を共存させたところ、細胞内セレン蓄積量が低下したことから、xCTの競合拮抗が発生したものと考えられるため、SDGの一部はxCTを介していることを明らかにした。 |
タバコアルカロイドによる侵害受容チャネルの活性化 |
2016年 7月 |
第62回日本薬学会東海支部総会・大会(名古屋) |
野中志保、戸邊隆夫、他7名、能動・受動喫煙は気管支炎や肺炎の原因となるほか、COPDの有病率を増加させることが報告されている。タバコ煙によるCOPDの発症メカニズムとして侵害刺激受容体Transient Receptor Potential (TRP) チャネルの関与が示唆されており、TRPA1を活性化するAcroleinなどのアルデヒド類に加えて、最近、タバコの成分であるNicotine自体も弱いながら活性化能をもつことが明らかにされている。そこで、本研究ではナス科タバコ属の葉に含まれるNicotine類縁体がTRPA1チャネルに及ぼす影響について検討した。 |
マクロファージ分化THP-1細胞に対する白金ナノ粒子の影響 |
2016年 7月 |
第62回日本薬学会東海支部総会・大会(名古屋) |
大川舞、戸邊隆夫、他7名、金属ナノマテリアルの中でも白金は抗酸化作用を期待して、主にナノコロイドとして化粧品や健康食品に利用されているものの、細胞毒性をはじめとする有害性に関しては限られた情報しか得られていない。そこで、本研究では、マクロファージに分化させたヒト単球系細胞株であるTHP-1細胞に対する白金ナノ粒子の細胞毒性について検討した。 |
テルペン類による侵害受容体TRPA1の活性化:ヒトおよびマウスの種差 |
2016年 9月 |
フォーラム2016 衛生薬学・環境トキシコロジー |
浅井理香、戸邊隆夫、他7名、Transient Receptor Potential (TRP) チャネルは6回膜貫通型の非選択的なカチオンチャネルであり、温度刺激や機械的刺激の他に、様々な化学物質によって活性化される侵害受容体である。ヒトのTRPチャネルの中で、Allyl isothiocyanateやCinnamic aldehydeで活性化されるTRPA1は、ヒトとげっ歯類の間の相同性が比較的低く、化学物質刺激に対する応答性に顕著な種差が存在する例が知られている。そこで、本研究では新たに樹立したマウスTRPA1 (mTRPA1) 安定発現細胞株を用いて、種々のテルペン類に対するヒトTRPA1 (hTRPA1) およびmTRPA1の応答性の差異について検討を行った。 |
入院患者における診療科別の骨折リスクの比較検討 |
2018年10月 |
第20回日本骨粗鬆症学会(長崎) |
久保みさき、戸邊隆夫、他7名、骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)活動の主な目的に脆弱性骨折の予防があり、非骨折患者に対する骨折予防(一次予防)と既発骨折患者に対する続発性骨折予防(二次予防)が対象である。一次予防の段階では無症状または予備群の場合が多く、どの患者を対象とすべきか判断が難しい。したがってOLSの一次予防に対する取り組みにおいては、骨粗鬆症性骨折高リスク患者の抽出を行うことが重要である。そのため診療科別の骨折リスクを比較することで今後のOLSの介入方法を検討することをもくt系に、入院患者を対象に調査を実施した。 |
FRACTURE RISK IN HOSPITALIZED PATIENTS DEPEND ON EACH SPECIFIC DISEASE AREA IN ACUTE CARE HOSPITAL |
2018年11月 |
7th Asis-Pacific Osteoporosis Conference (Sydney) |
戸邊隆夫、久保みさき、他5名、OLSは日本において脆弱性骨折の一次予防および二次予防を目的としている。急性期病院を含む多くの病院では骨粗鬆症性骨折を減らすためにOLSが開始されている。患者の選別が可能な二次予防と比べて、一次予防は選別が難しいのが現状である。そこで骨粗鬆症性骨折リスク算出ツールFRAXを用いて急性期病院に入院する患者を対象に骨粗鬆症性骨折リスクを算出した。 |
入院時初回面談における患者情報を用いた骨折リスクの調査 |
2018年11月 |
第28回日本医療薬学会(神戸) |
江藤祥子、久保みさき、戸邊隆夫、他3名、骨粗鬆症リエゾンサービスにおける非骨折患者に対する予防では対象患者が定まらないことから、薬剤師の介入方法が未だ不明確である。このような課題を解決するために、薬剤師が入院時初回面談で収集した情報を用い、骨粗鬆症性骨折リスク算出ツールFRAXにより骨折リスクを比較することで、一次予防対象患者の特定を目的とする調査を実施した。 |
睡眠薬の減薬を目的とした認知行動療法的スキル研修の取り組みと評価 |
2018年11月 |
第12回日本薬局学会(名古屋) |
伊藤光、戸邊隆夫、上池俊一郎、平松哲夫、睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドラインでは薬物療法の前段階における睡眠衛生指導の実施が推奨されている。さらに、認知行動療法は不眠症患者に対して睡眠薬の減薬効果が期待できることから推奨されているものの、睡眠衛生指導および認知行動療法の実施には至っていない。そこで睡眠薬の減薬を目的とした睡眠衛生指導および認知行動療法的スキルを含む薬剤師向けの研修プログラムを作成し、その研修成果を受講後アンケート調査により検討した。 |
入院患者の骨粗鬆症性骨折リスクにかかわる服用薬の影響 |
2019年 3月 |
日本薬学会第139年会 |
渡邊瑞加、戸邊隆夫、久保みさき、他4名、骨粗鬆症性骨折の一次予防を行う際に患者の抽出を複数のスクリーニング方で行うことが効率的である。以前に骨粗鬆症性骨折リスク算出ツールFRAXにより算出した骨折リスクと骨折や転倒に影響を及ぼす薬剤の服用状況を調査し比較を行った。骨折に関係性の高い整形外科と高齢者の多い眼科および循環器内科を対象とした。 |
睡眠薬の減薬を目的とした睡眠衛生指導的スキル研修の取り組みと評価 |
2019年 3月 |
日本薬学会第139年会 |
戸邊隆夫、伊藤光、上池俊一郎、平松哲夫、2018年度診療報酬改訂において、ベンゾジアゼピン系薬剤は一定条件下においての減薬により加算が認められている。そこで調剤薬局薬剤師を対象とした睡眠衛生指導および認知行動療法を含む研修プログラムを企画・開催し、受講後および研修3ヵ月後のアンケートで理解度や満足度の調査を実施した。 |
FRAXを用いた骨粗鬆症一次スクリーニングからこぼれた患者の探索につながる服用薬の調査 |
2019年10月 |
第21回日本骨粗鬆症学会 |
戸邊隆夫、渡邊瑞加、久保みさき、他6名、「骨粗鬆症臨床研究の未来に向けて」のシンポジウムで発表を行った。易骨折患者を対象としたスクリーニングとしてFRAXを用いて骨折リスクを算出し、診療科ごとに比較した場合と、骨折に関係する薬剤の服用状況を調査し診療科ごとに比較した結果の異なりを示した。 |
骨粗鬆症性骨折の一次予防に関わる服用薬調査 ‐第2報‐ |
2019年10月 |
第21回日本骨粗鬆症学会 |
戸田貴洋、久保みさき、江藤祥子、渡邊瑞加、戸邊隆夫、他4名、診療科別にFRAXを求めた結果、複数の高骨折リスク診療科が存在することを第20回日本骨粗鬆症学会で報告した。近年、薬剤と骨折や転倒の関与が多く報告されており、ステロイドのみが薬剤性因子であるFRAXの結果のみで骨折リスクの比較を行うのは不十分と考えた。そこで、今回は骨折や転倒に関与すると報告がある薬剤(骨折関与薬剤)をどの程度服用しているのかを調査した。 |
骨粗鬆症性骨折の一次予防に関わる服用薬調査 -第一報ー |
2019年10月 |
第21回日本骨粗鬆症学会 |
江藤祥子、久保みさき、戸田貴洋、渡邊瑞加、戸邊隆夫、他4名、診療科別にFRAXを求めた結果、リウマチ・感染症内科、救急総合内科、整形外科、肝胆膵内科、精神科、消化器内科が高値を示し(高骨折リスク診療科)、一次予防の対象診療科になり得ることを第20回日本骨粗鬆症学会で報告した。しかし、FRAX算定に用いられる因子には偏りがあり、FRAXの結果のみで骨折リスクの比較を行うのは不十分と考えた。そこで今回は患者の服用薬剤に着目し、骨折リスクに関与すると考えられる薬剤の服用状況について調査を実施した。 |
骨粗鬆症性骨折の一次予防に関わる服用薬調査 |
2019年11月 |
第29回日本医療薬学会 |
久保みさき、渡邊瑞加、戸邊隆夫、他4名、骨粗鬆症性骨折の一次予防対象者を特定するために診療科別にFRAXを用いて骨折リスクを算出した結果、リウマチ・感染症内科、救急総合内科、整形外科、肝胆膵内科、精神科、消化器内科が高値を示し、骨粗鬆症リエゾンサービスが優先的に介入すべきことを第28回日本医療薬学会年会で報告した。しかしながら、近年、薬剤と骨折や転倒の関与が多く報告されており、ステロイドのみが薬剤性因子であるFRAXの結果のみで骨折リスクの比較を行うのは不十分と考えた。そこで今回は患者の服用薬剤に着目し、骨密度への影響や転倒との関与が報告されている薬剤(骨折関与薬剤)の服用状況について調査を実施した。 |
骨粗鬆症性骨折高リスク患者の早期発見を目的としたFRAXおよび服用薬の調査 |
2019年11月 |
日本病院薬剤師会東海ブロック、日本薬学会東海支部合同大会2019 |
戸邊隆夫、渡邊瑞加、久保みさき、他4名、FRAXはWHOが発表したツールであり、簡易的に10年間の骨折リスクを評価できるが、併存症や薬剤の影響については詳細に反映されていない。そこで本研究では骨粗鬆症一次骨折予防対象者のスクリーニングを目的として、入院患者のFRAXによる骨折リスクの算出および服用薬の調査を実施した。 |